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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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魔法の勉強ができるようになってからは、前世では存在しなかったものだけに、それはもう夢中になった。

魔法は奥が深く、飽きることがない。


そして歌も、やっと本当に好きなことに出会えた、という感覚があった。


魔力を込めずに歌う訓練もしたので、晩餐の後に家族にねだられて歌って見せることもしょっちゅうだった。


皆も聞き入ってくれるし、自分もその時々の感情を歌で発散するのは楽しかった。


治癒の魔法を込めた歌を寝る前に歌って、その歌を漏れ聞いた使用人達が、疲れが取れた、と話しているのをこっそり聞くのも嬉しかった。


そんな風に魔法や歌に夢中のあまり、未成年も終わろうというのに、自分に婚約者があてがわれていないことに気付いてもいなかった。


王宮でのお茶会で、そんな話題がでなかった、というのもある。


身分だのに無縁な世界の人間だった私には、貴族だ王族だと言われても、ときどきうっかりしてしまうところがあって。

そういう感覚的なことは記憶とかと関係なく、染みついているもののようなのだ。


王妃陛下や側妃殿下達とも、はじめこそ緊張したけれど、打ち解けてしまってからはつい本当にお茶のみ友達となってしまっていた。


だって真理からすると、お二人とも同年代だったし。


あまりおばさん臭いことは言わないようにだけは気を付けて、年齢相応の子どもらしい振る舞いを注意深くしたつもりではある。


最近は体の方の年齢に精神年齢も引っ張られるようで、自分でも普通の少女らしくなっていると思うけど。


そして今は、美しくて、教養高く、様々な話題の引き出しをお持ちの尊敬できるお二人と話すのは、単純にとても楽しい。


でも、確かに言われてみたら、王妃陛下や側妃殿下から、今日の今日でお茶しようって誘われるって、確かに嫁扱いと言われると、そうだったかも。


さすが王族は自由だなあ、としか思っていなかった。


それに私自身の世間の評判も、意識したことはなかった。


勿論勉強は好きだし、教えられたことは大体一回で覚えてしまうので、マナーの先生にも家庭教師にもいつも褒められる。


前世でも物覚えが良く、大体一回で覚えるタチだったのであまり違和感がなかったけど、公爵令嬢の身分があってそうなると、そういうことになるのか。


「お嬢様でしたら、公爵家ではなく、どのようなご身分だったとしても、王族の婚約者に選ばれること間違いなしでございます!何しろ私のお嬢様ですから!」


なに、その、私のお嬢様、って…。


相変わらずエミリーは私びいきが過ぎる。


せっかくなんとか上げた気持ちがまた行きたくなくてへんにょりとしてしまったけれど、正式な招待状のあるお茶会なので、お父様の顔をつぶすわけにはいかないし。


王妃陛下にも絶対来てね、といい笑顔で手渡されたし。


エミリーに最後の仕上げを施されて、ため息をつきながらも、大人しく馬車に乗って王宮に向かった。



王宮の庭園にしつらえられた、きれいな花が咲き誇るなんとも眺めのよい場所での、合コン…もといお茶会は、なんとも緊張感漂うものだった。



私達とともに既に席についていらっしゃる王妃陛下とは、まずご挨拶を交わした。


その後、王子殿下達の登場を待っている私達はみんなガチガチだ。


エミリーくらいの年に見えるお姉さまから、最年少は私のようだ。


私以外の令嬢たちは何とか気に入られよう、という緊張だろう。

私はどうしたら逃れられるか、の緊張だけど。


王家に娘が嫁ぐことができたら、その家の影響力は国内でグッと上がる。

きっと親たちから、くれぐれも気に入られてくるようにとプレッシャーをかけられているに違いない。


いや、単純に王子達はイケメンだから…本人達もお近づきになりたいと思っているのかもしれないけど。


ちなみに私はお父様からもお母様からも、何にも言われていない。


お母様に出がけに「まあ!今日もなんて可愛いの私のマリア」と軽くハグされて送り出されただけだ。

きっとエミリーの言う通り、もはや決定事項なのだ。


エミリーは、ついて来てはくれていても、ちょっと離れたところで他のご令嬢たちのメイドたちと一緒に控えていて、話もできない。

それは他のお茶会のときもそうなんだけど…。


ずっとエミリーは姉のような、娘のような、大切で不思議な存在だった。

だって私が前世を思い出したときのエミリーは十六歳!

悠人と一つしか違わなかったのだ。


今はもう二十一歳で、エミリーこそ結婚相手を探すべきなのに。

チラチラとエミリーを見ていたら、エミリーに前を向け、と視線で促された。

王子殿下達がやっと現れたのだ。


王子殿下達をジロジロと眺めるわけにはいかない。


皆、さっと立ち上がると礼をとって顔を伏せる。


もう場数を踏み過ぎてこの挨拶の儀礼への緊張はない。

さっきは王妃陛下に対してもやったことだし。


王妃陛下が、まず私を紹介して下さり、顔を上げなさい、と言ってくださったのでようやく顔を上げる。


公爵家なので最初に紹介されたのだ。


次々と紹介されていく令嬢を見ている殿下達をこれ幸いと順に観察する。


私達の紹介が終わったら王子殿下達の紹介になるのだろうが、こちらはお会いするのは初めてにしても、一応絵姿で存じ上げている。


殿下達は、見事にみんなタイプが違う。


五人目の、絵姿を見たことのない、養子の王子をみて、ひゅっと音を立てて息をのんでしまった。


慌てて目を伏せて、ガン見しないように気を付ける。

隣の令嬢にいぶかし気な顔でみられたけど、殿下達の美貌にあてられて驚いたことにしよう。


心臓がバクバクして冷や汗がでる。


気のせいかも。

きっと似ているだけ。


信じられない気持ちでもう一度ちらり、と顔をみる。

記憶の顔より大人びているけど…。


「そしてこちらが、ハルトですわ」


王妃陛下の紹介に、ハルトと呼ばれた王子がにっこりと微笑んで見せた。


やっぱり!


…あの王子のハルトは、見た目は我が子の悠人でしかないわ!


どういうことなの?!


次話から、しばらく、悠人視点になります。

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