19:決闘
「なら、私はカイトさんを開放するために貴方に決闘を申し込みます」
「あ――?」
こいつ今なんて言った?
「ヤマトさんそれは!?」
「任せてくださいカイトさん。私はこの男性に決闘で勝ち貴方を縛り付けている何かを勝ち取ってあげましょう」
決闘だと……?
「おい、お前。その意味わかって言ってるんだろうな」
「勿論です」
「……いいだろう、その決闘受けてやるよ」
「話が早くて助かります。では表に出ましょうか」
「や、ヤマトさん――!?」
カイトがヤマトという男性と話しながら表へ向かう。いい度胸じゃねーか、この世界に住んでいて決闘の意味を知らない人間はいない。この世界において決闘とは現実の殺し合いを差す。拡張現実の世界で話がつかず、それでも決着をつける場合に最終手段として実装されている『決闘』は、どちらかが死ぬまで行われる。
そしてその意味を分かった上で申し込んできたこいつは、俺と殺し合いをする覚悟だということだ。
「―――!? ――」
あちらで何か話しているが気合を入れるために、聞かないようにする。今から殺す相手のことをあまり知っていると情が移ってしまう。ヒュウウと少し風が吹く、まだ時間もあるし、大丈夫だ。