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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
71/145

71マリア 庭番の名前

読むべきものを全て読み終え、遅い時間になったのでエミリーを下がらせた。


一人になって寝ようとしても、なかなか寝つけなかった私は、ふと思いついて、ブレスレットを三回鳴らしてみた。


「ここに」


すぐにベッドの脇に控えてくれている庭番を見つけた。


この人、本当に心臓に悪い…。


「気になってたんだけど、私達の移動中、あなたはどうしているの?馬の気配もないし、馬車?荷馬車に乗っているの?」


「…教えられない」


「ケチ!じゃあ、ご飯はどうしたの?ちゃんと食べたの?今日はどこで寝るの?」


「…教えられない」


「なによ!もう!でも、ご飯も食べるしちゃんと眠りもするのよね?」


 庭番は渋々といった風だったけど頷いてくれた。


「良かった安心したわ。…でね。私馬車の中であなたの呼び名を考えたの!ジャン、よ!」


「…………」


「なによ、その無言の拒絶は…でもね、あなたが気に入らなくてもそう呼ぶわよ?もし違う風に呼んでほしいなら、自分から申請してちょうだい」

 

朝とは違い、衣擦れの音を立てないようになのか、体にぴったりした黒っぽい独特の服装に覆面…。


服のテイストは違うけれども、これってどう見ても前世では忍者って呼ばれてた人達でしょ?

確か、忍者のことを庭番とも言うんだし。

この世界では忍者って言葉はないみたいなんだけど…。


で、『にんじゃ』から『に』をとって、残りの文字を入れ替えて、『ジャン』。

うん、結構いいと思うんだけど。


「で、ジャンは今日、なにか面白いこととかあった?」


「…特に何もない」


「そう…。あ、今報告書を読んでびっくりしたんだけど、目的地の村に着いたら、私達ゴブリンと戦うみたい。ゴブリンと戦ったことある?」


「ある」


「ジャンにとっては、弱い、朝飯前な感じなの?」


「…一体では強くはない。ただ数が異常に多い。巣に潜るのなら、体力や魔力が切れる前に引き返す見極めをしないと、どんなに強い奴でもやられることがある。油断できないヤツらだ」


「…そう。分かったわ。私の初めて攻略がゴブリンの巣だなんて、私ったら最初からなかなかよね!死にさえしなければきっとすぐにかなり強くなれるでしょうね」


「俺が死なせない」


「ふふ。ありがとう。頼むわね。…あ、そうだ、次からはブレスレットじゃなくて、ジャン!って呼ぶからね!」


ジャンと呼ぶことに対しての肯定の返事がないまま、また気付くといなくなっていた。

気配がないのも本当に困る。


「もう!勝手にいなくならないで、って言ってるのに!」


姿は見えないけど聞いている相手に文句を言った。



次の日、日の出とともに出発したので、村には午後、夕方というには早い時間に到着でき、村に一軒しかない宿に入った。


小さい宿なので部屋数がなく、私とエミリーで一部屋、エドガーと護衛三人に二部屋、で、この宿屋は満室になってしまった。


グレイ騎士団長と悠人とアレックス殿下で三部屋とっているからだ。


そしてこの護衛についてきてくれた人たちは、荷馬車の荷物を三交代で一日中守るんだとかで、魔物の狩りにはついてこないのだそうだ。


なんとはっきりとした契約なこと。


私達が荷解きをし終わってもいないタイミングで、エドガーさんが装備を整えた状態で私達の部屋に来て、「団長や殿下達を探してきます」というのでびっくりした。


宿で待ってたら帰ってくるのに…。


チェックインするときに、三人の冒険者がここに泊まって、魔物を毎日倒してくれている、という話は聞いていたのだ。


「待っている間に、疲れ切った殿下達に何かあっても後悔しかありませんから」


宿の主人が、その三人がたったの数日でみるみる疲れがたまってきていて、過去にこの村の依頼を受けた冒険者のグループも、同じように疲れ切っていって、ある日帰って来なくなったので、そろそろ心配だ、と言っていたのだ。


「でもエドガーに何かあっても後悔しきれないわ。ジャン!一緒に並んで歩いていかなくてもいいから、エドガーについていって、彼を助けてあげてちょうだい。私は戻ってくるまでは絶対にエミリーと二人でこの部屋から出ないから」


「御意」


私にしか聞こえないような小さな声でジャンの返事が聞こえてきた。


どこから聞こえたのかきょろきょろしたけど、分からなかった。


二人が出掛けたあと、部屋から出ない、と宣言したことだし、改めて持たされた服や装備をチェックしてみて、エミリーとため息をついた。


「私、旅の途中で夜会に出る予定あったかしら?」


部屋着、外出用のドレスにお茶会でよく着たお気に入りのドレス、夜会用のドレスも入っていたのだ。

それに、特別な効果のあるアクセサリーもたくさんあり、それらを全部つけると、私は歩く宝石箱になってしまう。


「やっぱり私の両親ってちょっとバカなのかしらね…」


親バカにもほどがある、というか、こんなだから、マリアの子育てに危うく失敗しかかっていたんだと思う。


「どこでどんなことがあるかわからないから、念のため、だそうでございますよ」


…ありがたい親心だと受け取っておこう…。


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