↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村娘Aが勇者を殺すまで  作者: 藤森ルウ
第4章 王都編(上)
44/76

036 御前試合(後)



「ジョアン、大丈夫? 少し疲れた?」

「⋯⋯えっ、あっ、ごめんごめん! ちょっと人混みに酔っちゃったかもー!」


 ミゲルに手を引かれて貴賓席までやってきたジョアンは、彼に声をかけられて我に返る。

 彼が貴賓席へ向かい始めた時は驚いたものの、思えば彼は末っ子とはいえハンフリー男爵家に連なる者なのだから、貴賓席に入れるのも当たり前である。僕を信じて、なんてカッコつけた事を言われたからびっくりしてしまったけれど、手品と同じで仕掛けがわかってしまえばなんてことはなかった。


 心配そうな顔をしている彼がこれ以上疑問を持たないよう明るい声で答えながらも、ジョアンは内心では全く別のことを考えていた。

 先ほど見た、あの灰色の髪。

 ジョアンが知る限り、この世にあんな髪色はあの一家しか──


「君でも人混みに酔うことがあるんだね」

 

 首を傾げたミゲルの言葉に、ジョアンの思考が途切れる。


「ちょっとーなんか失礼じゃない!? アタシだって人混みに酔うことぐらいありますー!」

「分かったから、そこに座って。僕は給仕に声をかけて、飲み物をもらってくるから。アイスティーでいい?」

「うん。ミルク多めでお願い」

「了解。⋯⋯具合が悪くなったら言って」

「心配性だなぁ、大丈夫だって! 先に試合見とくねっ!」


 まだ納得していない様子のミゲルにジョアンは手でピースサインを作って、笑ってみせる。

 ──言えない。本当は、あんなに楽しみにしていた試合の内容が入ってくる隙間がないぐらい、頭の中は先ほど見かけた灰色の髪のことでいっぱいだなんて。


「せっかく試合に連れて来てもらったのに、こんなの聞いてないよ〜っ!」


 思わず声に出して頭を抱えてしまうが、ちょっと大きすぎる程度の独り言なんて聞こえないぐらい、周囲の人々は試合に盛り上がっている。

 おかげでジョアンは、息を整えて、改めて気持ちの整理をつけることができる。

 

 本当に灰色の髪を見たのかは分からない、すぐに見失ってしまったし、見間違いかもしれない。だけど、人違いだけはあり得ないとジョアンは確信している。灰を被ったようなあんな髪色、幼馴染のアリソンとその家族しかあり得ないのだから。

 でも、どうしてアリソンが王都に? いや、そんなことは後でいい。とにかく、なんとかしてアリソンを見つけて話をしなくちゃ。何が起こったのかを聞いて、それから勇者様も。きっと近くにいるだろうから、隙を見つけて話に行かないと。レインナート様なら、きっと分かってくれるはずだ。


 試合に連れて来てもらう条件のことなどすっかり忘れて、ジョアンは試合に夢中になっている人々に目を向ける。

 きっとどこかにいる灰色と、そして鮮やかな橙色を見つけるために。



◇◆◇



『おおっと、先に動いたのは巨大タランチュラだ! しかしドワイト様の大剣はびくともしない! さすがの怪力です!!』


 実況をする司会役の声を覆い尽くさんばかりの歓声が、あちこちから湧き上がる。

 闘技場の中央では、全身を甲冑で包んだ重騎士ドワイトが大剣でタランチュラの足を防いでいるところだった。タランチュラの足は緑色の光に包まれており、どうやら魔力を伴った攻撃を行なっているようだが、ドワイトには全く効いていない。

 一般席の中、観客たちにぎゅうぎゅうに押されながら試合を見ていたアリソンとラズは、時折顔を近づけては意見交換をしていた。そんな中でふと浮かんだ疑問を、アリソンはラズに問う。


