和解
「冒険者の皆様が魔物を無事、討伐されたぞー!!」
「ばんざーい!! ばんざーい!!」
村人達は俺達を存分に褒め称えていた。
「やりましたね! ジャレオ様っ!!」
エリザリアは俺に抱きついて喜びを噛み締めた。
「ああ......! エリザリアもよく頑張った......!」
俺はエリザリアを抱き寄せ、頭を撫でた。
「今回の戦いは、『完全逃走』の扱いだけでなく、お前のアイデアも冴え渡っていた......。こればかしは私も脱帽ものだよ......! 見事だ、ジャレオ! 」
エレノアが俺を褒め称えた。
「ありがとう......エレノア......! でもエレノアの活躍があったからこそ、俺達の安全が確保されたんだ......。動きが冴え渡っていたのはお互い様だろ?」
「ふふっ......。」
エレノアは目を閉じて微笑んだ。
「ジャレオさん、エリザリアさん、エレノアさん、ありがとうございました......! 皆さんのご活躍によりケイスター村に住む全ての村人の命が救われました!」
コーデリアさんは笑顔そう言った。
「コーデリアさん......! ありが......ああ......えっと......その、ありがとうじゃなくて......感謝する......じゃなくて......。」
「うふふふっ......心遣いありがとうございます♪ ですがいいんです......。素直に言って下さって構いません......。私の極度の恥ずかしがり屋の性格はこれから直していく事にしましたから......!」
「ああ......そうなのですか......。それじゃすみません、改めて言います。有難うございました! コーデリアさんの怪力薬があったからこそ反撃される事なく、ステルスウルフを倒す事が出来たのだと思います......! 本当に有難うございました......!」
「......はい♪」
目を閉じ、コーデリアさんはそう返事をした。
コーデリアさんの顔は耳まで赤くなっていて、少量の汗をかいていた。
ずっとシリアスの雰囲気が続いてきたので、ずっと黙っていたが、コーデリアさんって本当に可愛らしいよなぁ......。
「君達......。」
兵士は槍を杖の様に扱いながら、俺達の所へやって来た。
「兵士さん.....もう立っていいんですか? ダメージの方は......。」
「大丈夫だ......。それよりも君達に感謝と謝罪をせてくれ......。」
「ます、何よりも村人の皆さんを守ってくれてありがとう......。君達がいなかったら、間違いなくあの魔物によって村は壊滅していただろう......。」
「そして疑ってすまなかった......。君達の戦いを見ていて、この村に仇なす存在ではない事をようやく理解したんだ......。本当にすまなかった......。君達の言う事を信じよう......。」
「兵士さん......。」
「そうだ。もし良かったらこの後、村長さんにあってくれないか? 君達の活躍は、私が伝えよう......。」
「ええ、いいですよ。もともと村長さんに報告するつもりでしたから......。」
「そうか、すまないな......。それじゃ行こうか......。」
俺達は兵士と共に村長さんのもとへ向かった。
村長さんの家に着くと、早速兵士は例の冒険者達......俺達によってステルスウルフが討伐された事と、村長さんの家に向かう途中に説明した魔女病事件の真相を村長さんに伝えた。
「なるほど......そういう事が......。『活性の魔女』様、数々の無礼をお許し下さい......。誠に申し訳ない......。」
村長さんは深々と頭を下げた。
「いえいえ......そんな......。」
コーデリアさんは申し訳なさそうに手を振りながらそう答えた。
「さて、そうなると、近いうちにドクターベイシム氏の村人達に向けた謝罪が行われるでしょうな......。」
「村長の私からも少し話をしておこう......。」
しばらく間を開けた後、俺は村長さんに話しかけた。
「すみません、村長さん、お電話をお借りしてもよろしいでしょうか? ドミニエルさんに依頼の報告をしたくて......。」
「そうですか、わかりました......。それではコレを使ってください。」
村長さんは魔法電話を貸してくれた。
「ありがとうございます。」
俺はドミニエルさんに電話をかけ、兵士と同じ様に依頼報告と魔女病の真相を伝えた。
「なるほど......。まあともかく、依頼達成おめでとう! 帰りの馬車を手配しよう......と言いたい所なのだが、少しトラブルがあってな......。すぐに馬車をそちらに派遣出来ない......。到着するのは2日後になるたろう。」
「そうなんですか。わかりました。ではその間、ケイスター村に滞在していればいいですか?」
「ああ、でももし、ケイスター村の近辺にいい所があるなら、そこに泊まってもいいぞ。」
「そうですか......わかりました。それではケイスター村に馬車を派遣して下さい。」
「ああ、分かった。」
俺は魔法電話を切った。
「ジャレオ様、どうかなさいましたか?」
「ああ、どうやらトラブルがあったらしく、馬車の到着が2日後になるらしい。その間何処かに滞在しておいてだって......。」
「それじゃ私の家に来て下さい! 目一杯おもてなし致します♪」
コーデリアさんはウキウキ気分で提案した。
「ああ、何日もすみませんね......。お願いします。」
「はーい♪」
「それでは村長さん、兵士さん。俺達はこれで失礼します......。」
「はい、冒険者の皆様。ありがとうございました......!」
俺達は村長さんの家を後にした。