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変化
「聞いてよ~! 昨日久野くんったらラインの返事くれなかったんだよ~? 既読は付いてるのに!」
昼休み。机にへばりついて口を尖らす零。さっきからずっとこれだ。自分で「返信はいらないです」って送ったのに返事なんか来るわけないじゃん。
「仕方ないでしょ。自業自得~」
わざと意地悪にそう言ってやる。変わると決めたあの日から数ヶ月が経ち、私達の関係に変わりはないし、愛莉と先輩も仲良くやってるみたい。私はよく「変わったね」って言われるようになったかな。笑顔が多くなったって。
それは嬉しいことなんだけど……二人に何も返せてないんだよね。大切なこと、私に気付かせてくれたのに何も恩返しできてない。何が出来るのか、まったくわからない。今まで誰かの為に何かするなんて考えもしなかったから。
「むぅ……じゃあ今日帰ったらもう一回ラインしてみるもん」
「そうしなさい」
「でもさ~、一応返事くらいはしてくれても……」
「もうわかったって~」
私が零から目を逸らせたその時だった。静かに教室のドアが開いた。クラスメイト全員が息を呑んだのがわかった。零と、そして私も。
「やっ、弥生っち……零……う、うぇぇぇぇぇぇん!」
堰を切ったように泣き出す愛莉。突然の出来事に私達もどうしていいのかわからない。
何? なんなの?




