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Gun Control  作者: 燐火
第一章 ユニットとトーナメント
3/21

No.003 ………何しているの?狙われてたよ?

 金曜日。もうすでに見慣れた2年7組に今日も集まり、この日は職員室前の廊下に全員で向かった。

 そこにはトーナメント表が貼ってあり、かなりの人が集まっていた。

全ユニット48チームあり、4グループ12チームずつに分けられていた。

A、B、C、Dの中で、俺らの【CHAIN】はDグループの10番らしい、初戦の相手を確認し、俺らは次に試合会場を視察しに行った。


 日向島は元よりインクレイシス発掘のためだけに用意されたというとんでもない島なのだが、そこに日向財閥の誰かが「銃を学ぶ学校を用意しよう!」ということで建てられた日向学園。実際に島の最北端では銃が製造されている。その島にあるこの日向学園は都市一つ分くらいの敷地面積を誇っている。


 その約4分の1は校舎が埋めていて、また4分の1を学生寮が締めており。残り全て戦闘フィールドという割合になっている。


 戦闘フィールドは、草原、砂漠、川原、住宅街など色々なフィールドが用意されている。

基本全て無料開放されているので、対戦をしたり、練習をしたりすることができる。

 戦闘時、どうやって勝敗をつけるか。それには最新設備が用意されている。


 まず銃弾、これは全てインクレイシスを使った実弾が使用されている。

 それをどうやって俺らは体で受け止めるのか?

 それは特殊な防護服を着て、衝撃を抑えるのだ。インクレイシス同様に発見されたアウトクレイシス。そのアウトクレイシスはインクレイシスの効力を無効化する、つまり反対の物質であり、そのアウトクレイシスを染み込ませた特殊な繊維によって作られている防護服は、中学の時の体操服みたいだが、しっかりとインクレイシスの衝撃を抑えてくれる。


 頭などの服では補えない部分はどうするのか?

 なんと最新のコンピューターにより、撃ち出された銃の軌道を瞬間より早く計算し、被弾地点が危険な箇所だと判断されると、地面からアウトクレイシスの壁が立ちはだかり、守ってくれるという設計なのだ。その壁が出た時点で、狙われた人物は一発で“死亡仮定”となる。

 しかしそのアウトクレイシスも、インクレイシスを抑えてくれるだけであり、その時の微量な衝撃は体にも伝わり、少しばかりの恐怖を植えつける。これによりこの戦闘をゲームと区別させるようになっている。


 次に戦闘するときのルールだが、戦闘時着用が義務付けられている服にはセンサーが付けてあり、そこからダメージを測定する。それが人体にとって死亡となるダメージを受けたら、地面に設置されているセンサーと、外部モニターにより、地下室に落とされる。

