232件目【ユイ「本当にアットホームな事務所だ」】
「お、お褒めの言葉……あ、ありがとうございます」
「えっ?私の事をそこまで下げるぅ~?別にそれで千柰都のことを立てられたから良いか」
「アンタも負けないように頑張りなさいよ。普段の負けず嫌いはどこにいったんだよ」
「あんなにもずば抜けた才能を持ち合わせていて、伸び代も半端ない千柰都相手に負けず嫌いを発揮しても虚しいだけだから変に競ったりはしないよ。同じ土俵で戦っていても負けるのは目に見えてるわけですし~」
「それはそうだけど。そうじゃないじゃん」
「そうじゃないじゃん、っていう前の言葉が引っ掛かるんですけど???」
「はぁ?えっ?なに?何か文句あんの?」
「いいえ、小鳥遊由利様のおっしゃる通りでございまする!」
「はぁ………まぁ、そういうわけだから。こんなチンチクリンに負けちゃ駄目だよ?コイツよりも能力が上っていうポジションで売り出していくつもりだし、コイツに「新人よりもポンコツのアイドルのセンター」っていうのをアンチに覚えさせてネットで拡散させるんだよ。そうやって痛い目見ればある程度はマシになるでしょ?」
「私、エゴサそんなにしない人間なので。見掛けたとしても全然気にしないし」
「繊細なくせして、ネットのそういうところは一切気にしないんだもんな。お前って」
「対面で何にも言えないゴミ共を構っていられるほど私は暇じゃないんでねぇ~?見掛けても「ふーん」くらいにしか思わない」
「とか言って本当は見てるんでしょー?っつって、スマホの検索履歴こっそり見ても、マジでエゴサしていないんだよね。自分の出演したドラマとかバラエティの事しか調べてない。後は共演した女優さんとかアイドルとか………そういうのを調べてる。あー、また好みの女の子を漁ったりしてんだなって」
「それはそれでいいでしょ!エゴサして気に病んでるよりかは仕事にも影響出ていないんだし。仮に共演したとしてもミーハーになったりしているわけじゃないんだから。後でひっそりとサイン貰ったりツーショット取って貰ったりしているだけなんだから!それをTwitterに載せたりもしないし。載せる用は載せる用で別に他の共演者の人達と集合写真みたいに撮ってるんだから」
「そういうやり方がガチなんだよなぁ………」
「それに、向こうから「明星のファンなんです!」って言って目をキラキラさせてくれる女優さんとか居た時にはお互いのサイン色紙を交換しあったりしているんだから。Win-Winだし、今後も色々と仕事に繋がったりしているのも現実。私の趣味が営業にも繋がって会社の財布を潤しているんだから。寧ろ、私の推し活には感謝してほしいものだね!」
「藍華のそういうのは意外と必要だなって思ってるから。私達も藍華が恥ずかしがって本人からサインとか握手とか出来ない時は一緒に同行して上手く2人きりの空間にしたり、ツーショットの写真撮るのを手伝ったり、サインやら何やらのやり取りを見届けたりしてるから。私と水月は「行っちゃえ行っちゃえ★」スタンスよ?」