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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
25/145

25マリア

マリア視点です。

お茶会の帰りの馬車の中で、私の頭の中は大混乱を極めていた。


席が遠くて直接話すことはできなかったけれど、何回か話し声を聞きとることができ、それは聞き間違えようもない、我が息子、悠人の声だった。


ちょっとした仕草も何もかも、全てが悠人だと断言できた。


『悠人、会いたかった、お母さんが死んだあと、大丈夫だった?』と抱きしめて訊きたい衝動に激しく駆られた。

でも、そんなことをすれば頭がおかしくなったと思われる。


それに、私にお母さんだ、などと言われたら、あの子も面食らうだろう。

悠人は悠人のままだけど、私は悠人よりも年下で、見た目も前世とは似ても似つかないのだから。


そして、そのことが混乱する何よりの原因だった。


私は 生まれ変わり。

…マリアとして生まれ育って、数年前に前世の記憶を取り戻した。


でも悠人は生まれ変わりではない。

ほくろもそのまま、私の息子の肉体のまま、あそこにいた。



はっ、とした。


魔法学で、私もいつかは召喚魔法ができるようになる可能性があることから、召喚について学んだことを思いだしたのだ。


召喚は異世界から使役する神獣や精霊などを呼び出す。


私が使えるようになるには、その使役するモノたちが私を主と認めざるを得ないほどのレベルに達していないといけないらしい。


魔力的に足りているからと迂闊に召喚すると、主と認められなかった場合その場で命がなくなるそうだ。

まあ、とにかくそれが一般的な召喚魔法。


『一般的な召喚魔法』…そう教えられたので、では一般的ではない召喚魔法があるということですね、と教えるように詰め寄ったところ、精霊や神獣ではなく、『人』を極まれに異界から召喚することがあるのだ、としぶしぶ教えてくれたのだ。

私が公爵家の娘だから特別に、と。


『人』の召喚は国家機密となること、また、『人』は召喚してもこちらの意図通りに使役することはできないことなどを教えられた。


…国家機密だから、確かめたくても、誰に聞いてもはぐらかされるだろう。


悠人は、召喚されてきたに違いない。


いつか、本人に確認をしたい。


悠人と…第五王子と親しくならなければ…。


家に帰りつくまでに、私は決意を固めていた。




そしてその日から、私はさらに熱心に魔法の訓練をして、一番低級ながらも精霊を召喚できるようになった。


私の得意な属性が聖なので、基本的に攻撃魔法は多くないことが自宅に居ながらの魔法の訓練を容易にしてくれた。


召喚ができるようになったことで、より深く召喚について学びたい、と、身分を最大限に振りかざし、使えるコネも使いまくり、王妃陛下に甘えてみたりなんかもして、王宮の図書室にある貸出禁止の特別な本を読む権利を得ることに成功した。


召喚に関わりそうな本は片っ端から読んでいった。

そして、人の召喚について調べて、驚いた。


召喚されるのは、勇者、すなわちドラゴンと戦う者、だったのだ。


人が召喚されて異世界へと渡ってくる際に特殊能力を得る。

その特殊能力を持つものを、この世界では勇者と呼びならわすということ。

その特殊能力がドラゴンを狩ることができる能力。


実際は特殊能力を得られる力のある人物しか召喚には反応しないらしく、さらに召喚の際にある程度の能力のフィルターもかけられるようだ。


何代も前に、召喚された者がドラゴンを狩ることを引き受けず、それどころかその強大な力でこの世界の脅威になった事例があったらしく、それ以来フィルターは必須らしい。


そのフィルターとは精霊の加護がないと得られない光属性の魔力を持てるかどうか。


精霊がこの人物なら、と認めた者のみ、光属性の魔力の持ち主となるからだ。


なので、ドラゴンを狩る力、光属性の魔力、それらを併せ持つ者が勇者、と言える?…らしい。


ドラゴン…勇者が狩るのは正確にはブラックドラゴンという…を、この世界に生きている者なら知らない者はいない。


幼い頃は、悪いことをすると、ブラックドラゴンに食べられてしまうわよ、と大人に言われて震えあがったものだ。


前の世界での大地震のように、忘れた頃になると出てきて、倒されるまでの間、生きているものはその生を奪われる恐ろしい厄災だ。


悠人はそのブラックドラゴンと戦うために召喚されたのだ…。


精霊にも認められて、勇者としてこの世界に渡ってきたということは選ばれし者。


我が子が選ばれし者であることは誇りに思う。


でも、嬉しくはない。


縁もゆかりもなかったこの世界のために、命をかけてあの災厄と戦わなくてはならないのだから…。



なんと表現していいのか分からない感情が渦を巻いて、たまらず、「あーもう!」と大声をだしてしまい、エミリーが驚いてすっとんできた。



勇者についてさらに調べていくうちに、収穫があった。


勇者は大抵、数人、多くても十数人の仲間と一緒にブラックドラゴン討伐に向かうことも分かったのだ。


軍のような大規模なものでは、統制指揮をとる能力が勇者にない場合、むしろ足手まといでただ死人が増えるだけのようで、その程度の規模になるらしい。


もっと強力な魔法も使えるようになれば、悠人が勇者として旅立つときの仲間の一人になれるかもしれない!


私の魔力は結構強いらしく、日頃の訓練の成果で、使える魔法の種類も増えた。

それになんといっても回復魔法が一番得意だ。

防御力や攻撃力を上げたりする補助魔法も、いくつかは既に使える。


あの子への危険が少しでも減るように。

あの子の助けになれるように。


私にできることがあるのなら、なんだってする。

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