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最終話

―ちょっとロキの相手頼める?


この魔法、威力のしょぼさのわりに集中してる時間が必要だから。


できれば撃つ時に私と奥の装置の直線上にロキがいるようにして。


私は部屋の真ん中辺りに移動してるから―


―ああ―


オレは走り出し、右サイドから宙に浮くヤツへ攻める。


吸血鬼となっているオレは体を変化させだいたいどこからでも攻撃できる全身凶器。


蹴りだけでもつま先を刃や槍のようにすれば殺すことも可能だ。


それに対してヤツは掌大の小さなシールドを使いつつ全ての攻撃を回避し、


さらにこちらへ攻撃してくる。


「どうした?人外の力を得てもこの程度か?」


「……………」


「準備完了!」


その時は案外すぐに来た。


「くらえっ!」


足を金槌のように変化させ、ヤツへと叩き込む。


「くっ」


それをシールドで防御したが勢いに押されヤツは指定通りの位置につく。


致命的な光線フェイタリーレイ


ヤツから離れ、祢音の方を見ると祢音は拳大程のレーザーのような光の線を放った所だった。


その光線は1秒足らずでヤツの目の前まで届く。


「ふん、そんなちんけな攻撃で」


ヤツを余裕顔をしながらシールドを張る。


ヤツの背後にはあの装置が置かれているため、避けることはできない。


「なっ!?」


だがその光線はシールド、ヤツの肩を貫通し、そしてその奥にある装置をも貫いた。


「さっき放った私の砲撃の魔力を収束させあの大きさにした。


ちょっと時間かかったけど出来合いのシールドじゃ防ぎきれないよ」


そう祢音が言い終わるのとほぼ同時に装置の所々で小さな爆発が起こる。


大きかったが使い道が使い道だった、かなり繊細だったんだろう。


初撃のあの程度の損壊範囲でもいくつかの爆発が連鎖し、


もう使い道がなさそうな程ぶっ壊れてきている。


今までの会話を聞いているとあの装置にアポカリプスの力が溜まっているようだが


それをさっきの久遠の詩でほぼ使ってしまったのかそれほど魔力による爆発は見られない。


最後に大きな爆発が起こり、装置はボロボロになってしまった。


これでヤツの野望は木っ端微塵だな。


あとはヤツ自身と…久遠か。


いや、久遠の方はフェイト様がどうにかしてくれるか?


フェイト様はというと再び久遠に謳われるのを防ぐためかまだ謳っている。


「せっかくの装置を破壊するとは。とことんやってくれたな、お前ら!」


そうヤツは叫び、こちらへ向かってくる。


『一閃 鎌鼬 焔』


『断絶』


ヤツに向かって放った焔の斬撃はヤツの腕一振りで消し去られる。


「ちっ」


バックステップである程度距離をおこうとしたが


ヤツはそれよりも速くオレの目の前まで迫り、腕を振った。


「くっ…」


ヤツが触れていないにも拘わらず、


オレのコートの胸辺りが裂け、さらにオレの体まで傷をつけた。


ヤツの腕にはヤツ自身の魔力が纏わせてある。そのせいだろうな。


…傷の治りが遅い、力の使いすぎか?


