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第48話

 〜メデスSIDE〜


「あんたがヘルか。


戦艦でり合ったことはあったがまさかこんな…こんな…あ〜〜…」


え〜と美人…なのか?


美人なんだが左半分顔色悪すぎだろ。美人ポイント±0って感じだな。


「半分美人…だとはな」


左半分も普通の人間らしかったら飛びつきたいんだがもう半分がなぁ…。


「無礼ではないか?女性に向かって半分だけ美人とは…。


だが最も美しい神とされる『フレイ』の名を持つヤツがこんなヤツか。


もっと美しいと思っていた、残念だ」


「なっ!?それはお前自身の姿を見てから言ってもらおうか!


お前自分の身体鏡で見たことあるか?すんげぇぞ!」


「ええい!うるさい!!」


ヘルは悔しそうに怒鳴ると白い斧を取り出した。


多分骨でできているんだろうな。


重そうに刃を下に引きずってこちらへ駆けてくる。


だがあんな物を持っているからスピードは結構襲い。


「はあぁっ!」


ゆっくりと振り上げられた斧はオレの目の前まで迫ると勢いよく、


そして速く振り下ろされる。


「っとぉ…」


ギリギリまで待ち、寸前でゲイボルグを取り出し受け流すと後ろへ退き、距離をとる。


「逃がさん!」


今度は軽々と斧を振り上げ、こちらへ投げてきた。


「うわっアブなっ!」


なんとか回避した後斧はそのまま直進し、背後の壁に刺さると砕けて消えてしまった。


まさか投げてくるとはなぁ。重そうにしてたのは演技か?


「次はコレだ」


今度はヘルの両手に大剣が生成され、


さらに刃にいくつもの小さな刃が突起のように突き出す。


わかりやすく言えばまさにチェーンソーのよう。


そして予想通りいくつもの突起はチェーンソーと同じ動きそして音をさせる。


「ゆくぞっ!」


ヘルは今度も大剣を引きずりながら近づいてくる。


刃は地面を削り、粗い一直線の線を引いていく。


これじゃあゲイボルグは使えねぇな、神の武器とはいえヘタすると真っ二つだ。


「なっ…!?」


飛び退こうとしたが一瞬浮いただけでまた地面へ引き戻される。


骸骨となった死者が2人づつでオレの足を掴んでいた。


ヘルは目の前で大剣を横へ振ってきた。


「ちっ」


大剣の刃が襲いかかってくる左側にシールドを張った。


シールドと刃が接触した瞬間


少し押し込まれさらに小さな刃の回転により強い振動が伝わってくる。


「くっ…ええい、邪魔だ!」


空いていた左手に持っていたゲイボルグで足下の骸骨たちを払い除け


破壊寸前のシールドを解除し、後ろへ退く。


「ぐぅっ…って〜!」


かわしきったつもりだったが甘かったようで横っ腹の辺りをえぐられる。


瞬時に傷口を凍らせて止血する。


オレは氷を扱う魔術師だ。これで凍傷になったりはしない。


どうする…刃に触れればバッサリザックリだ。


シールドが破壊されかけたしな、ゲイボルグで受け止めても無理だな。


…そうか刃に触れなければいいだけだ。


そう考えてる内にヘルはそこまで来ている。


さっきと同じように横へ振ってくる。


1回動きは見たしな、なんとかいけるか?


振られた大剣を軽くジャンプしかわし、大剣の刃のない側面目掛けてゲイボルグを突き刺す。


見事に大剣を貫き地面に突き刺さり大剣は固定される。


さらに突き刺さったゲイボルグを軸にして回転しヘルの顔面を蹴る。


ヘルは持ちこたえようと一瞬踏ん張ったが押し負け、地面を転がりすぐに受け身をとる。


「悪いな。女には手ぇ出さない主義なんだが今回はそうも言ってられねぇからな」


「…はい…はい…わかりました。今すぐに」


誰かと念話しているようだな、ロキか?