「それにしても、あんな大きい魔物控え室にいましたっけ? どうやって地下に運んだんでしょう?」

「ああ、あれは地下じゃなくて他の空間から転送してるらしいわよ」

「転送⋯⋯セネカの魔術みたいに、ですか?」

「それに近いというか、それより少し初歩に近い魔術かしらね。決まった地点同士を繋げるだけなら、セネカ以外にもできる魔術師はいるみたいよ。大方、宮廷お抱えの魔術師にでもやってもらったんじゃないかって同僚たちが噂してたわ」


 仕事をこなしながら、情報収集もこなしていたとは。アリソンも同僚である他の女性たちと会話をしたことはあるが、ほとんど世間話程度のもので情報を集めていたとは言い難い。

 今度機会があったら情報収集のコツを教えてもらおう、と心に決めて意識を試合に戻す。


 ドワイトが大剣を振りかぶると、タランチュラは壁際まで吹き飛ばされてしまう。地面が一直線に抉られているのを見るだけでも、その威力が伝わる。

 そこから近づいて追い打ちをかけるかと思いきや、ドワイトは微動だにしなかった。目を真っ赤に光らせたタランチュラが糸を吐き出して反撃すると、その糸を次々に切り裂いていくものの、ドワイトは自分から攻撃を仕掛けようとはしない。

 私だったらあそこで踏み出す、私だったらあそこで切り掛かる、私だったら──無数の可能性を脳内に思い描くが、ドワイトはそのどの行動も取らず、けれど痺れを切らしたタランチュラが攻撃する度に反撃しては、着実にタランチュラを追い詰めていく。

 遅く、けれど重い一撃の一つ一つを受け、タランチュラから血が噴き出す度に会場が湧く。アリソンはひっそりと心の中でタランチュラを応援する。頑張れ、頑張れ。

 そんなアリソンの横で、腕を組んで試合を見ていたラズが「ふうん」と呟く。


「彼は守りに重きを置いている騎士なのね。言うなれば、鉄壁要塞⋯⋯といったところかしら」

「私もああいう戦い方をした方が良いですか?」

「どうかしら⋯⋯あなたは確かに根性があるし持久戦に向いてなくはないと思うけど、防御面が特に強いというわけではないし」

「なるほど。じゃあ、ラズは?」

「あたし? あたしは短期決戦でサクッと片付けるのも爽快でいいと思うし、逆に毒でじわじわ追い詰めるっていうのも嫌いじゃないわよ。相手に効けばだけど」


 舌打ちして、爪を噛んだラズを思わず「痛めますよ」と制止する。

 勇者に毒が効かなかった時のことを指して自虐的な物言いをしているのだろうけれど、アリソンはラズが傷つくところは見たくなかった。例えそれが、彼女自身によるものだったとしても。

 そんなアリソンの目を見て意図を察したラズは、「過保護ね」と小さく零す。


「過保護なのはラズもでしょう? 時々私のことを手のかかる子供のように思ってるの、知らないと思ってるんですか?」

「あら、だってあなたには生きてて欲しいもの」

「⋯⋯私だって、ラズには生きてて欲しいです」

「知ってるわ」


 ──でも、そう思って欲しくないんじゃないですよね?

 喉の奥まで出かかった言葉は、けれどきっと、口にしても互いに傷つくだけだから、アリソンは口を閉ざす。

 ラズが本当は死に場所を求めていたとしても構わない。そうならないように、自分が勝手に守ればいい。ラズがイグニスの遺志を守るためにアリソンを助けてくれるように、アリソンも自分がラズに生きていて欲しいから守る。


『復讐した後にどうしたいかは考えておけよ』


 いつか聖都でルークに言われた言葉を思い出す。

 復讐を果たした後のことなんて、遠すぎてまだ考えられない。けれど、その時もラズが今と変わらず傍にいてくれたらどんなにいいだろう。アリソンたちが歩く道は、一人で歩くには暗すぎるから。