 地下室から外へまた復帰することはできず、そこで自分は死亡という仮定で戦闘が進められていく。

 地下室からはモニターがあり、そこから試合を見ることはできる。

 基本2チームしか試合は行えず、その両チームどちらかが相手を全滅させたら試合終了。試合が終了したら入口に続く道が開き、地上へ戻れる。という仕組みらしい。


 また対戦では1試合ごとに、戦績によって経験地とCASH(お金)が貰える。

 お金といっても日本円とは違って、学園内だけでの通貨だ。その通貨は武器との交換や、武器の修理などができる。

 それ以外にもテストの点数がそのままお金に反映されるし、授業で良い成績を出したら特別にCASHをもらえたりする。

 経験地は一定の数値が溜まるとレベルが上がり、そのレベルは今のところ武器の所持数を多くできることぐらいしか使い道はない。

 だから放課後特に用がない人はこの戦闘フィールドに集まって戦いを繰り広げている。

 一見ゲームみたいなルールだが、それが生徒達の向上心を上げているらしい。


 俺たちの初戦会場は草原。地面には人口芝生、中心に小高い丘があり、そのほかに少し岩があるくらいで、障害物となるものがない。少しやっかいなステージだ。

 そのステージで練習を行うことにした俺らは、まずそれぞれの実力を見ることにした。

 練習ではステージに的が設置されている。それは人体と同じダメージ量で倒れるように設定されており、20発で10つ用意されている的をいくつ倒せるかという簡単な練習だ。


 その練習で俺は改めてみんなの実力を思い知らされた。


 文は初期配布されたAK-47 IC1という武器を使い、16発の弾で的を全て倒した。


 佳奈も対抗意識か、文と同じAK-47 IC1を使い18発の弾で的を全て倒した。


 香帆は彼女が愛用しているWalther(ワルサー) WA 2000という武器を使っていた。

彼女曰く『SRは一発で仕留める武器、10発しか使わない』という自己ルールにより、10発中9発が命中し。9つの的を倒した。

草原は風も他と比べて強いのに、よく9発も当てられる。技術面では香帆が一番すごいのかもしれない。


 対して智也は草原を走り回り、的に近づいては日本刀で斬り、また近づいては斬る。

弾数関係ないし、的も関係ないし、フィールドも関係ない。

学園長先生に問題児って言われたのが少し納得できる。


 そしてみんなの様子を観ていて最後になった俺はというと、1年生の時CASHを貯めまくって買ったAN94で、的に向かい奮闘した結果、弾は20発全て使い、的は10の内の6つ、というなんとも微妙な結果に。


 以上の戦績を見て文は『月曜日の作戦はなしだ!作戦がないというのが作戦でいこう』ということらしい。

一応役割は作るらしいがそれも月曜日に発表するらしい。

こんな感じで大丈夫か?と俺は思いつつ、この日を終えた。



☆★☆



「えー、おはよう!生徒の諸君!今日から一週間通常の授業を一時中断し、第一回全ユニット対抗ユニット戦を行います!楽しみにしているから頑張ってくれよ!! では一回戦の開始時刻を9時からとします。第一回は金曜日までに登録されたユニット全参加だから、全ユニットトーナメント表に書かれている初戦会場まで移動してねー!もっと詳しい話はまた9時からするから!以上っ」


 一瞬俺らと同じ生徒が喋っているんじゃないか?と思うくらいの口調で第一回全ユニット対抗ユニット戦開催を校内放送で告げた学園内で一番偉い人。

 もうちょっと…威厳っていうやつを保とうとはしないのかな。

 まぁそんなことはゴミ箱に入れておいて。


 9時からかぁ…。時間を確認しようと思い、門の前で先生が配布していた薄い電子シートを見つめる。この電子シートは今回のイベントから戦闘時に使用されるようになった新アイテムらしい。

どうやらイベント時にはこれから毎回使うらしく、『普段の戦闘でもこれを使っていいから失くさないように』とのご忠告だ。しかしどうやって使うのかはまだ説明されておらず、おそらく9時からの説明で理解できるだろう。

 まだ使い方はわからないが、ベースは深い藍色、その中にオレンジ色の文字が光を帯びる。その中でもハッキリと、現在の時刻〔8:20〕が表示されていた。

 今から最初の戦闘フィールドの『草原』まで行くのには十分すぎて余るくらいの時間だ。

 加えてこうして考えている間にも足を進め、着々と草原へ近づいている。このまま到着すれば確実に暇であろう。

 誰か喋れる人がいれば少しは暇を潰せると思うのだけれど―――

「わっ!」

 そんなことをのんびりと思っていると、タイミング良く後ろから肩を掴み、大きな声を耳元で叫び俺を驚かそうとする人が現れた。

「毎回その登場の仕方だね、俺はあんまり驚かないんだけど…?」

「あーっ!そうだった…しまったな。驚けよ、井上」

「驚けよって言われてもなぁ…」

 こいつは渉鳥(わたとり) 健太(けんた)。1年生の時に出来た数少ない友達の一人だ。

 喋りかけやすく、明るい性格でこいつを嫌っている人を聞いた事はない。

 誰とでも喋り、たまに動物や植物にも喋っている。

 クラスの中で孤立しかけていた俺に手を指し伸ばしてくれた第一人者だ。

 特に親しい人には毎回後ろから近づいて驚かせるのが特徴。

「それで健太、どうかした?」

「あー、向かっている方面が一緒っぽくて、目指している場所が近かったから暇潰しに誰か捕まえようかなーって思っていたら井上がいたんだよ」

「へぇ、目指している場所って…ユニット入ったのか?」

「うん。入った、というか作った。結構いいところでさ。…あれ?結構初めの方に設立したけど言ってなかったか?」

「初耳だ」

「マジか。クロス・バードっていうユニット名だからよく覚えとけ!」

「クロス・バード?」

「あぁ、クロス・バード。渡る鳥、っつーことなんだけどなんか俺がユニットマスターになっちゃってさ。それで俺、渉鳥だろ?だから渉る(渡る)鳥、渡る…クロス、鳥…バード。ってな感じにユニット名まで決まっちゃって」

 渉鳥がユニットマスターになるとはなぁ……。まぁ、こいつの性格なら納得か。

 ユニットマスターとはユニットの中でリーダー的存在の人だ。

 ユニットで決定する事が義務付けられている存在で、ユニットの行動、それによる責任などは全てユニットリーダーの名義の名の下に行われている。らしい。

 あれ、そういえば俺らのマスターって……?

