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豹変

「アレグレンズナイフ...買ってよかったぜ。」


「流石です!ジャレオ様!」


エリザリアの称賛を受けながら、俺は短刀をしまった。


「驚いた......。ジャレオ、君はそこまで強いのか......。オールダートレントを......大型魔物をまさか一撃で仕留めるなんて.......。」


「まあ、これが『完全逃走』の力さ。」


俺は続けた。


「さあ、目的は達成したし、戻ろうか。」


「はい、それでは『エスケープ』を発動させますね。」


『エスケープ』はどの階層でも現在いるダンジョンの入り口まで転移できる。初級移動魔法である。


俺達はドンデリー山入口まで戻った。




帰りの馬車に乗り、俺達はロージアン王国の冒険者ギルドまで戻ってきた。


そして早速ギルドマスターへ依頼達成の報告をしに行った。


「ジャレオです。只今戻りました。」


「おお、早いな〜。いいぞ入って。」


「失礼します。」


俺はドアを開け、部屋の中に入った。


「ご苦労だったな諸君。」


「エリザリア、エレノアの協力により順調に事が運びました。」


「ほっほっほっ、そうかそうか。」


ドミニエルは上機嫌であった。


「正直言って、君達の実力は想像以上だ。恐らくこれからも、わしから直接君達に依頼する事が多くなるだろう。」


「まあ、とにかくご苦労であった。ギルドの規定通り、君達に休暇を与えよう。2日後にまたわしの所に来てくれ。」


「わかりました。」


俺達はギルドマスターの部屋を出た。




「終わったな......。エリザリア、エレノア、お疲れ様。」


「お疲れ様でした!」


「ああ、お疲れ様。それじゃ私はいつも使っている宿屋に帰るとするよ。2日後にまた会おう。」


「ああ、それじゃあな。」


俺はエレノアに手を振った。エレノアも手を振り返した。


「それじゃ、俺達も戻るか。」


「はい!」


俺とエリザリアは宿屋へ向かった。



〜〜〜


宿屋に着くとエレノアは武装を外した。


「さて......。」


おもむろに走り出す構えをし、そして走り出した。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃッ.......!!」


エレノアはソファー目掛けて走り、そして飛んだ。


「ごろにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん♡♡♡♡♡♡♡」


軽く握り拳を作り、猫の真似をしながらソファーに着地する。


「にゃんにゃんっ!にゃにゃにゃーん♪」


しばらくの間、エレノアはソファー上で寝転びながら、くねくねと身体を動かしていた。


「ふぅ〜〜〜、スッキリしたぁ〜〜〜。」


エレノアは開放感に満ちた表情をしていた。


「戦士って毅然としていないといけないからストレス貯まるのよね......、。もっと女の子っぽい事したいのに、しちゃいけないし......。エリザリアに懐いていたリス、すっごく可愛かったから撫で撫でしたかったけど、しちゃうとキャラ崩壊しちゃうし......。」


「だから部屋の中、隙がある時は外で『にゃんにゃんモード』になって自分を開放して、ストレス解消するしかないのよねぇ.......。」


エレノアはソファーに置いてあったクッションを抱いた。


「でもまあ、戦士になって得した事もあるし、今の所上手くいってるから、向いてない訳じゃ無いんだろうけど......。」


「やっぱり大変なのよねぇ......。」


エレノアは溜息混じりにそう言った。


〜〜〜


「何だかエレノアさんって......そのなんと言うか...可愛らしいですよね。」


エレノアと別れた後、エリザリアは言った。


「エリザリアもそう思うか。」


「はい...。ジャレオ様もですか?」


「ああ、どうしても自分を毅然とした人間だって思わせたいって気持ちが伝わってくる、エレノアと話しているとな...。多分何かを隠している。憶測だが隠しているのは『女の子らしさ』だと思う。」


「そうですよね! 鎧を着ながらも可能な限りお洒落したい感が伝わってきましたから! あっ......!」


「うん? どうした?」


「エレノアさんのネックレス、預かってたんです。間もなく馬車がドンデリー山に到着するって時に、戦うのに邪魔だから代わりに預かってくれないかって......。エレノアさんのお話をしていたら思い出しました......。」


「そうか、高価な物かもしれないから一応すぐに届けておこうか。俺の『完全逃走』ならすぐに届けられる。」


俺は『完全逃走』を発動させた。


「エレノアの行き先的に、多分あの宿屋だろう。エリザリア、先に帰っていてくれ。届けてくるよ。」


「わかりました...。ごめんなさい、お願いします。私ったら何でこんなにおっちょこちょいなのでしょう......。」


エリザリアはエレノアのネックレスを俺に渡した。


「別に気にすることではないよ。それじゃあ行ってくる。」


俺は馬車より何倍も早い速度で走り出した。


〜〜〜


「う~ん!、今日は気分が気分がいいからもっとやっちゃお!『にゃんにゃんモード』継続だにゃん♪」


エレノアは再び語尾に「にゃん」をつけ始め、『にゃんにゃんモード』を継続した。

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