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第13話

あの後何事もなくライの家に帰って来たオレを迎えたのは笑顔満面のメデス。


「うれしそーだな」


オレは玄関からオレの部屋までの距離の半分ぐらいまでずっとついてくるメデスに歩きながら言った。


「あは、やっぱそーみえる?」


メデスはそう言いながらあはあは言って体をふらふら揺らす。


「鬱陶しいぐらいな」


「今日は久しぶりに幸せな日だったぜ!」


そして今日のデート(?)を事細かく話し始めるメデス。


その話を聞き流しながら部屋の前まで来ると


「じゃあな!」


と言ってバタンと扉を閉める。


「おい、まだ話はまだ終わってねぇぞ!!」


メデスは扉を叩いてくるが無視だ。


十秒ほど経つと扉の前からメデスの気配が消える、諦めたか。



☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



しばらく経ってそろそろ寝ようとベッドに近づくと強い魔力の波動を感じた。


「おい、起きてるか?」


扉越しにメデスの呼びかけが聞こえた。


「ああ、外に出るぞ」


その時オレは既に準備が整っていたので窓からさっさと外に出る。


波動の中心点を探りながら飛んで行くと街の中心となるビル街まで来た。


そこにいたのは紫色をした短髪の30才ぐらいの男。


「やっと見つけたぜ、調律師」


男は確かにそう言った。


「お前、『紅き月』の者か?」


「その通り、お前たちの魔玉をもらいに来た」


と言うことはこいつも魔玉をいくつか持っているはず。


おそらくここでの反応はこいつの魔玉に反応したのだろう。


「無月、さっさと殺っちまおう。2人がかりならすぐに終わる」


オレの後ろにいたメデスは槍を取り出すが


「おっとそうはさせねぇぜ」


男がパチンと指を鳴らすといくつもの魔法陣が出現し、


そこから蝙蝠の羽とゴリラのような肉体を持つ紫や黒や赤に染まった化物が現れた。


「片方には『悪魔』の相手でもしていてもらおうか」


そう言うと悪魔たちは適当に決めたのだろうが、


オレは見向きもせずメデスの方へ襲いかかってくる。


「くそっ」


メデスは先頭の悪魔を槍で払うと一旦後ろへ退き


「こいつらはオレに任せろ!」


と言って悪魔たちを引き連れ遠くへ離れていった。


「で?お前はオレに勝てる自信があるのか?」


オレはビルの屋上でヤツに問う。


「ああ、なかったら呼び出さねぇよ」


趣味の悪い紫色の髪をした男は自信満々にそう答えた。


「さて、始めるとしようか。オレは『メラ』、よろしくな」


そう言うとメラは魔法で鉄のような金属でできたトンファーを取り出した。


「ああ、よろしく」


オレは余裕を見せるようにニヤリと笑って『夢羅雨』を取り出す。


「いくぜっ!」


メラはトンファーを回転させるとほぼ一瞬でオレの右に回り、攻撃を仕掛けてきた。


オレは左へ跳び、間一髪でかわしきったかと思ったが、


トンファーに接触したコートの腰辺りが酸に触れたかのようにボロボロになる。


「ちっ、並のローブじゃないんだけどな」


回転を止めたメラのトンファーをよく見れば魔力を帯びているのに気がつく。


「気ぃつけろよ、これはただのトンファーじゃねぇ。


このトンファーにゃあオレの魔力を加えてある。


そしてオレの魔法属性は毒と酸、オレのトンファーに触れるとケガじゃすまねぇぜ?」


メラは再びトンファーを回転させ、今度は真正面から攻めてくる。


「避けろ避けろ!少しでも動きを止めりゃあ躰が溶けちまうぜ!」


「ならばこれで防ぐだけだ」


オレは次々と襲いかかるトンファーを避けつつ左のトンファーを刀で弾く。


「なっ!?」


弾かれたトンファーはメラの手から離れたことで魔力を失い、メラの後ろの床に落ちる。


怯んだ隙にさらにもう片方のトンファーも弾く。


「げっ!」


オレを見るメラの顔には冷や汗のような滴が見える。


「甘いな、オレの刀もただの刀じゃねぇんだよ。


それにお前のしょぼい魔力を押し返すぐらいの魔力はあるつもりだ」


唖然としているメラの首の右側に刀を当てて、説明する。


「これで終わりだな」


首を斬り落とすため、一旦刀を大きく左へやると


「そうかな?」


オレが刀を振る前にヤツは袖に仕込んであったナイフを取り出すと、


オレの顔目掛けて突きを放ってくる。


「何!?」


そのまま刀を振り防ごうとするが不意を突かれ、


反応が遅くなり顔に一筋の切り傷を負う。


「へへっ、くらいやがったなぁ。


今の攻撃には結構毒を加えた。そんだけの傷でも無事じゃすまねぇぜ」


メラはしてやったりの顔をして後方へ下がり、落ちたトンファーを持つ。


「ならば毒が回る前に殺るだけだっ!」


一気にメラの目の前まで詰め寄り幾度も刀で攻撃をする。


「いつまで保つかな?」


メラは余裕の笑みを浮かべながらオレの攻撃を防いでいる。


今だっ!


