05:新しい狩りの手法
はあ、はあ、はあ
「ヤマトさん! 引っ張ってきました!」
「よし、その線の手前で止まって引き付けるんだ!」
「はい!」
フィールドという概念がないこの世界では境界の概念がなく、『モンスターはこちらを見失うまで追ってくる』というルール説明が書いてあった。
ソラにまずやって貰ったものは、モンスタートレインだ。
本来それはモンスターが人間を逃がさないための措置で、この世界においてモンスターに見つかるというのは逃げれない戦闘の始まりになる。
その仕様がうまくハマってしまい、計画的にレベル上げをしている人間でも、連続戦闘になってしまったり、戦闘中に魔物の仲間が集まってきてしまうため、負けて死んでしまうことが多いらしい。
ARというのは、あくまで拡張現実。現実の世界に、まるで本当にそこにあるかのように表現する技術だ。そのため拡張現実は実現するために、カメラなどからの情報が必要になってくる。
「よし今だ、一歩下がれ」
そしてここは世界でも数少ない、防犯カメラなどがない場所だった。
カメラが映るギリギリの場所から、カメラの映らないギリギリの場所に移ったソラは、モンスターからすると見失った判定になり、攻撃が止まる。
「よし、そこで通常攻撃」
「はい!」
これで攻撃する右手のみ出し入れするだけで、安全にモンスターを狩ることができる。右手が飛び出すたびにモンスターがこちらに反応し、右手が戻るたびにモンスターが見失う。唯一の懸念点だった、モンスターの追撃が切れることでHPが回復する可能性があるというのは、オープンワールドならではの設定で、ダメージは継続することがわかっていた。
これぞオンラインゲームなどでよくある【バグ地を利用した安全狩り】だ!
「――すごい!」
ソラが感動しているが全然凄くない。こういうのはズルいというのだ。