「そういやぁ井上もユニット入ったのか?」

「あぁ、うん。先週の木曜日に出来立てほやほやのユニットに入ったよ」

「ならどっかで戦うかもしれないな!まぁトーナメント表はユニット設立順らしいからな、俺はBグループらしいけど、井上が出来立てほやほやのとこっていうなら多分Dグループだろう」

「おう、正解だ」

 トーナメント表って設立順だったんだ…。


 1回の戦闘で2ユニットずつ戦う、全48ユニット。よってA,B,C,Dグループに分けられたユニットはグループ内で1,2回戦を行い、2回戦終了の時点で全48ユニットから12ユニットまで絞られる。

 3回戦目で戦いの組み合わせがグループ内だと、1つの組み合わせと1ユニット余ってしまう。そこで、AとB、CとDで余った同士を戦わせ、3回戦目終了の時点で12から6ユニットまでまた、絞られる。

 ここまでで、AとB内で3つまで絞られ。CとD内で3つまで絞られる。

 その計6つを新たに、a、b、c、d、e、fとし、新たなトーナメント表が作り上げられる。

 準決勝はaとd、bとe、cとfが戦い。ここで6つから3つまで絞られる。

 そして決勝は、この学園としても、俺らとしても初の3ユニット同時戦闘。

ここで一気に3つから1位が決まると言う訳だ。

 この若干分かりづらいトーナメント表を脳内で整理しながら、健太と他愛もない会話をしつつ『草原』へと向かう。

 健太は隣の『川原』での戦闘だったらしく、すぐ側まで来て、そこから別れた。


そしていよいよ時刻はまもなく〔8:47〕。刻々と9時に近づいていた。


・・・あれ、誰もこない。



☆★☆



「ごめ~ん!遅れたぁ!」

「………佳奈、遅れてない。むしろ1分前だよ」

「そうだぜ?むしろかっきーが早すぎなんだよ」

「ギリギリに来るよりはまだマシだろ!?」


…何をしていたのやら。詳細を説明する9時の1分前に戦闘フィールドに来るなんて。すぐに戦闘が始まるかもしれないのに…。しかも走った様子はなく、息も上がっていない。

 逆にこうも落ち着かれると間に合わないんじゃないかってハラハラしていた俺がおかしいみたいじゃないか。

「悪い井上、ちょっとした作戦会議をしていたのだ」

「えっ、作戦なし作戦じゃなかったの?」

「いや、作戦なし作戦はなしだ。まぁ詳細は後でな………。ほら、説明始まるぞ?」

「あ、あぁ…」

 何故か俺が知らないところで作戦会議が開かれていたようだ。

 まぁその話は後で話してくれると思うので一旦置いといて、フレンドリー学園長が指令台の上に立った。

「あー、あー、ごほん。それじゃあルールの説明を始める。まず今朝配られた電子シートを見てほしい。それは腕に付けられるようになっているんだ。戦闘時に受けるダメージを数字に表すことができる。また武器の弾数、仲間の居場所もわかるようになっている。その他にも色々機能は満載だが実戦で体感してくれる方が早いだろう」


 試しに腕に付けてみると一瞬ひんやりとし、少し違和感があるが、すぐにその感触は違和感と共に消えた。まるでシートが同化したかのように、皮膚の上にあるという感触を持たない。不思議な感じだ。

すると時計を表していた数字が変化し、100%という表示に変わった。

これが体力を数字化したものだろう。元の状態が100という事か。

右の方には四角い白の枠があったが、中には何も書かれてはいなかった。おそらく戦闘時に表示されるのだろう。

「次に本題のルールだが、まずは皆本気で戦え。相手が殺しにかかって来ると思い、その上で敬意を払い、戦闘をしなさい。1ユニット5人、又はそれ以下。相手ユニット全員の殲滅を勝利条件とする。使用武器は学園内で配布、販売された物のみを許可する。それ以外は認めない。それ以外のルールは普通の戦闘と同じルールだ。以上、みんな真剣に挑むように」

