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黒の襲撃

夜、私はモモゼの横でモモゼと一緒のベッドに横になり、眠る事になった。

現在目の前にはスヤスヤと眠るモモゼの顔がある。


……警戒心が薄すぎないだろうか。


 別に拘束されているわけでもないから逃げようと思えばいつでも逃げられるだろう。

いや、その前に見ず知らずの私に危害を加えられるとかそういう心配は無いのだろうか。

おかしいのは私か?いや、そんなはずはない。


私はそんなに甘くはないので夜が更けるのをもう少し待ってから逃げ出す予定だ。


このままこんなお花畑な村にいたら頭がおかしくなりそうだし、何もできずに逃げ帰るのはプライド的には嫌だが、再起を図り確実に動く方がまだ建設的だろう。

覚えていろよシロナ!


シロナの人を馬鹿にした物言いを思い出し、闘志を力に間違ってもフカフカて温かな布団の中で眠ってしまわないように気をつけながら私は待った。






どれくらい時が過ぎただろうか。


 バリッバリバリバリッ


 オオーン


真夜中、突然まるで雷に打たれ木が破壊されたたような音と、獣の鳴き声に私は思わず隣に眠るモモゼを忘れて起き上がった。


何の、音だ。ただ事でないことは確かだ。


「何か、ありましたか?」


私が布団から抜け出したからか、それとも大きな音のためかモモゼも目を覚ましたようで、完全には開かない目をしながらも起き上がる。

それを無視して私は、すぐに窓に近寄り外を見た。


外には黒い塊が地にも空にも黒い雲が覆うようにうじゃうじゃといた。


魔物だ。それも数が多い。



地を這うのは蜘蛛くもの魔物、空を飛ぶのは蝙蝠こうもりの魔物 だ。


「なんで、こんなに魔物が」


外の光景を見たモモゼは驚きの声を上げる。

当たり前だ。魔物がこんなに沢山人里に現れることなんてまず無いことだ。


 こんな時に剣はシロナの家だ。

 ここからシロナの家まであの魔物をかわして行くしかないか。


 そう考えていると、後ろでごそごそとし始めたモモゼが私の肩をたたいたので私は煩わしく思いながら振り返ると、モモゼの手にはよく見慣れた私の剣があった。


 「なぜここに」

 「シロナさんが何かあった時に武器があった方がいいと思うからと私に預けていて下さいました。ハイリさん、私はこれから外に出て村を守りに行きます。ハイリさんはこの剣で身を守って下さい」


 私がモモゼから剣を受け取ると、モモゼは微笑んで、すぐに外へ出ていった。


 誰もいなくなった部屋の中で、私は自分の剣を見つめた。


 今なら騒動に乗じてこの村から出ることもできるだろう。


 どこからか侵入してきた私の身長を軽く超える蜘蛛の魔物が私を見つけ向かって来た。

 私は剣を鞘から抜くと、剣に炎を纏い蜘蛛を切り裂いた。


「喧嘩を売られたからには買ってやる!別にこの村のためとかではないからな」


 誰もいない部屋の中でイライラとそう言い、私は外に出た。


 外は騒然としていた。

 男は武器を取り戦い、魔物はそれに怯むことなく蝙蝠は空から蜘蛛は地を這い攻撃してくる。

 そんな魔物を燃やしながら、私は倒して行った。離れた所では水が蛇のように弧を描くのが見えるのでモモゼも戦っているのだろう。


「ハイリ!良かった、無事だったんだな」


 シロナも参戦していたようで、私に気がつくと魔物を大剣で綺麗に切り伏せながら私の元へ向かって来る。


「私がこんな雑魚に負ける訳がないだろう。お前はさっさとくたばれ」

「うん、元気そうで何よりだよ。さすがにこの数相手はきついから手を貸してくれて助かる」

「手なんか貸していない。ただ私は売られた喧嘩を買っただけだ。って、私の背を借りるな、一人で戦え!」

「いや、この方が戦いやすいからな」


 太陽のようにシロナは笑い悪気もなく私と背中合わせになる。

 一番に始末してやりたくもなるが、理性で抑える。


「精々背後に気を付けることだ」


 私はシロナを忘れ、目の前の魔物に集中することにした。

 お前らが夜襲をしなければ、私は逃げられたものを!

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