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◈華鳥風月◈【アイドル詐欺師、往来の隨の百騎夜鳥】  作者: 結城斎太郎
"SIX IMPOSTORS" AND "WHITE LIGHTNING"
1556/1612

1539件目【ハルカ「…………………………」】

「ちょっ、えっ?ど、どういうことなんですか!?みっけが!?」


「咲希。ちょっと声が大きい」


「あっ………ごめん…………」


「雛形ちゃんに関しては、まだ仮契約って状態でしたっけ?まぁ、何となく長くは居ないかもしれないっていう雰囲気はありましたし。様子見っていうのは察していましたが………いくらなんでも早すぎません……?」


『本人達の意思があまりにも強くてな。どうやら、月也ちゃんに関しては昔から未來のことを2人でやらないかと誘っていたようなのだ』


「……………………やっぱりか」


『藍華なら察しがついていたと思うが、ただ………本当に未來が抜けてしまうことになるとは思わなかった。STAY.㎡も売り出しのタイミングでのメンバーの脱退………メジャーデビュー後に、こんな形になってしまうとは。何よりも、長年事務所に所属していた大きな存在がこんなにも簡単に………』


「社長、未來のことは忘れましょう」


『えっ?藍華、それはあまりにも………』


「辞めてしまった人間は仕方無いです。おそらく、荷物も2人でまとめていたんでしょう?あの2人の行動力なら、既にワルキューレに自分達が居たという痕跡は無くしているはずです」


『だが、しかし………』


「本人達の意思を、尊重するべきです。本当に尊重するなら、本人達の前だけじゃなくて、見えないところでも応援するべきです」


「あ、藍姉ちゃん………」


「藍華………」


「………………………………」


「鵺ちゃん………?」


『本当に、すまない』


「いえいえ、これからSTAY.㎡に関しては色々と考えていきましょう。そのスカウトした人も、私の判断で使わせてもらいますから」


『そこは任せる』


「では、失礼します」


『あっ、藍華。待_______』



私は社長が何かを言い掛けたところで電話を切った。


沈黙が流れる。誰も何も喋れなくなってしまった。



今の私は………どんな表情をしているんだろうな。


言えることは一つ。涙は全く出てくる気配すら無かった。長年付き添った幼馴染み……そして、5年近くも一緒に仕事でもプライベートでも苦楽を共にしてきたメンバーの一人。


脱退したことについて何も思わないわけがないが、こんなにも涙が出てこないものかと思った。


私の心も、だいぶ冷たくなってしまったな。



多分、今までの長い付き合いの中で………何となく、こういう未来になることは予想していたのかもしれない。特別驚きもしなかったのだ。


無意識の思考というのが、こんなにも怖いものだなんてね。



「藍華、大丈夫?」


「鵺ちゃん、しっかりして」


「目が虚ろになってるよ?顔色も悪いし………早く事務所に戻って休んだ方がいいよ。こんな外にいつまでも居たら倒れちゃうから」


「ごめんね。帰ろうか」


「藍姉ちゃん………大丈夫。私達がちゃんと、みっけ姉ちゃんが抜けた分も頑張るから」


「うん。そこら辺に関しても、さっき考えが出てきたから……ただ、今は少しゆっくりしたいかなってところかな?」


「うん。本当に無理しないでね?」


「ちょっとタクシー呼んでくる」


「歩いていけるから大丈夫」


「大丈夫じゃないから。大人しくしてて」


「あ、はい……」

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