表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/73

第39話

シールドとバリアの現時点での違いを簡単に説明しときます。

シールド…使いやすく最もポピュラーな防御法。防げる方向は手を翳し、盾を創り出した1方向だけだがバリアに比べて防御力が高い(ちなみに人の手は2つあるので最大2方向防御できる)

バリア……決められた対象を覆うように魔力の膜が張られ、全方向に対応できるがシールドに比べて脆く魔力を消費する(使用者の魔力が高ければ別です)

あなたは変わってしまった


赤く暖かかった心は青く冷たく…


怖かった…元に戻そうとして無理に赤を混ぜて悪化させてしまいそうで……


あなたは変わってしまった


太陽のような色をした明るい笑顔は今は無で…何色にも染まらなかった


怖かった…元に戻そうとしても何の色で染めればいいかわからなかったから……


そして私も変わってしまった


あなたと私は同じになった


2人は同じ黒に染められていた

何を混ぜても変わらないほど強く深い漆黒に…


                            Fate Akasha


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




スキーズブラズニルの中では祢音と一人の男が戦っている映像が映っていた。


その男は調律師の一人、ロイだった。


戦況は祢音の方が押しているようだ。


「ロイが戦ってくれてたんだが戦況があまり良くない。


援軍ならお前らを連れてきた方がいいと思ってな」


―ぐあぁっ!!…くそっ…如月…祢音………―


ジャンプで攻撃を避け、着地した後、ロイの動きが一瞬鈍った。


どうやら足にケガをしているようだ。


見たかんじ決して浅くはないケガだ。


そしてそのわずかな隙を祢音は見逃さなかった。


祢音の腕はロイの左胸、心臓の辺りを貫いていた。


「くそっ!


…まだ着かねぇのか!?」


メデスは下にいるオペレーターたちへ叫ぶ。


「後ちょっとです…着きました!」


「2人とも行くぞ!」





オレたちが来た世界は空は黒い雲に覆われた草原。


目の前には祢音に胸を貫かれたまま項垂れているロイと


顔に返り血を浴びながらも無表情でいる祢音。


「ふふ…」


そこから軽く微笑むと腕を勢いよく振るとロキが腕から抜け、


ゴロゴロ回転してこちらへ転がってくる。


「早く救急処置を!」


メデスの後に続いて出てきた救護班によってロキの容体が調べられるが結果は早かった。


「もう亡くなってます」


救護班の班長と思われる男が低いトーンで言った。


「そうか。船に連れてってやれ」


「わかりました」


担架に乗せられ、ロイの遺体は船へ運ばれた。


「無月、祢音ちゃんが戻ってきたらこいつを渡してくれ」


オレはメデスから1丁の銃を預かる。


「ああ、わかった」


「悪いがオレはオレで用があるんだ。だからここは退く。


なぁに、船から様子ぐらいは見守ってやる。それと最後に言わせてもらう」


メデスは船への扉の前でふと何かを思い出したように立ち止まり、振り返って言った。


「殺すことは強ければだれにでもできる。


それで祢音ちゃんを闇の力から救えるかもしれねぇ。


が、本当の意味で祢音ちゃんを救えるのはお前らだけだとオレは思ってる。頼むぞ」


扉ギリギリで振り返って最後に一言、


なんてどっかのドラマで見たような行動だが気にしないことにするか。


「「言われなくても」」


オレと奏は同時に言った。


「じゃ、頑張れ」


そう言ってメデスは扉へ入り、この世界から去った。


「さてと、祢音…今は悪魔か……久しぶりだな」


船への扉が消えるのを見るとオレは振り返って祢音を見る。


「あんなに闇に染まって…」


見た感じ祢音を包む闇の魔力は前より多く強くなっている。


「祢音を返してもらおうか!!」


「うっ…うう……ぐ…」


すると突然祢音が腹を押さえて苦しみだす。


オレには何が起こってるのかサッパリわからないが今がチャンスか。


だがどうやって本来の祢音に戻す?


もう一回心の中に入るのか?


でも多分無理だ。祢音の闇が強すぎる。入り込める余地がない。


どうする?どうする?どうする?


「お…兄……ちゃ…ん…」


!?


今オレを呼んだのか?