◇◆◇



「こちらでよろしかったでしょうか、ハンフリー様」

「うん。ありがとう」

「とんでもございません! あの、やはり席までお運びいたしましょうか?」

「いや、ここまででいい。⋯⋯忙しいんだろう、早く持ち場に戻るといい」

「はっ! また何か必要なものがありましたら、どうぞお声がけください」


 礼をするなり慌ただしく駆けていく後ろ姿を見送り、ミゲルを息を吐く。その辺で給仕係を見つけて飲み物をもらうだけのつもりが、まさか給仕係が見つからず地下にまで降りてくることになるとは。地下がほとんどがらんどうであることを見るに、仕事を放り出してでもドワイトが戦うところを見たい、という人間は一人や二人ではないらしい。

 観客席へ戻る道を歩いていると、地上から降りてきたふたつの人影が分かれ道の方へと傾れ込むように消えていくのが見えた。そちらは地上へは繋がっていないはずだが、治療室行きだろうか。

 どうしてか無性に気になって彼らの後を追いかけたその時、気配もなく近づいてきた者がミゲルの肩を叩いた。


「覗き見とは、いけない趣味だなぁ」

「ッ!? ⋯⋯っ勇者、様⋯⋯?」

「やあ、君は⋯⋯確か騎士団にいたよね? 訓練を見かけたことがあるよ。ハンフリー男爵家の末っ子だったかな?」

「⋯⋯覚えていて下さったとは、光栄です」


 にこやかに声をかけて来たのは、レインナート・ローウェン、つまり勇者その人で。ミゲルは危うく手に持ったグラスを落としてしまうところだった。

 平静を取り繕い、彼にとっては聞き飽きたであろう言葉を紡ぎながら、まずいことになったな、とミゲルは冷や汗を流す。ミゲルは実際に勇者と言葉を交わしたことはないが、彼は地位の高くない者に対しても親しみを持って接することで有名だ。地上に戻るなら一緒に行こう、なんて流れになったら、ジョアンと鉢合わせてしまう可能性が高い。今は彼女を勇者に会わせるわけにはいかないというのに。


「レインナート様がこのようなところで何を⋯⋯」

「君と同じだよ、給仕係が見つからなくてね。もう一つは恋人の分かい?」

「いえ、彼女は友人で、」

「ははっ。でも女性ではあるんだね」


 ミゲルが手にしている二つのグラスを指差したレインナートは、快活とも軽薄とも取れる笑い声を上げた後、「ところで」と、未だ肩に置いたままの手にぐっと力を込めながら前置きして言う。


「あの道を行くのはおすすめしないな。このまま何も見なかったことにして、観客席に戻った方が良いよ」

「⋯⋯何故、ですか」


 普段の自分ならば、ここで踏み込まない。知らない方がいい事もあることを、ミゲルはジョアンと違って知っている。

 だがどうしてか、聞いてしまった。

 先ほど、あの分かれ道へと消えていった人影を追いたくなった時のように、何かに誘われるように、ふらふらと聞いてしまったのだ。


「彼女はね、ちょっと堪え性がないから」

「彼女?」

「うん。僕の大事な仲間のひとり。やっぱりこういう熱に浮かされた場所は昔を思い出して苦手なんだろうね、そうなると気分転換の一つでもないとやってられない。⋯⋯見たところ、君も苦手だろう? こういう派手な場は」

「それは⋯⋯」

「まあそんなわけで、君はさっさと地上に帰るといい。俺はここで見張っておくから」


 見張るとは何を。それは「彼女」とやらの気分転換に関連があるのか。

 脳内に浮かんだ疑問を口にしたい衝動に駆られるが、今度こそミゲルは誘われずにそれらを飲み下すことに成功する。


「⋯⋯よく分かりませんが、ご忠告、感謝いたします」

「うん、君のように聡い人間は嫌いじゃないよ。その調子で強くなってくれ。近いうちに魔人との戦いが控えているからね。ドワイトが今日こんなところでデモンストレーションしているのも、その準備の一環だから」


