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◈華鳥風月◈【アイドル詐欺師、往来の隨の百騎夜鳥】  作者: 結城斎太郎
第1章◀❮⦅ STAY M²AGICALLY GIRLS ⦆❯▶
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190件目【アイカ「重くなったな」】

たまたま、いっぱい送ってるから着替えておこうって思って、丁度着替えて部屋に向かおうとスマホ見ながら更衣室出ようと思ったら………深刻なお悩み相談を受けているわけで。


そういう気持ちにもなるよねっていうのは私も分かる。私だって特に一芸に秀でているわけでもないのにセンターを任せる!って言われた時には、どうすればいいのか分からなかった。


水月とか未來の方が色々できるじゃん!って今でも思っているくらい。


周りからは「そんなことない!」って言われても、それがどうしてもお世辞に聞こえていたり、所詮は心配しているふりの綺麗事なんだろうなっていう……結構ひねくれた考え方をしていた。


でも、そういうことじゃないんだよね。

表面的な一芸っていうのは、最悪誰にでも置き換えられることが出来てしまう。


歌が上手いことでセンターになっているなら、それこそ私以外の誰でもいいわけで。ダンスが上手いからセンターなら、小さい頃からダンスを習っているレベルの高い子に任せればいいだけのこと。


社長にとっては【その人しか持っていないもので、それによって多くの人間を引き寄せることが出来る、取って代わることの出来ない唯一無二の存在をセンターにした】っていうことを改めて説明された時に、それが今の私が灯籠のセンターを続けていける理由になった。


私にしか無い、他人を集める力………それは他の誰かに出来ることじゃないって。その場所で私にしか出来ないものがそこにあるって。


それを導き出すのに2年以上もかかった。それまでは本当にツラかった。

いつ辞めてやろうかっていうことしか考えていなかった。ただ、与えられた仕事をひたすらこなすだけの日々を送っていた。


特に外野からは何も言われず、どんどん人気も右肩上がりになっていった。それが逆に私を苦しめた。この人気の理由に私は存在していないんだって。2人が居るから……

水月と未來がお膳立てしてくれているから、私は灯籠のセンターとしての活動が出来ているものだと思った。


それで何回も事務所には「灯籠を辞めたい」っていうことも伝えていた。


社長を含めて社員からも必死になって止められたし、水月と未來には本気で怒鳴られるくらいに「勝手に辞めんじゃねぇよ!!」って言われた。


そう……こうやって私を必要としてくれて、私の代わりは居ないっていう人達が多いからこそ、私は気付けたっていうのがあった。


だから、私は選んでもらえたんだって。多くの人達から選んでもらったんだって。


こういう言い方は良くないけど……辞めるって言わなかったら絶対に気付けなかった事だし、そのまま続けていたら今頃は私の精神がおかしくなって、どっちにしろ辞めざるを得ない状況になって。私の中から全て無くなっていたかもしれない。


周りの人達どころか、自分の心まで。完全に脱け殻みたいになっていたかもしれない。


千柰都には私みたいになってほしくない。私は、この経験を経て強くなれて、今は灯籠として………それが切っ掛けで他にも裏稼業の方にも強い意思を持って戦えている。


私みたいになれとは言わないし、強制もしない。ただ、参考になるようなことだけは千柰都には伝えたいって思ってる。

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