放置された侵入経路
ロゼッタは金色のツインテールであり、まるで人形のように大きな瞳が特徴的であった。また肉体年齢が極度に若くなっているとのことで体型はロリであった。
「若返り薬とか、どうやったら魔女に成れるとか、世界には現在魔女は何人いるだとか、魔女についてもっと知りたいが、話をしているだけで日が暮れそうだからまたの機会にするよ。」
「まあそれがいいわね...。謎多き存在だということは自覚しているから...。」
ロゼッタは続けた。
「貴方、名前は...?」
「ジャレオだ。俺と一緒にいた女の子はエリザリアと言う。」
「ジャレオとエリザリアね。」
ロゼッタは続けた。
「見た所、二人は冒険者って感じね。」
「ああ、俺は冒険者見習いで、エリザリアがヒーラーをやっている。今は二人だけでパーティーを組んでいる。」
「ジャレオ、冒険者見習いなの? 冒険者見習いだと短剣スキルを使えないわよね...? ドミニエルさんが言うには凄腕の新人短剣使いって聞いたけど....。」
「ああ...、スキル施しで授かった『完全逃走』以外のスキルは一切覚えていない。」
ロゼッタは少し考える素振りを見せた。
「ふーん、スキル施しねぇ......あー、何となく察したわ。そのスキル...滅茶苦茶強くて他のスキルを使わなくても大型魔物に勝てるって事かしら。」
「その通りだ...。」
「転職はしないの?」
「ああ...転職は前から考えているんだが結局出来てなくてな。ドミニエルさん直々の依頼を断るわけにもいかないしな。」
「まあ...それはそうね。」
「休みだし、今日転職してくるか...。」
「うん、冒険者見習いはスキルを覚えないから転職は早めにしといた方がいいわね。戦闘面は十分だから、戦闘以外にも使えるスキルを覚える職なんていいんじゃない?」
「ああ、俺は盗賊にしようと思っている。『完全逃走』は素早さ極端に上がるからな。素早さに依存するスキルをたくさん覚えそうな盗賊が俺には最適だと思う。」
「盗賊は確かに素早さに依存するスキルを沢山覚えるわね。いいんじゃない?」
ロゼッタがそう言い終わってから、突如『魔法携帯電話』が鳴り出した。
魔法携帯電話とは、通常の魔法電話よりも小型で、魔力の力により遠方でも人と会話が出来る便利な道具である。
「ごめん、ちょっと出るわね。」
「ああ...。」
ロゼッタは魔法携帯電話を耳に当てた。
『もしもしっ! マネージャー? この時間は国立魔法図書館にいるって言ってたわよね? なんで電話掛けてくるのよ! マナー違反よ、マナー違反!』
『すみません、ロゼッタ様......。今ドミニエル様から緊急の依頼が入りまして......。』
電話越しから男の声が聴こえた。
『緊急の依頼...?』
『はい......! 15分後にロージアン王国のルーシティ街に大型魔物が発生するとの事です!』
『何ですって!?』
ロゼッタは続けた。
『強さはどの位? 数は?』
『魔力量から察するにCランク程度で、数は2体です!』
マネージャーは続けた。
『発生場所が街の中心ですので、もし魔物が暴れたら甚大な被害が出ると予想される...とのことです!』
『わかった、とにかくすぐ行くわ!』
ロゼッタは電話を切った。
「ジャレオ、Cランクの大型魔物を倒した事ある?」
「オールダートレントなら倒したんだが大丈夫か?」
「うん!オールダートレントはCランクだから十分よ! お願い、付いてきてくれる? 魔物のランクは高く無いけど、被害を抑える為に出来るだけ人手がいるのよ...。」
「街に出現するんだろう? もちろん行くよ。エリザリアを呼んでくる。」
「ありがとう! ええ、お願い!」
俺は急いでエリザリアの所へ行った。
「全く......やっぱりあるじゃない....この国の何処かに魔物の召喚魔法陣が......。この件が終わったら本格的に調査を始めないとまずいことになるわよ...!」
ロゼッタは焦った様子でそう独り言を言っていた。
「エリザリア...!」
「...? ジャレオ様? どうされました?」
エリザリアは館内の机の上で静かに読書をしていた。
「緊急事態だ、どうやらロージアン王国のルーシティ街に魔物が発生するとの事だ......。」
「え!? 魔物が...ですか...?」
「ああ、案内をしてくれた少女、ロゼッタも向かうらしいが、とにかく人手と時間が欲しい......。とにかく来てく...... 」
俺が言い終わる前にエリザリアは崩れ落ちるように床に座り混んだ。
「エリザリア......!?」
俺は急いでエリザリアの肩を抱き、寄り添った。
「魔物......街に......家が......!」
エリザリア体は尋常じゃないほど震えており、心臓の鼓動を落ち着かせる為に胸を手で抑えていた。
エリザリアはトラウマに襲われていた。