オレは左手に魔力を溜めて火球を放とうとしたが


「!?」


魔力を溜められない!?


それどころか両腕の感覚が薄れてきている。


「やっと効いてきたか。


普通じゃ一瞬で毒が回るはずなんだがなぁ」


オレはメラへの攻撃を続けているがその動きも毒のせいで鈍くなってきやがる。


「隙ありぃっ」


「ぐあっ!!」


メラは少し動きが止まった隙をついてトンファーでオレの腹を殴った。


オレは吹き飛び、後ろの金網にガシャアンと音を立てて激突する。


「酸はやめておいてやった、毒でじわじわと死の苦しみを味わうんだな」


メラは勝利を確信したように高々に笑っている。だが、ここで終わらせない。


どんどんオレの体全体の感覚がなくなってくる。


仕方ない、ここは『アレ』を使うしかないようだ。




―燃えさかる地獄の炎を司り 生死を繰り返す聖なる獣よ


             炎の調律者の名の下に命ずる 我の前に姿を現せ― 




「いでよ!『フェニックス』!!」


オレはフェニックスを呼び出した。


『不死鳥の涙』


さらにフェニックスが回復魔法を使う。


そうすることでオレの体内の毒を解毒し、頬の傷も癒える。


「聖霊を呼び出した以上、お前の敗北は決まった」


オレはメラを指さして宣言するがヤツの顔は笑っていやがる。


「くっくっく…何もお前らだけが『そんなモン』使えるわけじゃねぇんだぜ?」


するとメラの魔力が一気に強まる。


「まさか!?」


「その通り、オレも使えるんだよ。来いっ!『ポイズナー』」


メラが右手を高々と挙げて叫ぶと、


ヤツの背後にポ○モンで見たようなモンスターが現れた。


確かベ○ベ○ン………。


「こいつとお前のソレ、どっちがつえぇかな?行け!ポイズナー!」


メラに命令を下されたポイズナーはフェニックスに覆い被さるように向かってきた。


「フェニックス、下がれ!」


オレの指示通り、フェニックスは翼を大きく羽ばたかせてヤツの攻撃をかわす。


「放て!『ヘルファイア』」


フェニックスはヤツの攻撃をかわすと狙いを定めて地獄の業火を放つ。


ヤツの霊、ポイズナーは反応が遅いのかフェニックスの攻撃をもろに受ける。


―ウオォオオォオォォオオ―


ポイズナーは激しい炎に包まれ、低い大きな呻き声を上げる。


「ポイズナー!!」


額に汗を浮かべたメラは炎に向かって呼びかけるが呻き声が聞こえるだけで反応はない。


勝った………か?


魔力が消えていない、まだだ!


「フェニックス!離れろ!」


オレの命を受け、離れようとしたが不意を突かれ


右翼に炎の中からヤツが吐き出したヘドロのようなヤツの体の一部を受ける。


攻撃を受けた右翼は炎の翼であるにも関わらず溶けたようにドロドロになる。


「ははっ、油断大敵ってヤツだ!」


お前、さっきまで負けると思ってただろ。


「フェニックス!まだいけるか?」


オレの問いにフェニックスは静かに頷く。


「一気に決めるか」



―聖霊不死鳥よ その名の如く永遠に燃え盛る焔となりて敵を討滅せよ―



『奥義 ゴッドバード』


オレが掌を広げ、天へ手を伸ばし、その上でフェニックスは赤から黄金色に燃える鳥となる。


攻撃を受けた右翼は既に完治してある。


「ヤツを貫き、燃やし尽くせ!!」


そう叫んでオレはヤツとヤツの霊を勢いよく指さす。


そしてフェニックスは矢のようにヤツらへ突撃する。


「ポイズナー!受け止めてそのまま溶かしちまえ!!」


構えるポイズナーの真ん中にフェニックスが突撃した。


受け止めようとしたポイズナーだったがそんな間もなく躰に大きな風穴を空けられる。


そしてそのまま主のメラと共に燃えながら果てた。


その場に残ったのはヤツが持っていた魔玉の入った丸い瓶。


「よしっ、これで魔玉はオレの物だな」


その瓶へ向かおうと足を一歩踏み出した瞬間、


「な!?」


閃光弾を使った時のような激しい光が放たれ、オレは思わず目を瞑る。


そして光がおさまった時、その瓶を持っていたのは


「おっと、これはオレの物だぜ?」


あの時と同じ上から下まで真っ白な服装をした


「『次元の怪盗』!?」


次元の怪盗だった。


「よ、また会ったな」



久々にまともなバトルシーンを書いたような気がします。

テスト期間なので内容を考えてる時間があまりないですねぇ・・・・

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