表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/77

デアを狩ったけど、やっぱりなにかおかしい


マリアたちは結局、日暮れまでデアを狩っていた。3人でアルムの門に向かうと、アルムの国の民がわっと押しかける。

「マリア様これを全部狩ったのですか!」

「さすが!その腕は衰えてませんね」

「わーい!今日はデア肉だー!」

「この焼けたデアは…マリア様の魔術ですね。さすがです!」

アルムの民は、山積みにされたデアを見て大盛り上がりだった。

「みんな、喜んでいるわね」

「ええ。みんなデアの肉は好きですから。マリア様のことも」

キャナリは、背負っていた大量のデアを地面に下ろして答えた。そのデアの数は両手では数え切れない。マリアはキャナリの腕力に戦慄した。

「キャナリは筋肉増強剤でも飲んでいるんじゃないかしら」

「マリアー、重いよ手伝ってー!」

「こっちは反対ね…」

マリアは、デアを抱えてよろめくシンクの補助に入った。

「もうシンク、しっかりなさい。私より持ててないわよ」

マリアはシンクの抱えたデアを預かった。

「だって重いもん」

「あなた、メスの軽いデアしか持ってないのに…」

マリアはシンクの細い腕を見てため息をついた。マリアは、シンクは両手で剣を握っていたのを思い出した。筋トレなどもほとんどしていないのだろう。

「シンク、あんたしっかりしないとダメよ」

「へ?」

「戦いのことよ。私は偉そうに言える立場にないけれど…。シンクはもっと訓練に参加すべきだと思うわ」

「いいよ、いらないよ」

「どうして」

「だってマリアが守ってくれるもん」

「はぁ…?」

シンクは、体を伸ばしてマリアを見つめた。マリアはあっけに取られていた。

「僕はマリアといっしょに戦うし、マリアが危険なときは助ける。それでいいんだよ」

シンクはデアの山を眺めて、さらっと答えた。今日はいい天気だねと言っているような、自然な口調だった。

「シンク、あんた…」

「マリア様、デア肉を焼きましょう。焼いて調味料をかけると美味しいのですよ」

マリアはキャナリに腕を引かれた。兵士たちが火起こしをしている場所に連れて行かれる。

その日は、国中でデア肉祭りが開かれた。




夜。マリアはベッドに寝転んでぼうっとしていた。

思い出すのは、狩りを終えた後のシンクの発言だった。

(何か、引っかかるわ)

しかし、その引っかかりの正体は、わからなかった。


その日の晩、マリアは夢を見なかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