213件目【アイカ「少ししたら、帰るか」】
生徒半分も殺されていることも知っているはずなのに、明日から普通に学校があるっていうのが教師陣の思考回路がよく分からない。
死んだ生徒達の親の対応とかがあるはずなのにね。今時、ちょっとしたことでもモンスターペアレントって呼ばれる人の姿をした人外の生物が騒ぎだすっていうのに……
逆に死んだっていうことになって、文句付けられる精神状態っていうことも見越しているのだろうか?そこまで考えているとなったら………この学校の体制そのものに問題しか無い。
なんで、こんな体裁ばかりを気にして内情は腐りきっている学校に入ってきちゃったんだろうな。こういうことを知る前の入学前から入りたくないっていうのはあったんだがな。
"家系"がワケありだからな。
子供にもある程度の学校に行かせないとメンツが保てないっていうのもあるんでしょう。普通に行きたくないっていうのも伝えたんだが………娘の意見を聞くような連中ではないから、入試を受けさせられて平均以上の成績を収めて合格。そのまま入学した。
入試が落ちても入れるようにしていたみたいだが………まぁ、裏口入学までさせてまで戦場高校に入れたかった親達の頭ん中は未だに理解しがたいが。
どういうわけか、私の黒喰すらも通用しない相手だから心が一切読めないのでね。
「なんでこんなクソみたいな学校に入っちゃったんだろ。っていう思いはあるけど……それ以上に藍華達に会えて良かったなっていう気持ちの方が大きいかな。私は」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「どうする?そろそろ帰る?」
「……………だな。ちょっとメンタルも落ち着いたところだし。色々と起こった現場にずっと居座ってても、落ち着くもんが落ち着かねぇし」
「他の皆も呼んでおく?柚依と咲希もクラスに居るみたいだし」
「そうするか」
私は徐に立ち上がると、千柰都と一緒にそれぞれのクラスを回ってSTAY.㎡全員で集まることにした。
最初に未來と水月のところに寄って、その後に柚依と咲希のクラスにも寄った。2人とも少しやつれていた。土御門魁聖のあれを見た後にクラスメイトが全員ぶっ倒れてるんだもんな。
メンタルぐちゃぐちゃにならないわけがないよな。
「はぁ……」
「大丈夫?咲希」
「流石にあの死体はちょっと………」
「ごめん。ちょっとやそっとの事だと蘇りそうだったから、徹底的に人の原型を留めないくらいでやっちゃったから。咲希があまり慣れていないっていうところまで考えてなかった」
「それは良いよ。私が少し慣れてなさすぎたっていうのがあるから。私もちょっとは慣れていると思ったんだけどな」
「ああいうのに慣れている方がおかしいんだから。そんなに考え込むこともない。他人のああいう死体を見て動じない人間の方がどうかしているよ」
「そうのかもしれないけど。それで「だから私は戦えません」っていうのは通用しないじゃん。姉貴はそれで家出しちゃって半ば勘当されているし」
「それくらいで勘当する方がおかしいんだよ。そこら辺はちゃんと魔王なんだね」
「ほんと………何考えてんだろって思うわ」