第46話
〜バトラSIDE〜
「くそっ、動きが速いな。元が猟犬なだけあって」
「足だけは自信あるんでな。『ベーオウルフ』、お前では見切れない」
オレの相手ガルムは動きは速すぎてかすかに残像が見える程度だ。
さっきから何発も殴られやっと眼が慣れてきた所だ。
「ロキまでは使いたくなかったがな」
―数多の修羅場を切り抜け 全てに勝利せし戦の神よ
武の調律師の名の下に命ずる 我の前に姿を現せ―
「来い!阿修羅!!」
『憑依』
そしてオレの躰に阿修羅を宿らせる。
「さぁてそれなりに見えてきたか。動きは何とかついて行ける」
何度も死線をくぐり抜けてきた阿修羅の力で少しばかりよく視えてきた。
「これならっ!」
オレは跳ね、ガルムと同じスピードで移動し、傍に寄り添う。
「ちっ」
「いくぞ!一気に決める!」
オレは普通のものとは2回りほど大きい斧を振り上げ、そしてヤツへ振り下ろす。
だが、オレの振り下ろした斧は空を切る。
オレが斧のせいで遅くなったか、ヤツのスピードが上がったか…。
「オレはまだまだ速く動けるぜ」
ヤツはさらに動きが速まった。
スキップのように床を蹴るその瞬間だけわずかに見える。だが視えない。
「ぐっ!」
足に激しい痛みを感じ、思わず足を着く。
「なっ、足を持って行かれたか」
気がつけばオレの右足は太もものあたりから下がなくなり、
そこからおびただしい程の血が流れている。
これじゃあまともな動きができない。
「これで終わりにしてやるよ」
来る!
オレは何もできずにヤツに首を噛まれた。
だがオレはヤツの首を捕まえていた。
「何!?」
「お前がいくら速くても来る所がわかっていれば何とかわかる。
それが首かどうかってのは賭けだったがな。もう逃がさねぇぞ」
オレは持っていた斧を再びヤツの首目掛けて振り下ろし、ようやくヤツを殺せた。
〜李白SIDE〜
「スレードゲルミル、どうやら図体がでかいだけではないようじゃな」
あの5,6mあるだろうでかい体にはこの苦無でもわしの魔力でも効果がない。
どちらもただの苦無や魔力ではないがな。
「どうした?そんなちっちぇ武器では、傷一つ付けられねぇぞ?」
我々と同様、巨人族も力を増しているということか。
「だがこれならどうじゃ」
―天からの神々の怒りよ 閃光と共に轟音よ鳴り響け
雷の調律師の名の下に命ずる
闇より狙う刃を依り代とし 我の前に姿を現せ―
「来い!『応龍』!!」
胸のペンダントからとてつもなく巨大な龍、応龍が現れ手に宿る。
「ゆくぞっ!」
『雷牙』
応龍の魔力を込めたクナイを投げつける。その威力と疾さ、雷の如く。
「ぐうっ!」
わしが腕を振った瞬間巨人の右腕に拳大の丸い穴が空く。
だがヤツの体は大きい、腕を落とすまではいかなかった。
「やるじゃねぇか。だがこんな穴すぐに回復する」
だがすぐにその穴は塞がってしまう。
「再生能力、どこぞの世界で手に入れたか。
そんなモノはあまり褒められたものではないぞ?」
「利用できるものはどんなものであろうとも利用する。
そうロキが言っていた。適応できない者は躰が朽ちていったが」
「そんな話興味はない、おぬしと話している時間もない。消えろ」
苦無をいくつも投げ、躰に同じだけの穴を空けるが、再び塞がる。
「まだだ!」
縦の円状に十数本の苦無を、さらに手前に1本の苦無を展開させる
『雷迅砲』
円状に展開させた苦無の魔力を1本の苦無に収束させ、砲撃を放った。
巨人の中心に大きな風穴が空き、残った部分も火傷のような痕がある。
「ぐはっ」
巨人は口から大量の血を吐き、今にも死にそうな状態だ。
だが、死んではいない。
普通、いや、普通でなくてもこれをまともにくらえば生きてはいない。
あれほどのでかさでなければ消滅している。
死んでいなければまた再び再生する。
「どうした?今度はこっちから行くぞ!」
傷を完治させた巨人がこちらに迫り、強いプレッシャーを持った棍棒が振り下ろされる。
だがそんな直線的な攻撃、当たるわけがない。
「使わねばならぬか『打ち砕くもの ミョルニル』を」
右手に持っていた苦無をしまい、『メギンギョルズ』と特別製の籠手を装備する。
そしてミョルニルを取り出した。
「『トール』の名を持つオレがロキを止めねばならんのでな」
鎚を構え、魔力を込めると鎚からは雷がほとばしる。
「はぁっ!!」
巨人へと投げた鎚は右腕を弾き飛ばす。
「まだだ!」
右腕を吹き飛ばした鎚は即座に消滅し、
こちらの手元に戻り、再び鎚を放ち、左腕を吹き飛ばす。
しかしその間に右腕が再生される。
「ちっ1発限りだからやはり追いつけんか」
仕方あるまい。全力でゆくか。
さらに応龍の魔力を加えると雷の色が黄から紫へと変化し、鎚が何倍もの大きさになる。
「一度に消滅させる!」
「なかなかの…魔力じゃねぇか」
巨人が動揺しているのは丸わかりだ。
「消え失せろ」
体が大きく元々動きの鈍い巨人族では逃げられまい。
巨人に鎚を叩き込むとその後、巨人の姿は見えなかった。
最終決戦なのに1話で2人分の戦闘終了ってorz
しかも2000字程度だし・・・・
ま、どうせ脇脇役だからいっか(ぉぃ
感想&評価待ってますよ〜・・・・つーかクレ(ウソです。お好きなように