31:訪問者
ソラが思ったよりも真面目すぎて危なかった。こういった釣り広告や釣りサムネという文化は昔は多かった。
こういった誇大広告は法律によって規制されることが多いが、今はその法律を司る政府がまともに稼働していない。
(悪しき文化……かもしれない)
少しだけ悪いことをしていると思いつつ、確かにこれで釣れるものもある。そう思い割り切ることにした。
看板を変えて5日経った。未だに相談者は訪れない。
(あれ……?)
あれだけ覚悟を決めて、やるぞ! と動き出したのに相談者は現れなかった。
そもそもヤマトも実際に誇大広告の経験がなく勘違いしていたのだが、こういった誇大広告はある程度、知名度があって発揮をすることが多い。無名の人間がいきなり『重大告知』といっても誰も見向きもしないのと一緒だ。加えて昨今の情勢から、そもそも外を歩いている人間が少なく、人の目に触れる機会が少ない。
そのため今も相談者は現れることがなく、シュッシュとボクシングの練習する音だけが室内に響く。
誤算だ……
これで仲間を入れ食い状態だと思っていただけに、とんだ誤算だ。しかもソラにあれだけ大口を叩いた手前、成果がない状態で次の策にも行きづらい。
(誰か! 誰か来てくれ!)
その願いが通じたのか、ドアベルがチリンチリンとなり来客を知らせる。
「あの~」
「はい!」
食い気味に反応するこちらに相手が少しビビってしまった。少し落ち着こう。
「あ、あの。実は相談がありまして……」
訪れたのは30代くらいの女性だった。