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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
26/145

26マリア

私のやるべきことがはっきり見えたので、あとはそれに向かって突き進むのみ。


それからの私はより一層、勉強にも励んだ。


ブラックドラゴンのいる地方のより詳細な地理と気候の特徴。

空を見ての天候のよみ方、野営の仕方。


魔法の発動に、呪文の詠唱をせずとも済む練習。


ドラゴンを倒すのには、戦闘が数時間にも及ぶだろう。

歌うことで魔法を発動させることが多い私なのだから、最低でも三時間は歌い続けられるようになっておきたい…。


鬼気迫る、私の勉強と歌や魔法の練習や訓練に、周りの大人たちは若干引き気味なのはわかっていた。


誰も勇者と旅立ちたいが為だとは気付いていないだろう。


知識を得たり、能力を磨いたりすることをやめろ、と大人は言いにくい。

家族が体に障らない程度にとどめるように言ってくるくらいだ。


余談だけど、私の背中を見てか、弟たちが公爵家の令息として身に着けるべきものを学ぶことに、積極的になってくれる効果もあった。



ある日の午後、庭の隅でエミリーに付き合ってもらいながらこっそり野営の実地訓練としてテントを張って、そこでお茶をしていると、弟たちが興味津々でテントを覗きに来た。


小学生くらいの子達にとっては秘密基地みたいで楽し気に見えるはずだ。


もともと、野営用のテントではなく、ピクニックでの日よけ風よけのためのテントで、だからこそ庭に張ってお茶をすることを家人に反対されなかったのだ。


まさか私が自分でそのテントを建てているとは気付かれてはいけない。


そんなテントでも、全く経験が無いよりはマシなはずだ。


エミリーがその辺りはうまく立ち回り、本来テントをたてるべき使用人達をうまく味方に引き込んでくれていた。


弟たちが来たのが、テントをたてている最中ではなく、もうお茶を始めてからでよかった。


「姉さま、僕達もご一緒していいですか?」


弟たちがテントの入り口の垂れ幕を少しだけめくり、二人で中を覗き込む。


…私の弟たちは可愛い。

金と薄茶の髪の、青い目をしたかわいいわんこ達が期待で耳をピンと立てて尻尾をふりふりしているようで…思わずにやけてしまう。


「いいわよ、どうぞお上がりなさい」


入口で履物を脱いで、敷物の上に座るのよ、と教えてやると、普段寝る時しか靴を脱がない生活なのでとても驚いている。


今回は敷物の上で直接寝るパターンの想定なので入り口で靴を脱いだけど、下が芝生じゃないと寝られないだろうな、と想像する。

簡易なベッドとか?ハンモックとか?ハンモックで寝る練習もしてみよう。


そんなことを考えていると弟たちがちょこん、と二人並んで私の前に座る。

二人ともまだまだ私より小柄だ。


ヘンリーは11歳、きっとこれからの数年で驚くほどに大きくなるだろう。

ジェイムスも8歳、やんちゃ盛りとはいえ大人しくテントの中を眺めまわしている。


そう、二人ともとても利発な子達だ。悠人もそうだったけれど、大人を煩わすことのない聞き分けのいい子達だ。


思うに、王族や我が家の公爵などの家系に嫁ぐものは、厳選される。

能力、性格、容姿…。


その結果がこの目の前の弟たちや殿下達のように見目麗しく、気立ても良く、諸々の能力の高い者ばかりとなる結果になるのだろう。


まあもちろん全員が、とは言わないけど。

だって真理を思い出す前のマリアは気立てがいいとは思えなかったもの。


「どうぞ。テーブルが狭いから気を付けてね」


エミリーが淹れてくれたお茶を二人の前に出してやる。まだ子どもなのでミルクたっぷり、さらにはちみつも垂らしてある。


大人しくお茶を飲んで、お菓子をつまんだ弟たちは、お互いに目配せをしあって、ヘンリーが兄として口を開いた。


「姉さま、僕達、今度魔力測定を受けることになったのです。それで、それで、もし僕らも魔法が使えるようなら、訓練をご一緒できますか?」


おおっとそのキラキラした目が眩しいよ…、頬をうっすらと緊張で赤く染めて、期待丸出し、もう完全にわんこ…またしてもちぎれんばかりに振っている尻尾の幻影が見えるようだよ…。


君たちなんて可愛いんだろうね…。


弟たちの可愛らしさに、ほっこりとし、それが自分の弟であることににまにましてしまう。


にやけるを通り越して気持ち悪くなっていそうだったので、慌ててうつむいてお茶を飲んで誤魔化す。


「私の魔法の先生は、王妃陛下が厚意で手配して下さった、本来は王子殿下達付きの先生なのです。なので、あなた達まで一緒にみていただけるかは、私には分からないの」


みるみる弟たちが萎れていくけど、それもまた可愛らしくて。


「でも、一緒にみていただけるように、お願いはしてみましょうね。そのためには、お勉強の方もしっかりしていなくてはいけません。勿論、剣の訓練もね。それらをきちんとこなせる姿を見せてこそ、お願いもできるというものですから」


萎れかけた弟たちが、また元気を取り戻して、大きく頷く。そして嬉しそうにクッキーを頬ばる。


ああ、見ているだけで癒される…可愛いって偉大。


ここのところ勉強や訓練にばかり集中していたけど、たまにはこういうのも大事だなあ…。


特にヘンリーはこれから思春期に突入して、口をきいてもらえなくなるかもしれない時期だ。今のうちにいっぱい堪能しておかないと損だな…。


姉なんだけどついつい孫でも見るような目で弟たちを見てしまう私なのだった。


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