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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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68マリア 庭番

「…という訳でね。私達はまずマリアに、今できる最大限のモノを持たせてあげるよ。身の回りのことは今まで通りエミリーがしてくれる。エミリーとマリアをエドガー君が、マリアを庭番が守る。それから、勇者御一行もまだ持っていないようなアイテムをたくさん用意したよ。装備もね。これらはもう馬車に積んである。実は、勇者御一行は今かなり苦戦中なんだ。職業上の私としては、一刻も早く、この強力なメンバーを勇者の仲間として送り出したい。…でもマリアの父親の私としては、もっとゆっくりでも…」


「アントニー!」


お母様にたしなめられて、お父様はがっくり肩をおとした。


「朝食と、昼食も馬車に積んである。アイテムと装備の目録も入れてあるから、それを読んでそれぞれ使って欲しい。それから、これから向かってもらう村の現状、勇者御一行の現状を軽くまとめたレポートもある。そうだ、この魔法のカバンとブレスレットだけはここで渡すよ」


ここにいる、私とエミリーとエドガーさんと庭番の四人分、肩掛けカバンを貰った。

これは、見た目の何倍も、大きさに関係なく、何十個ものアイテムが入るという不思議なカバンだった。


先に旅立っている三人にはまだ一つしか渡せていないので、持っていない二人の分の二個は馬車に積んである、とのことだった。


そして、きれいな細い鎖で編まれた、不思議なブレスレットを貰った。

鎖だったのは私の分だけで、エミリーとエドガーさんは綺麗な紐で編まれた幅広のブレスレットだった。


すぐにつけるように促されたので、つけてみると、エミリーが息をのんだ。


「わかるかい?これは、国家機密モノのアイテムなんだ。この効果は絶対に仲間以外には知られてはいけない。他人に貸しても触らせてもいけないよ。基本的には肌身離さず常に着けていること。効果は分かるだろう?魅力と美しさのダウン、さらに存在感、気配をも薄くさせる。庭番は着けなくてもすでにそのスキルがあるから渡していないけど、つまるところ、それを身に着けることで、庭番のように目立ちにくくなるんだ。こんなに美しい私のマリアが普通に町の中を歩いていたら、町中の人が見とれてしまうだろう?そんなに目立っていてはどんな犯罪に巻き込まれるかわかったものじゃないじゃないか!ああ、マリア、やっぱり行くのはやめよう?」


「さあ、あなた、そろそろ出仕の時間ですわ。伝え残したことは私から伝えておきますから」


お父様は、「ああ、マリア」と私を抱きしめて両頬にキスをすると「くれぐれも無茶をしてはいけないよ、疲れたらいつでも帰ってくるんだよ」、と言い残し、お母様に連れられて部屋を出て行った。


私はあまりの情報量の多さに、あっけにとられていた。


茫然と、残っている三人を順繰りに見た。


すると、庭番が仕草で近寄っていいか、と合図をしてきたので、頷くと、次の瞬間には、私のソファの後ろにいて、私にしか聞こえない声で話しかけてきた。


「俺を呼び出す合図を決めろ」

 

喋った!さっきから一言も話さないから話せないのかと思っていた。


「もしかして、エミリーやエドガーさんに声をきかれたくないの?」


そう尋ねたら、頷かれた。

すぐに二人は気をきかせて部屋を出てくれた。

すると、いつの間にか私の目の前に跪いていた。

気配がないにも程がある。


「名前は何ていうの?」


「庭番だ」


「歳は?私と同じくらい?もっと上?」


「教えられない」


「髪は何色?目は…?」


「教えられない」


「本当の名前は?」


「…教えられない」


「でも私、あなたを庭番って呼ぶのは嫌だわ…」


「呼ぶ必要はない。合図をすればいいだけだ」


「こうやって話をしているときに、呼びかけにくいわ」


「俺はこうして二人きりのときしか出てこない。だから呼びかける必要もない」


「…分かったわ。これからゆっくり考えて勝手に呼び方を決めるわ。…で、合図、ね…」


私はお父様みたいに指は鳴らせない。

それ以外の合図の定番と言えば口笛かしら?

でも私は口笛もできない。

他に何かある…?


「大変だわ!私、合図になるようなこと、何にもできないみたい!」


一瞬、庭番さんが困っているのがわかった。

ごめんね、こんな私付きになんてなって。


「その…そのブレスレット…手首を振ってみろ」


言われたとおりに不思議なアイテムのブレスレットを付けた手をちょっと振ると、小さくしゃらん、と鎖がぶつかり合う音がした。

それを聞いて庭番は頷き、三回ブレスレットを鳴らすのを合図にしてくれ、と言った。


こんなに小さな音で大丈夫なの?と私が訊いたときには、なんと庭番はもういなかった。


なんて短気なの?


「もうっ!次からは私が良いって言うまで勝手にいなくならないでねっ!」


恐らく聞いているんだろうから、文句を言っておいた。


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