裸エプロンクッキング
「おっ、来たかエリザリア。」
「はい! お待たせしました、ジャレオ様!」
エリザリアは微笑みながらそう言った。
「それじゃあ、そろそろ次に行くとするよ。色々とありがとうございました、イーディーさん。」
「ありがとうございました〜!」
「へっへっへっ......今後ともご贔屓に......。」
イーディーは目元を見せず、不敵に笑いながらそう言ったが、不思議と親密さを感じた。イーディーさんとは今後ともうまくやっていけそうな気がするぜ。
「一旦宿屋に戻るか...。」
「はい!」
俺達は泊まっていた宿屋に戻ることにした。
「色々な物を買いましたね〜。」
エリザリアは購入品を見ながらそう言った。
「ああ...そうだな...。」
「あっ...!このエプロンかわいい〜!ジャレオ様が購入なさったのですか?」
エリザリアは『強制裸エプロン』を広げてそう言った。
「う、うん?ま、まあそうだな......。」
しまった〜〜〜!買い物袋同じにしちゃったよ〜〜〜!!俺のバカちんっ!!
「そうなんですか! これも、もしかして何か特殊な力を持っているのかな.......? お料理上手になるとか......。」
エリザリアは尋ねた。
「ま、まあそんなところだな......。」
俺は曖昧に答えた。
済まないエリザリアッ......!そんな能力一切ないッ!嘘っぱちだッ.......!
「へえ〜!凄い!それでは今度これを着て、お料理しますねっ!」
「え!?あ、ああ...わかった...、よろしく頼む......。」
しまったな......。能力が過激だから、もっとエリザリアと仲良くなってから、この『エプロン』を出そうとしていたが......。成り行きで近いうちに着てもらう事になってしまった......。でもまあ仕方がない、その時に説明するとしよう......。
「ふふふっ...楽しみだなぁ〜♪」
エリザリアは笑顔で『強制裸エプロン』をしまった。
俺とエリザリアは宿屋に着いた。
「さてと、今何時だ......?ああ.....もう3時か。」
「長い間買い物しちゃいましたね。」
「ああ...、意外と長居したな......。ああ...しまった。この時間だと流石に宿屋の昼食が出ないな。どうしたものか......。」
「あっ!ちょうどいいですね!私がお昼御飯を作ります!早速エプロンを使いましょう!!」
エリザリアが閃いたような表情でそう言った。
「何っ!?早速だとっ!」
まずいっ......!心の準備が!
「ジャレオ様!私、お買い物に行ってきますね!」
部屋を出ていこうとした時、エリザリアはあることに気づいた。
「あっ...お金はどうしましょう......。」
しばらく沈黙が続いた後、俺は言った。
「.......『金塊』これを換金するといい......。」
俺は最後の『金塊』を取り出し、エリザリアに渡した。
「いいのですか......?」
「ああ、存分に使ってくれ.....。エリザリアの手料理、食べたいからな......。」
「あ......ありがとうございます!私......ジャレオ様に喜んでいただけるよう、精一杯お料理します!」
エリザリアは決意に満ちた表情でそう言い、部屋を出た。
頑張る乙女の邪魔なんぞ、俺には出来ない。エリザリアの裸エプロンがいち早く見たくなったからではない。裸同然の状態になったお料理中のエリザリアの後ろ姿を見て楽しみたいとかそういうのではないぞ!
「ただいま戻りました!ジャレオ様!」
「ああ...おかえり、エリザリア。」
エリザリアは両手に荷物を持ち、キッチンまで運んだ。
「それでは早速...」
エリザリアは『強制裸エプロン』を身に着けようとしていた。
くっ......駄目だ、俺にはやはりエリザリアを騙すような事は......。
「あっ...待ってくれエリザリア。」
「...? ジャレオ様...?」
俺はエリザリアに真実を告げることにした。
「すまないエリザリア、そのエプロンは実は『強制裸エプロン』と言って、身につけた者の服を魔法で全部脱がせてしまう服なんだ.......。それ以外の能力は無い、俺がエリザリアに言った事は嘘なんだ...騙すようなことをしてすまなかった......。」
エリザリアは俺の話を聞いた後、しばし驚いていたが、その表情はすぐに変わり、俺に向かって微笑んだ。
「ジャレオ様は本当にお優しいお方ですね......。私を気遣っていただき、ありがとうございます。ですが、大丈夫です......。」
そう言うとエリザリアは『強制裸エプロン』を身につけ、紐を縛った。
「.......! エリザリア......!」
『強制裸エプロン』を身に着けたエリザリアの体は光を発し、周囲を照らした。その光はまるで神聖魔法のように清らかであった。
周囲が光輝く中、エリザリアの着ていた衣類が続々とひとりでに、するりと脱げ、綺麗に畳まれていく様子を俺ははっきりと目視した。