神の血を得たからといって無理しすぎたな。


これからは無茶できないか…。


「お前たちを殺し、オレも死ぬ。そして新たな生を得る!」


「そうかい!じゃあさっさと死ね!」


『焔極』


焔を纏ったレーヴァテインを床に突き刺すと焔がドーム状となり、


ヤツを囲むと何発もの焔球を浴びせ続ける。


「その前にお前たちだ!!」


焔のドームを強引に突き破り、ヤツが出てくる。


体の傷を見る限りダメージはあるようだがその顔は痛みに耐える表情ではない。


『影縫』


ヤツが腕を振ると同時に放たれたいくつもの短剣をこちらも一振りで弾く。


「さぁてと…死んでもらうか」


オレのいる上下に魔法陣が展開される。


こんなものここから離れてしまえば…。


「させるか」


『影縫』


再び短剣がオレの足下に投げられたがそれはオレの足を捉えることはなかった。


その後跳ぼうとしたオレは動けなっていることに気づく。


「しまっ―――」


『根絶』


「うあああああああぁぁぁぁぁ!!!」


上下の魔法陣から放たれた魔力がオレを包み込み激しい痛みを与える。


「くっ…つぅ…」


そうか、あの短剣に何か仕込んであったか。


十分でないながらも瞬時にバリアを張った上、


吸血鬼の再生能力もあったせいでなんとか生きていられた。


魔法などの能力をもたない一般人なら蒸発してしまうだろうな。


だが吸血鬼としての力がかなり弱まっているせいか力が入らず、


仰向けのまましばらく動けない状態になる。


「まだ生きているのか…しぶといヤツめ」


『断絶』


「だが、これで終わりだ」


歪みの盾ディストーションシールド


振り下ろされたヤツの手はオレを殺す前に


目の前に現れた空間の歪みによって動きを止められる。


「ちっ…あっちの方が邪魔かもな」


『悪夢』


紫のような黒のような色をした魔力が一瞬にして祢音を包み込む。


「くっ…あぁ…」


「祢音!!」


魔力から解放された祢音は飛んでいることができず、ふらふらと着地する。


「はぁはぁはぁはぁ…」


幻術を受けた祢音は持久走の後のように息が上がっている。


「大丈夫。


耐性は…ある程度ついてるか―――ぐぅっ!」


やっとなんとか動けるようになってきたオレの目の前で


祢音がヤツの手によって腹部辺りを貫かれた。


祢音を貫いたヤツの腕は紅に染まっている。


「祢音!!」「お姉様!!」「祢音さん!!」


オレ、奏、フェイト様の声が重なり、かなり大きな声になる。


「ロキ!!貴様ぁぁ!!」


長老が叫び、操られた2人との決着がついたのか


祢音へと手を突っ込んだままのヤツへ奏と長老がそれぞれの武器を突き出す。


「ふん」


だがそれはヤツを貫くことはなかった。


ヤツは祢音から腕を抜くと後へ退き、


オレは力なく倒れそうな所を奏に支えられた祢音の下へと走る。


祢音は口から血を吐き続け、意識も朦朧としているようだ。


そりゃそうだ。腹に腕程の大きさの風穴を空けられたんだからな。


2色の羽も今は消滅している。


「祢音さん!」


フェイト様は詩を謳うのを止め、祢音へ治癒魔法を使う。


「多分命は大丈夫だと思います。丸一日は目を覚まさないかもしれませんが」


「ロキ!!!」


オレは奥で自身も傷だらけのくせに不敵に嗤うヤツへと叫ぶ。


「どうした?そいつはまだ生きてるんだ。そう声を荒げるな。


さて、どうする?さっさと殺せよ。今回は死んだって何も悔いは残らないさ」



「だったら―――」

     「死んでもらおうかしら」



その2つの声がした後ロキの体が2色の輪で五体を縛られる。


「これは!?」


ヤツは縛られた自身の体を見て驚いている。


「久遠!!ゼロぉ!!」


そして2人の名を叫んだ。


「何?」


「何か用か?」


久遠の隣に次元の怪盗が現れた。


「どういうことだ?」


これはオレの声だ。


「あの次元の怪盗と呼ばれている人は『フェイト・ゼロ・アカシャ』であり、


前ラグナロクでロキの精神を宿しながらも生き残った者です」


「? いまいちわからないんですけど…」


「前ラグナロクでかろうじて生き残った彼は


これ以後アカシャに協力するという条件で


生と『フェイト・ゼロ・アカシャ』の名を得ました。


彼自身は何か縛られるのが嫌いのようなんで


縛られていると意識してしまうその名を嫌ってますが。


大丈夫です。


彼にはロキとしての記憶が少しありますがほとんどは私たちの手で消去しました。


万一全ての記憶を取り戻し、


こちらに刃向かおうとしても呪がかけられていますので問題ないです。


もっとも、彼の性格からすれば記憶が戻っても再び刃向かうこともないでしょう。


一時仕事上とはいえ、ロキ側についていた時は焦りました。


あの時はいくらか情報を漏らしていてくれたので助かったこともありました。


『ワラキア』の時はさらなる情報を得るために


オリジンは干渉する事を禁じたので対処できませんでした。すみません」


なるほど、そういうことか。


「もう気にしてねぇよ」


「ありがとうございます」


「で、お前らはオレをどうするつもりだ?」


ヤツは目の前に立つ2人を睨みながら言う。


魔力が少ないのか2人の魔力が強いのかはわからないが


縛られている魔法を振り解こうともしない。


「私の望み、『アカシャからの自由』を得られそうだったから


あなたについてきたけどやっぱり無理のようね。


というわけであなたは用済み、消えてもらうわ。


…ΛΦΧΣΨΑ…CODE『クオン』」



