駆け出しヒーラー エリザリア
「ああ、大事に至らずに済んでよかったよ...。」
「はい...あっ私、エリザリアと言います...。」
「あー、俺はジャレオだ。」
「ジャレオ様、お強いのですね...!名立たる剣士の方とお見受けしますが...。」
「ああ、えっと...。」
しまった...俺まだ『冒険者見習い』なんだよなぁ...。『剣士』に転職は出来るんだけど、神殿で転職するの面倒くさかったからやってないんだよなぁ...ちょっと説明するのが面倒だな...。
まあ、しょうがねえか、説明しよう。
「俺、冒険者見習いなんだよね...。」
「えっ...?冒険者見習い...ですか...?。」
やはりエリザリアは困惑した表情を見せた。
エリザリアは背中の辺りまで艶やかな黒髪を伸ばしていて、前髪は綺麗に切り揃えており、正しく正統派清純美少女であった。歳は俺と同じくらいか...。
そして大人しい性格とは裏腹に服の上からでもわかる豊満な胸をしていた。おかしいなぁ...姉ちゃんのは何とも思わないのにエリザリアのはすげえエロく感じるぞ...。
服装を見る限り...冒険者っぽい。恐らくヒーラーであろうか?ヒーラーは服装で判断しにくいので、本当の所は本人に訊いてみるとしよう。
あっと、その前にエリザリアに俺のスキルについて説明しないとな...。ずっと困惑した表情をさせるのは申し訳ない...。そんなにもったいぶるものでもないしな。
「実は最近『スキル施し』を受けてな...『完全逃走』ってスキルを手に入れたんだが、それの素早さ上昇効果がそれはもう半端ないんだよ。これ見てごらん。」
俺はエリザリアにスキル魔術書を見せた。
「...!素早さ99999...!攻撃力も370あるのですか!」
「うん、素早さカンストしちゃってるわ...。まあそれで攻撃力に素早さが依存する武器を使って〜って感じだな。」
「なるほど...。」
エリザリアは納得したようにコクリと頷いた。
「ところでエリザリアはなんでこんな所に?商店街で買い物するだけなら路地裏なんて行く必要ないだろう?」
「えっと...それは...。」
「言いたくないことなら無理に聞きはしない。」
「いえ!そんな...。そのお金が必要なんです...、それも大金が...。」
「それは何故だ?」
「私の実家はある魔物と冒険者の激しい戦いによって燃えてしまったんです...。かなりの高ランクの魔物らしくて、どうしても被害を抑えることができなかったとお話を聞いております...。」
「なるほど...しかしその場合は国から保証金が出るはずではないのか?」
「はい...、確かに貰えたのですがあまりにも被害が大きくて...十分な保証を得られなかったんです...。なのでずっと家を無くしたままなんです。」
俺はときより相槌を打ちながら静かに聞いていた。
「私のレベルにあった依頼では、すぐには家を建て直せるほどお金を稼ぐことが出来ないので...。
少しでも早くまたお母さんとお父さんの笑顔が見たくて、両親の苦悩をなくしてあげたくて...。いけない事とはわかっていますが...その...いかがわしい仕事を受けようと決意してここまで来ました...。」
エリザリアが話し終わった後、すぐに俺は提案した。
「わかった...。俺に考えがある...。付いてきてくれないか?」
「えっ...?あっはい!」
俺はエリザリアの手を取り、冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルドに着くと早速ギルドに置かれた掲示板に向かった。
「高額な依頼は...あった、これだな。『ゴールデンプルリン 5体討伐』...とにかく攻撃力が高い者、求む!...か丁度いい。すまない、この依頼を受けたいのだが...。」
「かしこまりました!すぐに馬車をお出しします。」
受付嬢が元気に返事をする。
「この依頼ならかなり稼げるだろう。もともとの依頼金の高さ、魔物討伐時のドロップアイテム、所持金など全てにおいてかなりゴールドを入手出来るからな...。」
「なるほど...。ジャレオ様のお強さなら確かに依頼を達成できますね!」
「うん、準備ができたなら行こうか。」
「はい!」
エリザリアは頷いた。
馬車に乗った俺とエリザリアは数十分程度移動した後にゴールデンプルリンが生息するチェスロー砂漠に着いた。
馬車を降りると早速ゴールデンプルリンを発見した。
「よし、早速狩るか...。」
俺は『完全逃走』を発動させ、スライム状の黄金の魔物に向かってスピードナイフで攻撃した。
ゴールデンプルリンは一撃で倒れた。
「流石ジャレオ様、お強いですね!Dランクの剣士でやっと1ダメージ与えられるかどうかの敵を一撃でやっつけてしまうなんて...。」
「まあ、正直防御力はEランクと冒険者見習いの間ぐらいだから一撃で倒せないと困るんだがな。」
ちなみに冒険者のランクはA〜Eと『冒険者見習い』があって、Aランクが1番強く、『冒険者見習い』が最下層だ。
「よし、まあでも大丈夫そうだな。どんどん狩って行くぜ!」
「はい!あっ...ジャレオ様!私はヒーラーですので、お怪我をされたら是非私にお申し付け下さい!」
「オッケー!一緒に頑張って行こうぜ!エリザリア!!」
「はい!!」
俺は次のゴールデンプルリンに狙いをつけた。