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転生?

俺は普通の家庭に生まれた

平凡だった。普通に幸せで、普通の生活だった・・・それなのに

ある日を境にして俺は幸せから一転、絶望しか感じなくなった

最初はまだ、人と関わることに飢えていた

昔からの友達もいた

でも、いつからか、そいつらは俺から離れていった

待って、待ってくれよ。何か悪いとこがあるなら治すから、だから離れて行かないでくれ!

どんなに心の中で叫ぼうが、離れていく家族や友達、クラスメイト。いつの間にか俺は人間不信になり、いつしか人をまったくと言っていいほど信用しなくなった

俺は完全に心を閉ざした

だが、こんな俺にも根気良く話しかけてくるやつがいた

彼女は可憐な雰囲気を纏い、可愛い顔立ちに関わらず、その芯はとても強かった

俺はまるで闇が光を求めるように、彼女に惹かれていった

でも、やっぱりそんな毎日は続くはずがなかった

彼女はモテる。それはもう男女構わず、10人に9人は彼女に惹かれるだろう

だから、予想していないわけではなかった

いじめられることを

それから俺は彼女にバレないように隠れたところで様々な人から暴力を受けた

でも、俺はどうでもよかった。彼女に危害が無いのなら自分がこういう目にあっても別に構わない

ところが、俺の危惧していた最悪なことが起こってしまった

部活に所属している彼女は普段、俺と共に帰ることはない

だけど、今日は部活が無いらしく、俺と彼女が珍しく一緒に帰っているときだった

周りの射殺すような視線をどうでもいいという風にいつも通りにスルーしながら帰る

だが、今日はいつもと違った

前に一人の男子生徒が現れた

その男子生徒の目は血走り、狂気を孕んでいて、嫌な予感がした

俺は即座に彼女を守る選択をして行動を起こす

なぜなら俺は、彼女のためだけに生きているようなもの

彼女を守れないのなら死んだ方がマシだ

俺は前に出て彼女を後ろにかばう

それと同時に男子生徒が突っ込んで来ていた

本来なら避けるところだが、如何せん、後ろには彼女がいる

そして俺は、その瞬時の迷いによって避けれず、男子生徒が隠し持っていたであろうナイフで刺された

ぐっ!と呻いてしまうがまあ今更もう手遅れだ

男子生徒は俺を刺したことで我に返ったようで、暗示のように「お、俺は悪くない・・・こいつが悪いんだ。彼女に馴れ馴れしく近づいてやがるから」と繰り返していた

そのすぐ後に先生が駆け寄って来たが、彼女を守れたことへの安心か、俺は意識を手放した

薄れゆく意識の中で彼女の叫び声を聞きながら・・・

>>>>>>>>>>>>>>>

目覚めると底は何もなく、只々真っ白な空間が広がっているだけだった

・・・なんだここは

〝私〟は、死んだはずだ

〝私〟はいつも自分を偽るときは〝俺〟という一人称を使う。理由は簡単、彼女を守るために弱くみられないように、あと〝私〟の容姿が男よりであると知っていたからの行動だ

案の定、学校の奴らは〝私〟を男だと勘違いしてくれた

どちらかといえば男よりの中世的な顔立ちと、背が高かったおかげだろう

私は女だ。紛れもなく、戸籍上は

体ももちろん女

容姿は至って平々凡々だ

と、私の話はいい

ここはどこだという話だ

天国か?それとも地獄?

「どちらも違うよ」

「!!?どこだ!!」

「なに言ってんの。目の前にいるじゃないか」

??目の前?

視線を周囲から目の前へと移した

そこにあったのは・・・いや“いた”のは・・・絶世の美女ともイケメンとも言える中世的な美形だった

ついその美貌に見惚れてしまう

そして、見惚れた理由はもう一つある

それは・・・目の前の人間(?)が私が生きていたときに守ったあの子と瓜二つだったからだ

唖然としていると彼(彼女?)はおもむろに口を開く

「実はな。私は君がいた世界の神で、君が守ってくれた彼女は私の娘なんだ」

・・・は?

神?こいつが?・・・でも私は死んだはずだからここは普通じゃないはず、つまり、ここにいるこいつも普通じゃないわけだから神であってもおかしくはない・・・か

ふむ、ならば

「神か・・・では神、貴方に聞こう。なぜ私の前に現れた。ただの人間のはずだろう。私なんぞに何の用がある」

疑問に思ったことを素直に告げる。それにどうせ思考も読まれているだろうからな

「・・・冷静だな。君はなぜ、と言ったな。君は聞いてなかったのかい?私は言ったはずだ。君が守ってくれたのは私の娘だと」

・・・はい?娘?もしかしてあの子のことを言っているのか

「他に誰がいる。君はあの子以外とはまともに接していなかったはずだが?」

確かに彼女は目の前の神に似ている

だが・・・

「いや、彼女は人間だろう?なぜ神の貴方の子なんだ。彼女は女神だったのか?」

そうだ。彼女は普通の人間だった

それに彼女に母親はいても、父親はいなかった

・・・どういうことだ?