「遊んでいる時間がなくなった。本気でいかせてもらう」


「ああそうしろそうしろ。


こっちも時間ないんでな、アポカリプスの復活までもうすぐなんだろ?」


「答える必要はない」


その時ヤツの躰から膨大な魔力が感じられた。


それに一瞬冷たい風が吹いたようにも感じた。


「うわっ魔力抑えてやがったな」


「死ね」


ヘルは先端を尖らせた骨を投げつけすぐさまこちらへ向かってきやがった。


左手には短剣を持っている。


それは今までとは違って骨でできてはいない。何かありそうだな。


「っと」


まず向かってきた骨を回避し――


「速っ!」


骨を回避した頃にはもう目の前にヘルがいた。


「くっ」


ヘルの心臓の辺りを目掛けて目掛けてゲイボルグを突き出す。


「なっ!?」


その瞬間ヘルが消えた…というより跳んだ。


ヘルは宙で逆立ち状態になり、ヘルの顔はオレの目の前にあった。


「ぐぅっ!」


隙だらけになっていたオレは右肩を短剣で切られた。


さらに着地した後振り向き様に短剣を振ってくる。


オレも振り返ってシールドを張ったが


短剣がシールドに触れるとシールドは消滅し、掌が切られる。


「…魔法喰マジックイーター


この刃に触れた魔力は吸収される。


魔力で構築された物も同じだ。シールド程度なら一度で吸収しきれる」


「ならコレならどうだってんだ!?」



―氷の結晶より美しく華麗な女神よ 謳え 海より深く透き通った声で


                    水の調律者の名の下に告ぐ 我の前に姿を現せ―



「来い!ウンディーネ!!」


『憑依』


「いっくぜぇぇ!!」


氷結する大地ツーフリーレン・エーアトボーデン


城の壁や床が氷で覆われいくつかの氷山も出現する。


「ふん…込められた魔力は少なくはないな」


短剣は音も立てず氷山を切り始めたが短剣は半分くらいの所で動きが止まる。


2、3回ほど切るとようやく氷山は真っ二つになる。


「すぐに終わらせてやる」


突き穿つつららツーシュトーセン・アイスツァプフェン


宙に尖った先をヘルに向けたつららがいくつも形成される。


「貫け!」


オレが命じ、次々とヘル目掛けてつららを動かす。


「そんな攻撃…」


ヘルはつららを短剣で切ろうとするが切られてもつららは勢いを弱まらせることなく飛ぶ。


「ちっ…ロキめ!全く使い物にならんではないか!!」


ヘルは切るのが無駄とわかると回避に専念し、簡単に避けていくがそれは計算通り。


「死ね」


降り注ぐつららを避けていき、


オレの右側にに立ったヘルは短剣を構え、こちらへ向かってきた。


「かかったな!」


氷山の檻アイスベルク・ケーフィヒ


ある域を踏むとヘルの足が止まる。


氷の魔力がヘルの足を凍らせ、さらに氷がせり上がっていき下部分から氷山を形成していく。


「…この程度の魔力なら!」


ヘルは氷を切ろうとするが


「それはさせねぇぜ」


短剣が氷に触れる前に短剣をヘルの左手ごと凍らせた。


短剣は切らずとも触れるだけで魔力を吸収するので内部は溶けて空洞になっている。


「おのれ!フレイ!!お前な…」


次第にヘルを覆っていった氷は大きな氷山となり


ヘルはその中に閉じこめられたようになった。


(ふん…このような事をしても意味がないぞ。


どうせ我らは死ぬ運命にあるのだ)


念話か…まさかヤツから使ってくるとはな。


「これで…最期だ!」


(最期、死の恐怖に苦しむがいい。私は冥府で待っ―)


氷山の中で身動きのできなくなったヘルの左胸をゲイボルグで一気に突き刺した。


死人の躰だからか刺し傷からは血が流れなかった。


「ここで死ぬなんてゴメンだ。


まだまだオレは美女と遊びたいからな。


それにオレは地獄じゃなくて天国へ行くんだよ。


天国の美女なんてワクワクするぜ」


傷を氷で塞いだままオレはこの部屋を去った。

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