 と、いう感じに説明は終わった。

 普段ちょっとふざけた感じの喋り方だが、それ故にいざこうやって真剣に話されると妙な説得力を感じる。


 …そうだ、これは戦いなんだ。自分の身を守るために使う武器をそんな中途半端な決意だけで扱ってはいけない。そして今回は仲間もいる。自分も守りつつ、味方も守る。

 ウィンチェを手に入れるためにも、仲間ともっと近づくためにも大事な一戦だ。

気を引き締めていこう。


「それでは改めて作戦を伝える」

 みんなで肩を組み、輪になった状態で作戦会議を始めた。

 なんかこう、ドラマとかでよく見る光景だけど結構楽しい。


「草原は風が強い、今日は西から東に風が吹いている。俺らのスタート地点は南側だから、まず俺が煙玉を丘の中央やや西側に投げる」


 煙玉とは武器の中でも手榴弾の分類に入る投擲武器だ。

手榴弾は火薬を爆発させて攻撃するのに対し、煙玉は煙を発生させ視界を奪う、ある意味優れものだ。投擲武器は消耗品なので1~10くらいの値段で校内販売されている。


「風に流されすぐに中央、右側は煙に覆われるだろう。相手が少しでも戸惑っている間に丘を駆け上り煙に紛れて相手側へ突入するのが、星野と中川。そして相手は煙が消えるのを待つか、避けて行動すると思うから、中央左から出てきた敵をSRで待ち伏せし撃つのが天野。そして俺と井上が南側の丘の頂上やや下に身を隠し、右側を注意しながら3人の援護をする。という半分速攻作戦だ。井上にも早く伝えたかったが教室に行ってもいなかったからな。こういうドタバタした感じになってしまった」

「いや、今日は外にいたから。大丈夫だよ」

「そうか。よしみんな、大事な初戦だ。こんなところで躓くんじゃないぞ?気合入れて勝つぞ」

「「「「おうっ!!」」」」


 文のすごい作戦を頭に入れつつ、俺は草原フィールドへと足を踏み入れる。

 忘れかけていた小さなヘッドセットを手にし、装着する。

 このヘッドセットは仲間と連絡ができるようになっており、指揮や状況の伝達などに使われる、戦闘では必需品なのだ。

 そんな必需品を忘れかける俺はどうかと思う。


 全員が入場したのを知らせるブザーが鳴り響く。スタート地点には柵がある。その柵が降りたとき、スタートの合図だ。

 既に佳奈と智也は右側に、香帆は左側に寄っている。

練習同様の武器をそれぞれ持ち、始まりの時を静かに待つ。


 ふと気になり、電子シートを貼った右腕を見てみると、何も無かった白い枠にいくつかの項目が追加されていた。

 MAP、体力、弾数、戦況など…。試しにMAPと書かれた項目に触れてみると、体力の100%の文字は消え、代わりに草原を上から見たような地図が映し出された。中央に、緑色に光る点が一つと、その左右にオレンジ色に光る点が計4つ。点の個数からして多分緑が自分で、オレンジが仲間だろう。俺たちがいる場所は南側だから、地図が中心じゃなく、現在地が中心となり映し出されるのか。これにより自分と仲間の現在地が把握できるってわけね。なるほど…。


「おい、始まるぞ」


 新しいものに目がない俺にとって、このシートはもっと色々と触って確かめてみたかったが、その行動を阻止するように文が呟いた。

 その文の腕には俺と同じく電子シートが貼られており。そこには何かタイマーのようなものが表示されていた。会話の流れから推測すると、多分試合開始時刻までのカウントダウンだろう。そんな機能もあったのか…!

 もっと色々試してみたい!という気持ちを頑張って押し殺し。改めてスタートの時を待つ。


そして、文が―――

「5」「4」「3」「2」…「1」

ガシャン!!

