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恋とはどういうものなのか


「あのさ……恋、しちゃった……」


 いつもは小猿みたいに元気な愛莉は照れくさそうにそう言った。

「……へ?」

「やばいよぉ……一個上の先輩なんだけどさ、昨日の放課後に廊下ですれ違ったときに一目惚れしちゃった!」

 頬を赤らめて笑う彼女を見て、私は目を細めた。鬱陶しいくらいやんちゃな愛莉が恋? 天地がひっくり返ってもありえないわよ。人の気持ちも考えずにいつも自分勝手に動き回るあんたのことを、一体誰が好きになってくれるのかしら。

 心の中でそうやってみんなを蔑みながら、私はぎこちない笑みを浮かべて思ってもない事を言う。

「良かったじゃん。応援するよ」

「ありがとぉ♪ 弥生っちならそう言ってくれると思ったんだぁ!」

 嬉しそうな彼女を見て零が近付いてくる。微かに甘い香りが鼻腔をくすぐった。

「うそ、愛莉が恋? 想像つかないんだけど。その人、イケメン? 背高い?」

 またそれか。その人がイケメンだったらなんなのよ。自分も一緒に好きになるの? 意味わかんない。友達の好きな人の容姿なんか興味なくない? 自分に何も影響してこないよ?

 いつも思う。




 みんなの言ってることがわかんない。



 恋、って何?


 私はよく恋について考える。恋愛経験なんてないし、まず恋をすること自体がわからない。

 胸がドキドキして顔が赤くなる? 熱でもあるんじゃない? それか不整脈だわ。病院に行ったほうがいいかもね。それが恋だと断定できる証拠がなければ恋だと言えないんじゃないかしら。

 ……は? 好きだと思う気持ちが証拠? じゃあ自分の好きな人全員に恋をしてるの? 両親や恩師に対する「好き」も恋だと言える?

 自問自答の繰り返し。


 いくら考えてもわからない。

 誰か私に教えてよ。

 恋とはどんなものなのか。






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