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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
102/145

102マリア 回復の理論

読み飛ばしても…

「なんだい、二人して寝ちまったのかい」

 

カノンさんの声に、私は悠人の隣で寄り添うように寝てしまっていたことに気付いて、恥ずかしくて飛び起きた。


公爵令嬢が外で寝てしまうなんて!

…でも冒険者としては、無くはない…?


今の自分としては、どうなんだろう、と首を傾げた。


「そうだね、冒険者としてなら、どこでも寝られることは大事なことさ」


カノンさんには口に出さなくても私の葛藤が手にとるように分かったようだ。


「…悠人は感心しちゃうくらいに良く寝ますね?」


自分も寝ていたことを棚に上げて、食べているとき以外寝ている悠人を眺めながら、誤魔化すように口走る。


さっき泣いてた跡が残っていないか、慌てて目もこする。


「おや、知らないのかい、この年頃の男の子っていうのはね、びっくりするほど良く寝るもんなんだよ。成長期が終わっていない証拠だね。こうして眠っている間に、内臓や骨が作られるのさ」


「眠っている間に作られる…」


「そうさ、だからあの薬湯を飲むと眠くなるのさ。損傷した部分を修復するというのは、すなわち壊れたり足りなくなった部分を作っているということだろう?だから体が眠ることを欲するという訳」


何気なく口走った話から、何やら私の知りたいことへ話が移っていっている。


「眠らないと、作られない、修復されないのでしょうか?」


「そんなことはないけど。そのスピードがぐん、と遅くなるのは分かっているね」


「…昨日も少し質問をさせていただきましたが、回復と修復の関係についてもう少しお話をさせてください」


カノンさんはもともとどうやら私につきあってくれるために来てくれたらしい。

私の隣に腰を下ろした。


「ああ、本来の言葉の意味からすると、回復は病気やケガから治って良くなることを指し、修復は壊れたものを治すことを意味することが多い。で、こないだから言ってるけど、回復魔法や回復薬…特に回復薬ってのは、たまった疲れを一時的に無くしたり、怪我した部分を一時的にくっつけたようにして、また動けるようにするものなんだ。だから戦闘中に疲れて腕すらも上がらなくなってきたときに回復薬を飲むと、また戦えるようになるし、敵の攻撃で切られたり折れたりした部分も、傷口が塞がって血が止まったり、折れる前の状態に戻って、痛みを無くしてくれるので、また『動くことができる』。ここまではわかるかい?」


私はこくんと頷く。


「回復魔法もこれに準じる。そうそう、戦闘中に無傷のままで腕が上がらなくなるほど疲れることはほとんどないから、疲れをとるためだけのために回復薬を飲むやつはいないし、訓練でそこまで疲れても、命の危険はないから、大抵休憩して自然と元気になるのを待つよね。だから回復薬に疲労回復効果があること自体あまり知られていないねぇ」


「なるほど…でも、元気になるし、動けるようにはなるけど、本当に治っているわけではない、と」


「そう、その通り。あくまでも、治るのはその本人の持っている損傷した部分を修復する力…自然治癒力によるんだ」


カノンさんはさらに続けた。


「痛みは治りを遅くするので、痛みをなくし、一時的とはいえ動ける程度には治っている状態にしているあいだに、自身の持っている自然治癒力で、傷などが治っていく。回復薬や回復魔法を使った方が何も使わないときより何倍、何十倍のスピードで治る。だから人によっては回復薬を飲んでしばらくほっつき歩いていたら、本当に治ってしまっている、ということになる。」


これが私たちが普段経験していることだろう。

カノンさんの話はまだ続いた。


「ただ、こないだのあんた達みたいに、受けたダメージが大きすぎる、多すぎると、見た目は良くなったように見えても、治るのが追い付かない。瀕死の大ダメージを受けた時、そのまま放置すればこと切れる状態なのを、回復薬や魔法で死んでしまうのを回避させることができるが、あくまで先延ばしだ。内部のダメージで死に至るのと、治癒力で修復するのと、どっちのスピードが早いかで、最終的に死ぬか生きるかが決まる」


あのときの悠人の様子が思い出されて、思わず身震いをする。


「まさに今回のハルト殿下がそうだったね。あんたが死にかけていたハルト殿下に回復魔法をかけ、死にかけていたところを救った。でも、損傷が多すぎて、またどんどん体力が奪われて行って、そのまま放置だと、死んでしまうところだった。だから、数時間おきにあの子には回復魔法をかけて、目が覚めるのを待ったのさ。さっきも言ったように眠ることは損傷部分の修復に大事なことだからね。で、目が覚めたタイミングで、回復薬と治癒力を上げる効果のある薬を混ぜて与え、ダメージのマイナスと修復のプラス、それの収支がプラスになるようにしたんだ。でもこの世の中、修復が間に合わなくて死んでしまうようなダメージを受けるような人間はそうそういないから、このことはベテランの冒険者くらいしか知らないし、あとは、死んでしまって、その事実が周りに伝わらない。というわけで、大抵の人間は、回復薬や魔法でその瞬間に治っているんだと思っているわけだね」


あのときの必死の回復魔法や回復薬で、ちゃんと悠人の命をつなげることができていたのだ。

本当に、本当に良かった…。


理屈をこね回すのが好きなのです…。

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