15:フィールドボス
「ほ、本当にいいのか? 俺も混ざって」
「ええ、一緒にやりましょう」
(なんて優しい人たちなんだ!)
Lv1に戻った彼を仲間に加えて、狩りを再開することにした。人数が増えたことで、狩りの効率が断然上がる。サクサク狩りが行え、この狩場でも問題がないと証明できた。
「えーっと、カイトはなんで格闘家なんですか?」
「男は拳でしょ!」
そんな会話を挟みながら狩りは順調に進む。彼は騙されやすい人間なのかもしれない。
そんな時、ヒュゥゥゥゥゥゥと一陣の風が吹く。
「――まずい! ヤマトさん建物に避難しましょう!」
「ん?」
なにかの合図だったのか。内容が分からないため、指示に従って建物の中に避難する。少しすると遠くでドシンという足音が聞こえる。ドシンドシンという音は少しずつ近づいてきて、建物の目の前を通り過ぎる。
(ヤマトさん、声を出してもダメです! 目も絶対合わせないでください!)
そんな注意を貰う。本当に一体何が起きているのか。ようやく足音が遠ざかり、フーと息を吐く。
「今のはフィールドボスです、ヤマトさん。」
「フィールドボスですか」
フィールドボス。それは初心者は、必ずといっていいほど引っかかる罠だ。ゲームで最初のマップ、ちょっと強そうだな~と思って手を出したが最後、一撃でHPの半分以上を持っていかれる理不尽な暴力。
「フィールドボスは倒すことはできるのですか?」
「……事実上は倒せる仕様になっているそうですが、今のところ討伐記録は僕が知る限りありません」
ふむ……フィールドボスか。倒したら何かレアアイテムでも落としそうだな。




