第44話
ユグドラシルにオルタナティブの主戦力が集められた。
オルタナティブ軍にはオーディンを大将として、
レミア隊長とフェイト、調律師プラス奏や独奏者。
そしてレミア隊長がヴァルハラから連れてきた
エインヘリャルたちと組織に所属する強者兵士たち。
「では行くぞ」
そしてオレたちはロキの本拠地へと通じる次元の歪みに入った。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「奇襲はバレていたか」
オレたちがロキの本拠地のある世界に着いた時には
すでにヤツらは陣形を整え、待ちかまえていた。
骸骨兵や数mある巨人兵にメデスの艦に乗っていた時に見たガーゴイルもいた。
準備は万端のようだ。
ついでに言うとオーディンはユグドラシルのあった部屋から連れてきたスレイプニルに跨っている。
「残念だったなお前たちがこの時間に来るってことはわかってんだ」
その軍団の先頭に立つロキが言った。
「何もフェイトの末裔がそっちの味方であるというわけじゃない」
するとヤツの背後兵たちの中から一人の少女が現れ、ロキの横に並ぶ。
「『久遠』!?」
オルタナティブ軍の先頭に立つオーディンの隣にいるフェイトが声を上げる。
「久遠?」
オーディンは久遠と呼ばれた少女を見ながらフェイトに問う。
「『フェイト・久遠・アカシャ』私と同じフェイトの名を冠する者の1人です。
久遠は私より高い能力を持っています。
マザーの下にいたときはよく一緒にいました」
最後にはフェイトは俯いて話していた。
「オレはまだやる事が残ってる。オレを殺したければ城まで来い」
そう言ってロキと久遠はそこから転移した。
おそらく後ろにある城へと転移したんだろう。
ということはアポカリプスはまだ復活していないということか。
「どうやらあれを突破せねばならぬようじゃの」
目の前にはびっしりと敵兵が並んでいる。
「出陣じゃ!!」
オーディンの号令により、両軍一気に互い目指して駆け出した。
地上は骸骨兵や巨人兵が詰め込むように並んでいるので
隙間を抜けていくのは可能ではありそうだが難しそうだ。
かと言って空を飛べば空には翼の生えたガーゴイルがいる。
まぁどれも敵を倒しながら進めばいいだけだが
敵兵はできるだけ倒しておくべきと考え、地上を進むこととした。
双方入り乱れた戦い。
これだけもみくちゃだと目の前のヤツを斬ると
背後から斬られたりしてる兵もそれなりにいる。
だがエインヘリャルは元々死んでいるためこれ以上死ぬことはない。
だが相手の骸骨兵も同じようなもので
バラバラになってもすぐに組み立てられ、また再び動き出す。
「みなさん!一旦下がってください!」
後ろの方からフェイトの声がした。
なんとか敵を倒しながらできるだけフェイトの方へ近づく。
後方にいるフェイトは掌を天へと翳し、
その上には光の玉があり、どんどん大きさを増していっている。
「ΘΞΧΩΚ…」
―全てを照らす天の光よ 我に抗うモノを討ち払え―
「……ΛΦΧΣΨΑ……CODE『アマテラス』」
夜しかないはずの世界は光の玉によって昼間のように明るくなった。
そしてフェイトは手を敵兵の群れへ伸ばし、極限まで大きくなった光の玉を放つ。
光の玉は地面へ接触するとドーム状に脹れあがり次第に収縮していった。
光が覆っていた場所には骸骨兵は消滅し、巨人兵やガーゴイルは消えたものもいれば、
しぶといヤツは灼かれたように全身から煙を出している。
「くっ……これをくらって生き残っているなんて…」
それだけではない、地面からは骸骨兵が這い出てさらに次元の裂け目ができ、
そこからは巨人兵やガーゴイルが現れる。
「無限に出てくるということもなさそうじゃが時間がかかりそうじゃの。
やはり突破しかないようじゃ。
ならば調律師は突っ込み、止まらずに城まで突き進め!
エインヘリャルやその他兵はヤツらを抑えておれ!
レミア隊長フェイト様、指揮は任せましたぞ」
「「はい!」」
オレなどの調律師と奏は地面を駆け、敵陣に入っていく。
ちなみにオーディンは空を駆けるスレイプニルの上から
襲ってくるガーゴイルをグングニルで薙ぎ払っていく。
空の方が地上より兵の数が少ない。
エインヘリャルたちが道を作ろうと奮闘してくれたおかげで何とか城前まで来れた。
後ろの方ではわいわいと騒ぎ声が聞こえる。
どうやら先に城に入った調律師もいるようだ。
祢音と奏はオレとほぼ同時に着いた。
「さて、行くか」
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