「お兄ちゃん……助けて…」


「祢音か!?」


「ぅん…早く……助け…」


「ああ!」


姿はさっきと一切変わってないが本来の祢音に思えた。


祢音は蹌踉よろめきながらもこちらへ1歩1歩歩いてくる。


そこで何かに躓き、転びそうになる。


「祢音!!」


オレは走り出し、転ぶ寸前の祢音を受け止め、抱える。


「お兄ちゃん…」


「大丈夫だ。今助けてやる」


「無月!そいつから離れて!」


奏が切羽詰まった声で叫ぶ。


「え――?」


ダァン


「な…に…?」


オレは祢音に左の腹を撃たれていた。真っ黒な銃で…。


そして衝撃でオレは祢音から離れ、後退り撃たれた腹を押さえる。


「くっくっくっ………あーーっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」


すると長い髪が顔の前に垂れていて顔が見えなかった祢音が


そこから髪を振り上げるほど勢いよく首を振り上げ、急に壊れたように笑い始める。


「バッカじゃないの!?あの祢音が帰ってくるはずないじゃない!!!


あの子は私の闇で閉じこめてあるのよ!!


全く、バカバカしいにも程がある!!


それにそんな簡単に騙されるなんておかしくておかしくて!!


大丈夫、ここは私の心の中じゃないからルシファーをくらってもすぐには死なないからさ!!


あーーっははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」


恐怖すら感じられる笑い。


フインキが本来の祢音の持つものじゃない。


姿は祢音なのにこれは祢音じゃない。まさに悪魔だった。


今思えば騙されたオレが不甲斐ない。


「くそっ!!…仕方ねぇ。悪魔!勝負だ!!


お前を祢音から引きはがしてやる!!」


腹の傷は奏がなんとか治してくれた。十分戦える。


「おもしろい!2人とも、かかってきなよ!!殺してあげる!!!