 魔人討伐のなんて、そんな華々しい任務があるのならばとっくに騎士団中を、いや王都中を噂が駆け巡っているはずだ。けれどそんな話は聞いた事もない。ならばそれは、一部の人間しか知らない、まだ秘匿された情報であるはずだ。


「そのような重大なことを、たかだか従騎士でしかない僕に聞かせていいのですか?」

「うん? 構わないんじゃないかな、そもそも君はすぐにでも正騎士になれるだろう? 相棒を切り捨てれば。君の父上も、恐らくはその相棒の父上もそれを歓迎するだろうね」

「なっ⋯⋯どうしてあなたがそれを、」

「君の相棒の父親は、仮にも魔人討伐の協力者だったからね。流石にそのぐらいは把握しているよ、ミゲル・ハンフリーくん」


 春の木漏れ日のような暖かな眼差しに、好意的な笑顔。

 けれど、そんな表面を取り繕ったところで腹の底に隠している黒いものの臭いはかき消せない。


「⋯⋯ありがとうございました。失礼します」

「うん、賢明な判断をしてくれて助かるよ」


 礼をして走り去ったミゲルの背中が見えなくなると、レインナートは薄ら笑いを消し、真顔になって分かれ道の先を見守る。

 腕を組み、背中を壁に預けた彼の前で、分かれ道の先から溢れでた白い薔薇が赤く染まった。



◇◆◇



『これはすごい! タランチュラの足が千切れるとは!! 今回使用しているこの巨大タランチュラ、実は魔術によって特別に調教した個体で、鋼のような甲殻を持っているのですが⋯⋯さすがはドワイト様! 勇者様もさぞかし鼻が高いことでしょう!!』


 司会の声は観客の興奮を代弁するように大きく、そして鬱陶しい。

 耳を塞いだアリソンがオペラグラスを覗くと、そこではドワイトが魔物の足をもいでいるところだった。大剣が貫通し、身動き取れないタランチュラの体に片足を乗せた彼は両手でメキメキと足を一本ずつもいでいく。タランチュラが悲痛な叫びをあげるが、会場はその度により一層興奮したような声で包まれる。

 思わず口を両手で抑えたアリソンは、地面を見つめた。なんの変哲もない、ボロボロのサンダルと自分の足を食い入るように見つめるアリソンの肩にひんやりとした手が触れる。目線だけを動かすと、ラズの蒼い瞳と目が合う。アリソンに合わせて少し前屈みになった彼女は、耳元で囁く。


「魔物に同情してるの?」

「⋯⋯だって、痛そうじゃないですか。まるで⋯⋯」


 ──まるであの夜、勇者に嬲り殺しにされたイグニスのようだ、とは言えなかった。そんなことを言ったら、イグニスを大切に想っているラズを悲しませてしまう。

 彼がただの肉塊になっていった過程がいま闘技場で行われている行為と重なり、アリソンは喉を迫り上がってくるものを必死で我慢する。勇者レインナートといい、ドワイトといい、どうして英雄と呼ばれた彼らはわざわざ相手をいたぶって弄ぶのだろう。心底理解できない。


「どうして、もう勝敗が決まってるのにわざわざ足をもぐんですか? そんなことしなくたって⋯⋯」

「まあ、そういう趣旨の見せ物なんでしょうね。ああ、まだ顔は上げない方がいいわ。アンタには刺激が強すぎる」

「⋯⋯っ!!」


 ラズの言葉に、顔をあげかけていたアリソンは慌てて顔を下げる。身体を折り曲げ、殆ど額を膝につけるような姿勢になったアリソンの背中を、ラズは子供をあやすように一定のリズムで叩く。

