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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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67マリア 驚きの連続


「さて、何から話そうかなあ。みんなこっちに座って?」


お父様に促されて、ソファに私達親子三人が並んで座って、その向かいにはエミリーと男の人が、恐れ多いです、とか言いながらも座った。


「まず、マリア、私が今している仕事の内容は、殿下達の『勇者探しの旅』と『勇者様御一行の旅』、その両方のサポートなんだ。国家機密が絡むことも多いからね、ごく少人数で当たっているので、とっても忙しい。でも、その代り私にはその旅の進捗も、どこにいるのかも、全て把握できている」


びっくりした。

こんな身内に、勇者一行の仲間になるための糸口があったなんて!


「そして…君が前からハルト殿下が勇者だと気付いていて、一緒に行きたいと思っていることは、分かっていたんだよ。だから、国家機密をバラしてしまうけど、本物のハルト殿下が勇者として旅立っていて、殿下達の替え玉が勇者探しの旅をしているんだ。ややこしいけど」


またしても驚いた。

替え玉でしたか…それは思いつかなかった…。


「どうして、私が、殿下が勇者だと気付いてるとおわかりに?」


よく考えたら、私が悠人が勇者だと分かっていることが、どうして知られていたんだろう?

なんだか怖いんですけど…。

両親にばれていたなんて思いもよらなかった。


開いた口がふさがらない。


「かわいい君のやることは全てお見通しなんだよ。…まあその理由は後で説明するとして。私達は、それが君の子どもらしい夢なのか、本当に危険に身を投じるまでの覚悟があるのか、そこまでは見極められなくてね、ずっと見守ってきたんだ。実際君の魔法に打ち込む姿は、娘なのが惜しいほどだったからね。息子だったなら今すぐにでも魔法省に入省させていただろうよ。だから…君から直接、行きたいという言葉が出て、親の私達も覚悟をしたんだよ。君を危険にさらす覚悟をね…。もう今からでも気が変わってくれないかと思うくらいなんだけど…どうかな?」


気は変わりません、と返事をしたら、お父様はちょっとだけしょぼん、とした。


「そうか。やっぱり行くのは止められないんだね…。じゃあ、次の話だよ。…マリアが行くとなったら、エミリーも一緒に行くと言い張ってね。これはマリアもエミリーから聞いているだろう?」


エミリーを見て、頷く。


「それでね、私達もマリアが心配だから、それを許可したわけなんだけど、芋づる式にねー」


なんだかエミリーは急にもじもじしだした。

エミリーだけじゃなく、エミリーの隣のガタイのいい男の人までがそわそわしている。


何?一体…?


「マリア、紹介するよ、エミリーと婚約して、君とエミリーを守るために一緒に行ってくれることになった、エドガー君だよ」


……は?


さっきから衝撃的な話が多すぎる。

衝撃的な話は、せめて週にひとつにしてください。


エドガーさんは立ち上がって、自己紹介をしてくれた。


バートン子爵家の三男で、近衛騎士として働いていたけど昨日付けで辞めたこと。

そして今日からは、公爵家のお抱え護衛として雇ってもらえることになったこと。

エミリーとは昨日婚約をしたこと。


…だから…衝撃的な話は…じゃあ…せめて三日にひとつに…。


エドガーさんのことは近衛騎士だったから見たことあると思っても、騎士の格好をしていないからわからなかったのね、とか、ここ数日のエミリーの急な休暇の理由の一つは婚約のためだったのね、とか、近衛騎士ってそんなに簡単に辞められるのかしら、とか…色んな事が一気に頭の中を駆け巡って、私は一瞬フリーズした。


「お嬢様…?」


 不安そうなエミリーの声に我に返って、慌てて、まずは心から二人を祝福した。


「おめでとう!二人の未来に祝福を!幸多い人生となりますように」


訊きたいことはそれこそ山のようにあるけれども、ついてきてくれるというのなら、いくらでも聞く機会はある。


「近衛騎士さんが私とエミリーの専属の護衛としてついてくださるなんて、とても心強いわ!」

 

あの、森で、エミリーを危険に晒したことに気付いたときの恐怖は忘れられない。


エミリーの婚約者だというなら、確実に守ってくれるだろう。なんと適任なことか。


「そうそう、護衛と言えばね…」


お父様が指をパチンと鳴らした。


お父様、一体何を?と思っていると、お父様の座っているソファーの脇に、いつの間にか覆面をした人が跪いていた。


服は町を歩けばいくらでもすれ違うだろう平凡なものだけど、顔と頭に長い布をぐるぐると巻いて、目のあたりだけが細くあいているだけで、体格の感じから男性だと分かったけれどもそれ以上はさっぱりだった。


「なんだ、見せてくれたのは手だけか。ま、それでもすごいことなんだよ、マリア。この子はね、我が家の庭番。マリア付きのね」


「…は?」


今まで、出なかったのに、とうとう口から音が出ちゃった。


衝撃的な話はせめて一日にひとつまでに…いや、もう最早これ以上衝撃的な話は聞いても驚くまい。


「マリアがお嫁に行くときにご対面の予定だったけど…仕方ないよね。後で、彼を呼ぶときの合図を打ち合わせるといいよ。マリアには、この子がついているから、エドガー君は心置きなくエミリーを守るといいよ。あ、ちなみに、マリアが森に行ったときに魔物に出会わなかったのはこの子が先に倒してくれてたからだし、この子からの報告で、マリアが王立図書館の貸出禁止どころか閲覧禁止の本まで読むことに成功して、勇者召喚の秘密について読んでたこととか、筒抜けだったんだよー。黙っててごめんね」


お父様、てへ、みたいな軽いノリですけど、私、ずっと見られてましたか…。


でも、考えてみたら、私は一人になることなんてない人生だったから、あんまり変わらないか。


…ん?いやまて!


「あの。入浴とかも見られて…」

 

青くなって訊くと、覆面した人は、慌てたようにブンブンと頭を振った。


「マリア、お母様もこちらに嫁いだときは、庭番という存在に驚いたものよ。でも、我が家は公爵家。王家とはまた違う形でこの国を担っているのよ。あなたがブラックドラゴン討伐の旅から帰ってきたら色々と教えることがあるわ。ただ、この庭番は、決してあなたを裏切らない。仲良くなることはできないのだけど、安心して命を預けられる。そのことだけは覚えておいてね」


「わかったわ、お母様…」


とりあえず分かったと返事をしたけど。受け止めきれてはいないんですよ、お母様。

もう少し説明してくれないかな…。



ようやく、主要メンバーが出そろった感じです。

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