いくよぉっ!」


『闇の咆吼』


先に攻撃を仕掛けてきたのは悪魔だ。


オレたちへ右手を伸ばすと掌から闇の魔力による砲撃が放たれた。


「奏!」


オレと奏はそれぞれ両側に別れて難なく砲撃をかわす。


直線上に放たれたのでかわすのは容易だった。


魔力が触れた所を見ると芝生はパサパサに枯れてしまっていた。


辺りを見回せば同じような状態になっている所がいくつかある。


先ほどのロイとの戦闘の時に生じたものだろう。


「くらえっ!」


そのまま走り続け、オレと奏で悪魔を両側を挟み込むようにして斬りかかる。


だがその攻撃は簡単にシールドで防がれてしまう。


悪魔はシールドをやめ、真上に飛ぶ。


オレと奏は同時に上を見上げる。


空中にいる悪魔の両手に魔力が溜められる。


『闇の咆吼』


再び砲撃が放たれる。


「させるかっ!」


オレは剣の切っ先を悪魔へ構え炎を放つ。


オレの魔力と悪魔の魔力がぶつかり合う。


「奏任せた!」


悪魔の隣には奏が移動している。


「…!」


奏が今にも剣を振り下ろそうとした時だった。


「ふふっ、バーカ」


砲撃を放つ手を片手だけにしてもう片方を奏へ向ける。


「!?」


ドォォン


爆発音と共に煙が生じ、そこから奏が煙の尾を引いて吹き飛ばされる。


「奏!!」


地面にぶつかる前に体勢を立て直し、芝生の上を滑る。


「大丈夫、ギリギリ避けた。致命傷にはなってない」


「これ、逃げられるかな?ωψφτν…ζζκδα……」


宙に浮かぶ悪魔の足下に黒い魔法陣が現れ、


さらにそれの何十倍もの大きさの魔法陣がオレたちの真下に現れる。


こりゃ逃げた方がよさそうだな。


「離れるぞっ!」


「わかってる」


オレと奏は最も外側に近い方向に走り出す。


悪魔の詠唱はまだ続いている。


「沈め『重力殺戮グラビティジェノサイド』」


詠唱を唱え終わった瞬間、ドォンというかなりでかい音がした。


オレはなんとか魔法陣の上から脱出していた。


後ろを振り返ってみれば魔法陣があった所に


隕石が落ちた時のように大きなクレーターのような凹みができていた。


その時魔法陣の上にいたら下敷きなどでは済まなそうだ。


「スゲェ魔術だな。んなモンどこで覚えた」


その問いには悪魔は答えない。まぁ元々期待してないけどな。


「無月、多分あいつを殺しても意味がない。お姉様も死んでしまう」


「そうだろうな。で、どうするんだ?」


「お姉様自身であいつを倒すしかない」


「それしかなさそうだが、あの闇で閉じこめられちゃあ起こせる可能性は低そうだな」


祢音がいる場所は多分ヤツの魔力が最も強い所だろうし。


だが諦めるつもりは毛頭ない。


「あまり傷つけないよう攻撃しながら私たちで呼びかける」


「じゃ、ヤツの攻撃を避けながら祢音を呼びかける。それで行こうか」


「ん」


「さて、そう簡単にできるかしら?」


「祢音!!戻ってこい!!」


「うるさいなぁ・・・黙ってよ」


『ブラッディショット』


悪魔が掌をこちらへ向ける。


するとガトリングガンのように血のように朱い弾丸が連射される。


「ちっ…」


オレは悪魔を中心に円を描くように走り避けていく。


弾丸はオレのすぐ後ろギリギリに着弾する。


「奏!」


背後に奏が剣を構えている。


「邪魔よ」


もう片方の手で弾丸を放つが弾丸は奏の体を擦り抜ける。


「幻影か…」


本物の奏は気配を消して悪魔の頭上にいた。そして奏は悪魔の頭目掛けて突っ込む。


「!」


悪魔は体2つ分移動し、奏をかわす。


奏は容赦なく悪魔へ剣を振る。


「ちっ」


悪魔は即座に取り出した銃の銃口で奏の剣を受け止める。


ダァン


そのまま発砲すると剣は奏の手を離れ、クルクルと回転しながら遠くへ飛んでいった。


こうなるのを予想していたのか機転よく次の行動へ移り、悪魔の襟と右手首を掴む。


これで発砲されることはない。


「お姉様の躯を返して!」


「そう簡単に返してあげると思う?」


奏に睨まれているにも拘わらず、悪魔はニヤリと笑う。


「なら力ずくで返してもらうだけだ」


オレは悪魔が奏と交戦している間に悪魔の背後にいた。


「祢音!!闇に負けるんじゃねぇ!!」


「早く帰ってきて!」


「うるさい!!!」


悪魔が叫び、魔力の波動によってオレと奏は吹き飛ばされる。


まぁ耳元でそんなに叫ばれりゃあ怒るか。


「もう容赦しない消えてもらう!!


ΣξεψΓπ…θφφζη…」


再び悪魔が呪文を唱え始める。


「詠唱を止めるぞ!」


オレと奏は再び飛び立ち、悪魔へ向かうが


「くそっ、バリアか!」


悪魔は強力なバリアに覆われて近づくことができない。


「降り注げ『ジャッジメント』」


空を覆う黒い雲を突き破って大きな闇の砲撃が地上に落ちる。


どうやら『闇の咆吼』の強化版のようだがこれの方が威力は何倍もありそうだ。


しかも空から降ってくるもんだからどこに来るかわからない。


「まだまだ!κκβμτχ…」


何とか空からの攻撃を避けている間にさらに呪文を唱える。


悪魔が呪文を唱え始め、再び地上に魔法陣が現れる。


さっき地面に現れた魔法陣よりははるかに小さく、


5m程だったが魔力はさっきより多く圧縮されている。


「万物を飲み込め『暗黒扉ダークネスゲート』」


詠唱を終えると円形の魔法陣があった部分に真っ黒な球体が現れる。


するとそこがブラックホールになったように周りの草や石をもの凄い力で吸い込んでいく。


オレの体も引き寄せられ、前へ進むのも困難だ。


これで頭上から攻撃が来るんだからたまったもんじゃない。


「さあ!暗黒の世界へ送ってあげる!!」


剣を地面に突き刺し、なんとか耐える。


「く…祢音!!戻って何とかしやがれ!!」


「そんなのでこれが避けられる?」


悪魔の手がオレへ向けられる。


感想&評価待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