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17:正義のヒーロー参上
「た、頼みますよ!」
「うるせぇ! ダメだって言ったらダメなんだよ! どうしても欲しかったら経験値もってこい!」
「そ、そんな……」
とある人気のない路地で男二人が向かい合って話をしていた。一人はいかつい顔をしており、顔にはナイフでつけられたような傷がある。スキンヘッドでガタイもよいが、歳のせいか少し腹が出ている。
対して向かい合っているのは、昨日までヤマト達と一緒に狩りをしていたカイトだ。カイトはこの男性に頭が上がらないらしく、さっきからずっとペコペコしている。男性に断られ肩を落としていた。
「ったく、いっただろ。さっさと人間を倒して経験値稼いでこいって」
「い、いやそれなんですが……」
経験値効率は決して人間は良くない。その話を聞いてから少しだけカイトは男性を信じられなくなっている。もともと素直な性格から人を信じやすく、今は素直にヤマト達が言ったことを信じている。
「あ? なんだ?」
大通りからこちらに歩いてくる男性を彼が見つける。
「なにか困りごとでしたら、助けてあげましょうか?」
声をかけてきたのはヤマトだった。