久遠彼方クオンノカナタ



するとロキの背後に輪郭が炎のように揺らめく真っ黒な穴が空けられる。


「この先の空間は私の意志で命じた理と切り離されている。


全てと命じれば全ての理と切り離される。


いくら『終わりなき闘争曲』と呼ばれる意志でもこの空間では通じないわ。


今後の戦いではあなたは登場しない。


これで神側が圧倒的有利になる。よってラグナロクも起こらないかもしれない」


「それはどうかな?今までどんな方法を使っても幾度となく繰り返されてきたんだぜ。


またオレは甦る。


それは色んな方法をやってきたお前ら自身が一番わかってるんじゃないのか?」


「そうかもね。


でもその意志を食い止めて、意志の効果が及ぶのを遅らせることはできると思うけど?」


「オリジンだって『終わりなき闘争曲』を望んでいるわけじゃねぇ」


「じゃやってみるか?。結果がわかるのが何十年後、何百年後になるかわからねぇけどな」


「そうね。じゃ、さよなら」


ヤツは嗤いながらその空間の中へ消えていった。


「さて、この空間の事だけど。ロキがこの扉をこじ開けない保証はないわ。


でだけれど、誰かこの内から扉に鍵をかけて


さらにロキが出ようとしないよう見張る『守護者キーパー』が必要になるわ。


鍵をかけた後、私が外から鍵をかける」


「内側から鍵をかけるヤツってその空間から出れないってことだよな?」


「当たり前よ。先に言っておくけど私は嫌だから。


こんなトコであいつと永遠にいるなんて反吐がでるわ」


「オレも嫌だぜ。オレは自由に生きるって決めたんだ」


なんかアカシャの末裔のくせに自己中なヤツらだな。


「ならオレが行く」


オレは静かに扉へと向かう。


「まって…」


オレの足は誰かに足首を握られて止まる。


振り返ってみるとオレの足首を握っているのは祢音だった。


「もう目が覚めたのか」


「天使の力かな。もう大丈夫だよ」


そう言って祢音は立ち上がった。


「いや、犠牲となるのはオレでいいんだよ」


祢音の手を強引に振り払うと再び歩き出す。


ダァン


再びオレの足は歩みを止める。


今度は祢音の黒い銃から放たれた2発の銃弾によるものだった。


両足に力が入らなくなりオレは膝をつく。


さらにオレの両腕に1発づつくらう。


「力入らないでしょ?『悪魔の囁きウィスパーオブデビル』。


この銃にもあの鎌と同じ力があるんだよ。


吸血鬼の力も弱まってるみたいだから


さっきみたいに切り落として再生なんて芸当できないはず。


威力は弱めてあるからしばらくしたら動かせるようになるよ」


祢音は歩き出し、そしてオレの横を通り過ぎる。


足を掴もうにもオレの手は動かない。


「じゃ、キーパーはあなたということでいいのかしら?」


「はい」


「キーパーとしての役目お願いね」


「はい」


久遠からの言葉に祢音は淡々と答える。


くっ…何もできねぇのか。


『ΜΘΨΦΩ…戻れ』


「えっ?な…何?」


空間に入ろうとした祢音の体はふわりと浮き上がると


引っ張られるようにしてこちらへ飛んできた。


祢音の体はオレを通り過ぎ長老のに受け止められる形で止まった。


「やはりわしがいかねばならないようじゃな」


だったら最初から名乗り出てくれ。


「いいの?あなたが残れば今後楽になるのよ?


あなたが空間内に入れば神側が有利であることはなくなるのよ。


あなただって神側に及ぼす影響は決して少ないものじゃないのに」


「それはわしも考えておった。


だがやはりこの戦いに直接関係のないこやつらを犠牲にすることはできない」


「そんな…私がいきます!」


長老に抱えられている祢音は長老の顔を見上げて主張する。


「いいのじゃ。わしのような者こそがいくべきじゃ。


ロキもその方が喜ぶじゃろ」


そして長老は扉の前に移動した。


「で?ホントにいいのね?てゆうかいい加減決めてもらわないとダルいんだけど」


「ああ。キーパーはわしじゃ。


そうじゃ、以後どうするかはワルキューレ。いや、レミアに決めてもらう。


オルタナティブを解散させてもよいと伝えてくれ」


「わかりました」


そして長老は空間の中に消え、そして扉は閉じた。


「さ、今回のラグナロクも終わりました。今回生き残った者は多かったですね。


イレギュラーのあなたたちがいたからですかね。


あなたたちに私たちアカシャの末裔、独奏者の2人にレミア…そして」


「このオレ、メデスだ!」


「!!??」


フェイト様の後に続いて久しぶりに聞いたような声がした。


その声に瞬時に振り返る。そこには


「よう、ボロボロじゃねぇか。お前ら」


というボロボロのメデスがいた。


「おまえが言うな」


「ようやく終わったようですね。外はもう終わりました」


続いてレミア隊長、そして独奏者のソルダート姉弟も入ってきた。


「お疲れ様です」


ゴゴゴゴゴッ


再び地震が発生する。


「なんだ?まだ詩の効果は続いてるのか!?」


「それは私が謳うのを止めた時点で関係ないわよ。これは元々ロキが創り出した世界。


維持する者がいなくなったことで崩壊し始めてるのよ。


さっさと帰るわよ。アマテラス、ちょっと協力して」


「はい」


フェイト様と久遠は次元転移魔法を使い、


オレたちはオルタナティブの本拠地である城のある世界へと戻った。



あとエピローグが残ってます

年内には更新できますのでご心配なく。来週にはできそうかな

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