 という音と共に始まりを告げた戦闘開始。

 とほぼ時を同じくして腰のポケットに手を伸ばし手に煙玉を取る文。

そしてかるく助走を付けて。

「オrrrrrrrrッラァアア!!!」

という咆哮と共に煙玉を投げる。投げたのを確認し、一斉に走り出すCHAIN。


 俺は煙玉を追いかけながら丘へと走り出す。煙玉の軌道は綺麗な半円を描きながら狙い通り丘のやや左側頂上へ落ちる。落下地点を確認し、そこへと向かう。

 落下から2秒後、シュゥゥという音と共に煙が発生する。

文の読み通りその煙はどんどん西へ流され、壁を作るようにフィールドを覆っていった。

 右側に目をやると丁度良く丘を乗り越え煙の中へと姿を消す佳奈と智也が見えた。

やがて俺らも煙の落下地点へと辿り着く。

 煙の発生時間は約30秒と言われている。その間にまずは佳奈と智也たちが右側を片付けてくれることを願う。


 丘に背を向けながら息を整える。

 今からが本番だ、ここからは作戦にない、個人での判断とチームワークでの行動になる。


すると佳奈から連絡が入った。


『2人は智也くんがやった、けど残りの3人が気付いて煙の中にはいった。智也くんと私が右側を包囲するから文くんは10時の方向を、和樹くんは8時を、香帆ちゃんは前方をお願いできるかな?』

『OK佳奈っち!!』「了解した」『…了解』


みんなが返事をする、俺も遅れて「了解」と返事をする。


 言われた場所に辿り着くと同時に煙玉の効果が薄れ始め、煙が消えてゆく。

 風の通り抜ける音しか聞こえなくなり、草原がなびく。

 静寂、それもつかの間。


ダタタタッッッッ!!!!


 銃声が鳴り響く。この音はAK-47 IC1、文が交戦していないのを見るとこの銃声は敵か佳奈のものだ。一瞬の緊張が走る。しかしそれだけではなかった。


ダタタタタタタタッッッッッ!!!!


 今度は長い銃声が鳴り響く、同じくAKの音だ。

 文の姿が見えない、ということは…!!

 援護に向かおうと走り出す、しかしそれを遮るように目の前を通過する風。


 風………?いや違う!? 銃弾だ!!


 SRの弾が目にも止まらぬ速度で前を通過し、その音速をも超える速さにより風が生み出されていた。

 急いで自分の武器、AN94の銃口を霧と化した煙の中に向ける。

その中にはぼんやりと見える人らしきシ。ルエットが見えた。おそらくあれが敵のスナイパーだろう。

 

 せめて牽制射撃だけでも、とトリガーを引く。

 が、その銃口からは弾は撃ち出されなかった。


「なっ…」


 慌ててもう一度引く、しかしそれでも弾は撃ち出されない。

 そして何故か冷静になり、今置かれている状況を判断する。

 狙っているにも関わらず、動かず、しかも撃ってこない。

 この状況で撃たないスナイパーなどどこにいるであろうか…?

 このいつ撃たれてもおかしくない状況を打開しなければ―――


パァァアンンンン!!!!


 銃声。AKとは違う高い音。多分SRだろう。そしてそれが敵のものだとしたら、間違いなく撃たれたのは俺…。

 しかし、地下には運ばれない。急展開にやっとパニックになってきた俺の頭に一つの声が響く。。。。。。


『………何しているの?狙われてたよ?』


 その声の持ち主に、俺はようやく状況を理解できた。

 さっきの銃声は敵のものではなく、味方の、香帆のものだった。

 前方を任せられていた彼女は俺に撃たれた一発目の銃弾から相手の位置を探り、見つけ、狙撃。見事倒したのだ。

 一方狙われていた俺の原因とも言えるこの弾が撃てない原因も理解できた。

 安全装置を解除していなかった。ただそれだけだ。

 こんな基本的なことをしておらず、一人パニックになって、焦って、狙われて。

自分の身を守るばかりか、守られてしまったじゃないか。

 更に言うとこの学園の銃は戦闘時の安全装置解除方法は、ただ「安全装置解除」と言葉にするだけで、銃に付けられた音声認識装置が勝手に解除してくれる。

そんな、とっても簡単な方法なのだ。それすらできていなかった俺は一体何をしていたのだろう。


ようやく理解でき、落ち着きを戻す。

「あぁ、ごめん」

と返事を返すのが精一杯だった。


はい、おはこんばにちわー。燐火です。

ガンコン三話目は、いよいよトーナメントです。

いきなりミスをしてしまった井上。

それを正確な狙いで援護をした天野。

そして戦闘中の文、佳奈、智也。

一回戦の結果は如何に…?


そして次回予告です。

次回はまだ二回戦ではありません。

しかし、結成してまだ一週間も経っていないCHAINに脅威が…!?

トーナメントと襲いかかる謎の敵。

といった感じです。

次回予告をリニューアルすると言いましたが、あれは次回に延期です。

申し訳ございません・・・。

時間がほしいのです。


それでは次回をお楽しみに、今後ともどうぞよろしくお願いします!


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