10:街に辿り着く
街に辿り着き、ようやく腰を据えて落ち着くことができた。
当面の目標はレベル上げだ。街中にはカメラも多く山奥で使った狩り方は通用しない。建物に入れば似たようなことも出来るが、魔物の数が少ない街中でやっても効果が薄いだろう。
何よりそんなズルでレベルを上げても魔王に勝てる見込みがない。
普通に戦って実力をあげていくことが肝心だ。
(とりあえずある程度近くて、安全な場所を確保できて、ある程度魔物が沸く場所はないかなぁ)
もしあったとしても恐らくそこは人気スポットになってるだろうから、無理だろう。おいしい狩場は独占できないのは今も昔も同じだ。
家の中から外を見ると、街中は閑散としており、人も少ない。今の街はこんな感じなのか。
「街に人が少ないのは『人斬り』がいるからですね」
【人斬り】
本来は魔物を狩ることでレベルをあげるのは一般的だが、まれに人を狩ることでレベルをあげているものがいる。
(PKみたいなものか……)
おいしい狩場を独占するためにPKをしたり、ゲームによってはアイテムをドロップするため好んでPKをする人間もいる。PKの厄介なところは彼らはプレイヤーに特化した装備やスキルを積んでいることだ。魔物を狩る人間からするとどうしても人間狩りの特化装備には勝てないことが多い。
「とりあえず明日、周辺地理を探索してみるか」
何にせよ情報が少ない。特に山中にずっと引きこもっていたため、街の情報に疎かった。