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◈華鳥風月◈【アイドル詐欺師、往来の隨の百騎夜鳥】  作者: 結城斎太郎
第1章◀❮⦅ STAY M²AGICALLY GIRLS ⦆❯▶
135/1612

133件目【七嘴八舌】

「いってぇ……!うなじにクリティカルヒットされたん……!」


「みっけ、ちゃんと返してよね。みっけにヘアゴム盗られ過ぎて予備が無くなってきてるんだから」


「私の弾数が順調に増えていくなり~」


「未來、ちょっとじっとしてろ」


「良いじゃん。何したって。当てないようにするから」


「そうやっていつも言ってるけど、お前の流れ弾が私の頭に当たってるんだよ。何回も何回も私の頭にヘアゴム乗っけやがってよ」


「良いじゃん。髪に付けるもんが頭に乗っかったって。あるべき場所にあるだけじゃん?」


「そういうことじゃねぇんだよな」


「えっ?どういうことなの?」


「………………………………勝手にしろ」



未來は未來で楽しんでいらっしゃるようなので放置しておきましょう。今の未來に関わったらロクなことにならない。


未來以外の私達3人は由利ちゃんの過去動画を漁る。


未來に対して「ヘアゴムで遊ぶな!」って言っておきながら自分は授業中でありながら、後ろの方の席を陣取ってるからバレにくいというのを利用して普通にYouTube見ている。


他人のことを言えた様ではないでござるよ。



言い訳はさせてほしい。

別に暇潰しに由利ちゃんの動画を見ているのではなくて、アイドルの先輩として学ぶべきところはしっかりと学ばないといけないなと。


アイドルとしては大きな成功を収めていた存在でありますから。敬意を持って技術やら何やらを盗ませていただかないと。

本当に売れる芸能人というのはどういうものなのか?っていうのを視覚からも脳に叩き込まないと上には進めない。



三日月時代の由利ちゃん。愛称は私と同じく由利ちゃんっていうのが定着していた。男性ファンが勿論多かったが、熱狂的な女性ファンも数多く居た珍しいアイドルなのだ。


15歳……中学三年生の時にデビューをして、そこからは圧倒的なセンスでアイドル業界のトップに立った逸材。今でも凄さは話題に上がる。


21歳の時に表舞台に一切姿を現さなくなり、世間的には行方不明みたいな扱いを受けている。ずっと売れっぱなしの状態で、その人気が一番高まっているタイミングでの芸能界から突如して姿を消した伝説のアイドル……それが今の私達のマネージャーである由利ちゃんなのだ。


今では由利ちゃんの姿を見ても当時の面影を上手いこと消しきっているから、誰も三日月の伝説のセンターであり、カリスマアイドルだった小鳥遊由利本人だなんて思わない。


名刺とか見て、ようやく気付く人が居るくらいだ。そもそも、三日月に触れること自体が業界内でのタブーみたいなところもあるから、気付いていたとしても、気付いた本人達の心の中に仕舞い込んでいる。そうするしかないのだ。


上の力に潰されたアイドルグループに触れるなんざ、私だってそれがどれだけ恐ろしいものなのかっていうのは想像が付く。

私達みたいに反抗できる力があれば特に何とも思わないところだが。


そうじゃない……力に屈するしかない人間が圧倒的多数なのだから、そりゃ由利ちゃんを「三日月のセンターの小鳥遊由利」としてじゃなくて、「ワルキューレのマネージャーの一人の小鳥遊由利」として扱うしかないのだ。


そんな逆境を戦ってきた人を見本にしなくてどうする?って話だよ。同じように活動していくなら、これ以上の見本になる人間は無いって私は思ってる。

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