 気遣いへのありがたさ半分、子供扱いへの気恥ずかしさ半分で、ますます頭を下げると、頭上からくすくす笑う声が聞こえた気がした。周囲があまりにも騒がしいので、空耳だったかもしれないけれど。

 気を逸らすために何か言おうと、アリソンは口を覆っていた手をゆっくり慎重に離し、ラズの服の裾を引く。どうしたの、と身を屈めてくれた彼女に、アリソンは彼女にだけ聞こえるような声で聞いた。


「⋯⋯あの、ラズは平気なんですか?」

「あたし? そうね、あたしはあなたよりは割り切るのが得意だし、あの魔物は殺されるために作られた個体だって最初から分かっていたから、感情移入をせずに済んだのかもしれないわね。もちろん、個人的にはタランチュラにやられる勇者一行は見てみたいけれど」


 タランチュラに食い殺されるドワイトの姿を脳裏に思い描くと、なんだか滑稽な気がする。

 ドワイトによる蹂躙はまだ終わらなそうなので、ついでに気になっていたことを聞いてしまおうと、アリソンは顔を下げたまま口を開く。


「実際のところ魔物ってなんなんですか? 魔人の出す瘴気から生まれてる、ってみんな言ってましたけど⋯⋯」

「魔物が瘴気から生まれているっていうのは本当だけど、それは魔人の仕業じゃないわ。ただ、その魔物を抑えるために世界が生み出した防衛機構が初代勇者だったのと、勇者だけが扱える聖剣フォルティスが魔人の再生能力を無効化できるから、魔物は魔人が生み出したって思われたんでしょうね」

「なるほど⋯⋯でも、じゃあ本当に勇者は女神が世界を守るために使わした存在なんですね」

「大方そんなところね。尤も女神の意志なのか、それとも女神なんて本当はいなくって、勇者というのは食物連鎖のような単なる自然界の仕組みの一つなのかは分からないけれど」


「どちらにせよ忌々しい仕組みね」と、ラズがごちると同時に群衆がどっとざわめく。

 つられて顔を上げてしまったアリソンが見たのは、足を全てもがれたタランチュラにドワイトが大剣を再び突き刺すところだった。一際大きく歓声をあげ、闘技場を揺るがした観客たちと対照的にアリソンとラズの表情は硬い。ピクピクと未だ痙攣しているタランチュラが痛々しく見え、アリソンは目を逸らす。

 可哀想に、きっと痛いだろうに。どうしてこんなものを人々は喜び勇んで見に来たがるのだろう。例え今日の試合がドワイトではなく見知らぬ騎士の手によるものだったとしても、こんな一方的なものはただの虐殺としか思えない。


「⋯⋯そろそろ行きましょ。休憩時間も終わるし」

「はい、そうですね」


 そっと立ち上がり、群衆の合間を縫って抜け出そうとしたその時、ふいにドワイトと目が合った気がした。

 まさかそんなわけがない、とアリソンはすぐに思い直す。だって彼は鉄仮面をつけているし、こんな何千何万とひしめく観客の中から目が合うわけがない。


 しかし。


『ドワイト様? どうし──ドワイト様!??』


 キーン、と耳をつん裂くような司会役の声。どよめく周囲。その全てが一瞬で遠くなる。

 ドワイトが剣を振り下ろす。衝撃波で地面が割れていき、それは試合が行われた中央の広間から客席へと真っ直ぐにやってくる。


 ──気のせいではなかった。

 彼は狙っている。他でもないアリソンを、いや、アリソンとラズを。


 慌てたように腕を引っ張るラズが何かを叫んでいるが、何も聞こえない。考えるよりも早く、アリソンは服の下に隠していたフランベルジュを引き抜き、客席の最前列に躍り出て剣をかざす。


「炎よ、壁となれ(フランベルジュ)ッ!!」


 剣を包んでいた揺らめく炎は高く大きく広がると、ドワイトの攻撃を阻む城壁のように立ち昇った。



最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


次回更新日:9/11予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。