「・・・あの子は私と人間の子だ」

つまり・・・彼女は神と人間のハーフということか?

「・・・そうだ」

苦虫を噛んだように返答する目の前の神

ふむ、なるほど

では、つまり、貴方が私の前に現れた理由は

「・・・娘を助けてもらったことへの恩返し?」

「ああ」

ま、この人も神だ

中々彼女を守ることはできない

歯痒かっただろうに、愛しい人との子を自ら守れないのは

「では、貴方は私に何をしてくださるのだ?」

「ああ、君には本当に感謝しているよ。たとえ、あの子を好いている〝男〟だろうとね。ところで、何をしてくれるか、だったね。それはね。君には転生してもらおうと思っているんだ」

「ふーん、転生か・・・ん?今、なんと?」

「え・・・だから、転生してもらおうと」

「違う違う!その前!」

「え?前?・・・あの子を好いている〝男〟だろう「そこ!」と・・・え?」

いきなりそこ!っと叫んだ私にわけがわからないという顔をする神

とりあえず、誤解を解いておこう

「私は男ではない。女だ」

「え・・・?女?」

おい、その信じられないという顔をやめろ。幾ら何でも腹が立つ

「あ、ごめんね?冗談だよ?君の性別を知らないわけないじゃないか」

はあ・・・冗談かよ

「まあいいですよ。で、転生、でしたっけ?どこにどういう待遇で転生させて貰えるんです?」

このままじゃ埒が明かないと、強引に話を元に戻す

「ん?ああそれはね。君がはまっていた乙女ゲーのファンタジー世界に主人公として転生させようかと思っているよ」

そうかそうか〝あの〟乙女ゲーか

ふむ、主人公ね・・・

「それは変えることは可能ですか?」

「うーん・・・世界を変えるのはムリだけど、立場は変えられるかな」

そうか。よかった

「なら、私を主人公ではなく、モブにしてもらえませんか。身分はなるべく高い地位が良いです」

なぜモブなのかというと、それは私が大好きだった乙女ゲー・・・それは《私と貴方の運命》は主人公も攻略キャラもライバルキャラも死ぬことが多いということと、その乙女ゲーをしてて思ったのは、あれ?これ、ライバルキャラ悪くないのに死んでね?っていうシーンが多かったからである

そもそも、婚約者がいるのにも関わらず、何故他の女に目をつけるのか分かりかねる

それに、ライバルキャラたちは皆、攻略キャラと国のことを考えて行動しているというのに

しかも、その女は只々当たり前のことを言うライバルキャラのことを攻略キャラにいじめられているとふざけたことをチクっているのだ

このゲームをしていたヲタク、もといファンからも主人公への罵倒がかなりあった

それと対照にライバルキャラは物凄く好評だった

まあ、私もその一人であるのだが

そこで私は考えた

ふざけた主人公からライバルキャラを守るにはどうすればいいか

それで思ったんだ

私がモブで高い地位について彼女たちを私が守ってあげればいいんじゃないか?と

だから、モブで高い地位が欲しいのだ

「あー・・・なるほど」

「それでできれば主人公や攻略キャラを簡単に足ら得るくらいの力が欲しい。ダメだろうか?」

「んー?いいよ。君はいい方向に使うだろうから」

よかった

たとえ地位があっても、力がなければ守れないときもある。だから力も必要だ

「それで?細かく決めようか」

「ああ、私は転生先でも女にして欲しい。できれば馴染みのあるこの顔で。それで先ほど言った高い地位と主人公や攻略キャラを簡単に足ら得るくらいの強い力、魔法全ての適性と無限魔力。あと、転生後は3歳くらいで記憶を取り戻したい。それと、想像魔法が欲しいんだが・・・流石に無理か?」

「いいよ。そのくらいお安い御用さ。だけど、想像魔法は生命を作り出すことは不可能だ・・・それでもいいかい?」

そうか。まあ、生命を作り出すのは神にしかできないものだろうし

「ああ、別に構わない」

「わかった。これだけでいいのかい?」

思いつく限りのことは言ったし、今はこれしか浮かばない

「ああ、それでお願いしたい」

「分かったよ。じゃ、新たな人生を楽しみなさい」

「ああ、じゃあな。あと、ありがとう」

その言葉を最後に私の意識は途絶えた

だからこそ聞こえなかった

神と名乗る男が呟いたことに

「全く・・・あの人に似て優しいな。頑張れよ、もう一人の我が愛しき娘」

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