表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

保護猫との暮らし。

作者: 本条ユウ

僕の名前は大間武志。

精神を病み、障害年金の食い扶持を

あてがわれて過ごしている。


双極性障害は面倒だ。

理由もなく落ち込んだり、

やる気が滅亡したかと思えば

元気が異常に出てよからぬ事を

考えて理性との戦いになる。


離婚もした。職も失った。

借金もした。じわじわ返している。


そんな時。


猫が欲しいと思った。

まだ妻がいた頃、最大で6にゃん飼育した。

多すぎるが、その時はそれで良かったのだろう。


実際は、多すぎてワクチン代も

捻出できない状態だった。


鬱がひどすぎて就労は不可能だった。


離婚に至った。

猫はそれぞれバラバラになった。


猫のいない生活は穏やかだが寂しいものだった。


ハッキリ言おう。

ペットショップで猫を買おうとした。

15万。ローンで買えない事もない。


しかし、保険に強制加入でさらに

5万ほどの現金払いが発生する。


猫を買うのに累計20万を超える。

とても手に入らない。


あきらめた。



ところが何かの拍子に、保護猫、

動物愛護センターから引き取るという

方法があると分かった。


引き取るからには無料ではある。


愛護センターのホームページを見た。

ほぼ15頭程度が新しい飼い主を待っていた。


可愛いかどうかはさて置き、

それぞれ個性のある模様。


その中から猫を選んだ。


正直に言おう、不妊手術の抜糸がまだで

その日には引き取れなかった。


馴れない道を青くなってたどり着いたのに。


結局その日はそのまま帰宅した。

なるようになれと半ばヤケクソで

初めて高速道路に乗った。


思ったより楽に帰宅できた。

恐れたのは失敗だったか。


一週間後、また愛護センターに行った。

まだ目的の猫はそこにいた。

抜糸が済んで病衣を外されていた。


何だかよく分からないが、猫トイレで

和んでいた。何なんだ。


今回の申し出で、割とあっさり

猫は引き渡された。


年間500頭もの保護猫がいるらしい。

あとで分かった事だが、保護猫を

引き取る家庭はかなりいるらしく、

ホームページに載っている猫は

どんどん譲渡されて行くらしい。


とにかく、僕の猫が出来た。

引き取ってからは苦難が続いた。


どうも馴れるのに時間のかかる猫らしい。


ご飯を食べない。

食べるのだけどケージの中で、

フリースで目隠ししないと警戒して食べない。

それが1週間ほど続いた。


トイレをしない。

これも数日間続いた。


初めてこいた時、やったねと思った

猫UNKOでめでたいと思うのは僕だけだろう。


ケージに中に手を入れて撫でようとしたが

失敗だった。

警戒して威嚇シャーの連続だった。

撫でるのはまだ無理か。


失望しかけた。


そんなある日、半液状の餌をスプーンで

与える事にした。


スプーンを手で持っていると警戒されて

食べないが、床に置くと食べ始める。

その時だけは再びスプーンを持っても

食べ続ける。


こんなやり取りで信頼関係が出来るといい。


また、猫じゃらしに多少じゃれつく。

以前は見向きもしなかったから進歩だ。


これも手で持ってじゃらすと反応が渋いが

ケージの中に押し込んでしばらく放置すると

かなりフィーバーして遊ぶ。


愛想ないと思っていたが、遊ぶんだ。


そして、嗜好性の比較的低いカリカリ、

ドライフードは劣化しにくいので

家を離れている時や夜間にそこそこ用意して

いるとお腹がすいた時に食べるらしい。


そんなこんなで進んでいるのか後退して

いるのか分からない保護猫との暮らし。


これがいつまでも続きますように。

出来れば猫に懐いて欲しいが、

それもまた人のエゴなのかも知れない。


猫には猫のペースがある。


二頭目?

それも考えたが、費用の面で断念した。

フード代はそんなにかからないが、

獣医のワクチンは結構高価で受けられない。

得策ではないと思った。


最後に、猫を飼った事による副反応。

かどうかは分からないが、就職先が決まった。

アルバイトではあるが、サクッと決まった。


これでワクチンや猫エイズ、白血病の

検査も出来るというものだ。


かつて社会復帰してみろバーカと

ののしられた僕だけど、お前がバカなんだよなあ。


この先どうなるかは正直分からない。

心折れるかも知れない。


ただやってみないと分からないじゃないか。


この先にしあわせがあるように。

不当な評価に縛られる事が無いように。

夢があるように、愛があるように。


猫はしあわせを招くだろうか。

ドキュメンタリーは終わらない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