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出逢う

 恭一郎さんはポケットから出した赤いりんごを私の目の前に差し出していた。あげる、と言われて受け取る。


「……なんで私りんごとキスしなくちゃならないのよ」

「あ、僕とした方がよかった?」

「ふざけないで。まったく……あ、雨やんだみたい」


 真っ黒な雲の隙間から私の手の中にあるりんごのような太陽が現れる。あたたかい光が私達を包んで、さっきの雨の寒さや嫌なことを全部、忘れさせる。いつの間にか、私は赤くて眩しいその太陽に見惚れていた。零たちと一緒に帰った日に見た太陽よりも綺麗で、自然と笑みが浮かんでくる。私達はしばらくその夕日を見ていた。


「アダムとイブは同じりんごを食べて恋に堕ちたんだって」

 恭一郎さんが突然言った。私は仏教なんだけどな。でも、りんごを食べて恋に堕ちるってなんだか素敵。恋について悩んでいたときにずっと頭の中で回っていた台詞が心の中に響く。



 ――誰か私に教えてよ。


 恭一郎さんがまた、ニイッと笑う。弧を描いた口が開いて、私に言った。





「俺と恋、してみる?」



 ――恋とはどんなものなのか。 



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