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36:専属シェフ
(はあー良かった)
無事、食事を作ることでレベルが上がってくれた。良かった、川上春樹がこちら側の人間で。
しかし量が思ったよりも必要だったのは誤算だ。やっぱり職人系はレベル上げが大変だな。
「これで私も料理を作ってレベルがあげられます!」
「いえ、それは厳しいでしょう」
「え――」
「それは何故ですか、ヤマトさん」
「料理自体が、もともと贅沢品だからです。特に今の混乱したご時世では、更に食べる人間というのは減っていると思います」
「たしかに……」
「だから旦那さんには、専属シェフになって貰おうと思っています」
「それは一体……」
「それは……明日、改めてお腹が空いたら説明しましょう」
明日、一体何が分かるのだろうか。
翌日。
ボクシングジムに行くと、香ばしい良い香りが漂っていた。
「おはようございます! この香りはなんですか?」
挨拶も早々に、匂いの原因を尋ねる。
「おはようございます。これはカレーライスです」