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34:大量生産
「これは……?」
旦那をココに連れてきて、目にしたのは大量の食材だった。旦那も外に出ることは渋っていたが、私が怒ると渋々付いてきてくれた。
「ああ、奥さん。丁度今、準備が終わったところです」
「その、これは……」
「ええ、料理の食材です」
「あの……私は中途半端な料理は――」
「ああ、御安心下さい旦那さん。」
そういってニッコリと笑う彼。
「今日、作ってもらうのは簡単な料理ですから」
そういって取り出したのは、米、卵、味噌だ。
「これで何を……」
「作ってもらいたいのは、オニギリ、卵焼き、味噌汁です」
それは一般家庭でも簡単に作れる料理だった。別に家庭の料理を馬鹿にしているわけではなく、ただ正直、一流の料理人に頼むような料理ではない。
そんな料理を彼は作って欲しいと頼む。
「ああ、ですが量は沢山作ってもらいます。そうですね……軽く20人前は作って下さい」