葛西蓮
「あなたは立花優希さんのことをどう思っていましたか?」
「単刀直入ですね。はっきり言うと、俺は優希のことが好きでした。そして、あの事件の時告白したんです。断られちゃいましたけど。だから思うんです、俺のせいで優希が死んだんじゃないかって。」
「おい!蓮!」
そう、大和に呼ばれて駆け寄った。
「なんだよ。」
「また、愛がお前のこと見てるぞ。お前ら付き合っちゃえばいいのに」
「ばーか。そんなんじゃねぇって、あいつと俺は幼なじみ。」
「まぁ、そーだよな。お前が好きなのは優希だもんなー」
「ちょっ、お前声でけぇって」
「素直になれよって、なんなら今日、告れよ!」
「やっ、それは…」
「告れよ!こーくれ!こーくれ!こーくれ!…」
周りの奴らもそれに合わせ始めた。
「あー、もう、わかったよ!告ればいいんだろ!告れば!」
「よっし!それでこそ男だー!」
日向はそう言って、髪をクシャッってした。
「お、おいっ!やめろって」
この時、気づいてなかった。俺のちょっとした行動があいつを深く傷つけていたことに、そしてとりかえしのつかないことをしてしまったことに。
「ごめん!遅れちゃった!で、話って?」
「俺さー、お前のこと好きだ。俺と付き合ってほしい。」
「え。ごめん…。幼なじみとしてしか、見れない。」
「わかった、ごめんな。じゃあ。」
そう言い立ち去ったら、愛に会った。
「ちょっといい?」
そう言われてついていった。
この時、愛は俺が告白していたところを見たのか、今でも聞けていない。聞くのが怖い、もしかしたら俺があの事件の引き金をひいたかと思うと怖い。その後、俺はいつも通り家に帰った。少し凹んでたから、母ちゃんが買い物行ってこいなんて言わなければ俺は外に出ていなかっただろう。
買い物の帰り、なんか騒がしくて近くのおじさんに聞いてみた。
「なにかあったんですか?」
「あぁ、葛西さんとこの子かー。人が亡くなったらしい。お前らの学校らしいぞ。」
それを聞いた瞬間走って現場が見えるところまで来た。それはなんとなく見たことがあるような気がした。警察の人が野次馬は帰れと言ったので帰ることにした。
そして次の日、うちに優希の母ちゃんが来ていた。なにか話した瞬間、母ちゃんがくずれ落ちた。
「どうした?」
俺が聞いたら、母ちゃんは泣きながら
「あのね、優希ちゃん亡くなったみたいなの。」
「え。ちょっ、嘘だろ?」
「嘘じゃないのよ」
そう、優希の母ちゃんから言われ俺は涙が止まらなくなった。ショックでその日は学校を休んだ。
それからは抜け殻のようになり、時だけがただ過ぎた。卒業式にもろくな思い出がない。中学校に入れば何か変わるだろう。そう思って、入学式はわざと明るく振る舞った。
「あ、俺1組だ!」
そう、大和が言って俺の方を見た。
「あ、俺もだ。」
「おー!よっしゃー!」
そして、教室に入った。なんだか女子がこっちを見て噂をしている。そして、そのうちの1人が俺たちに話しかけてきた。
「あの...名前、何て言うんですか?」
「俺は篠崎大和!そして、こいつは葛西蓮だ。」
大和は俺の肩に腕をかけてそう言った。
「...よろしく。」
少し照れたようにして元の場所に戻っていった。
「お前、本当にモテるな」
「え?今のって...」
「お前がよろしくって言ったから照れたんだよ。あの子、お前に惚れたな。」
「いや、それはないな」
腕を振りほどき席に向かった。俺の席は男子1列目の一番後ろ。大和の席は男子2列目の前から2番目。今までが近すぎたからなんだか遠く感じる。もう、あの頃には戻れないんだな。
その後、俺はサッカー部に入った。
「はい、じゃあ、次は外周。5周走ってこい。」
「おっし、いくぞー!」
「おっす!」
「いーち、にー!」
「いちにさんし!」
「いーち、にー!」
「ファイト」
「よし!」
「がんばろ」
「よし!」
「声だそー」
「よーし!」
…
ひたすらそう叫び、外周してた。サッカーが得意な俺は2年でもう、レギュラーに入っていた。大した思い出もなく、3年生になった。クラスは3-2だった。同じクラスには…愛?まさか愛と一緒?愛とは事件以来大した話をしていない。