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第2話

前回までは『調律者』と表記していましたが今回から『調律師』と表記します。

ご了承ください。

「ふわ〜〜あ〜」


これが朝起きた無月の第一声。


あの後本部にも用意されている自分の部屋に戻り寝たのだ。


「お兄ちゃん、起きてる?」


「おう」


「招集がかかってるから今すぐ長老の間に来てほしいんだって」


「長老の間?んなのあったか?」


寝ぼけ頭の思考ではそんな部屋の名前は記憶にない。てか思い出せない。


「何言ってるの。


長老が出てきて総帥なんて必要なくなったから部屋の名前も変わったじゃん」


「ああ、そっかそっか」


言われてやっと思い出すほど寝ぼけているようだ。記憶力がないわけではないだろう。


「私と奏ちゃんは先に行ってるからね」


「わかった」


扉越しに聞こえる声がなくなり、代わりに遠ざかる足音がした。





「さ〜て、入るか」


現在長老の間となっている部屋への扉の前にいる。


ちゃんとコートの乱れもないし、


寝癖も直したなど身だしなみを確認し扉を2回ほどノックする。


「『オルタナティブ』調律師如月無月、入ります」


そしてゆっくりと扉を開けると何人か見知った顔があった。。


全員の視線が無月に集まる。


ちなみに机や椅子はないためオーディンを除いて全員立っている。


(調律師が全員揃ってる?いや、あの女好きがいないか)


歩きながら無月はあのヘラヘラした顔を思い出した。


そこにはオーディン、レミア、フェイトとメデスを除く調律師全員そして奏、そして見知らぬ男女がいた。


「おい、メデスはまだか?」


祢音の傍までより小さく囁く。


「一応報せておいたんだけどまだみたい」


と言うと扉をノックする音がした。


「『オルタナティブ』調律師メデス・ジュライアス。入ります」


そう言って入ってきたのはメデス。顔つきは普段とは違う。


このような空気にあんな笑顔じゃキツい。


「さて、揃ったか」


ということはこれで全員のようだ。調律師全員が集まるなど稀なことである。


オーディンは立ち上がることなく座ったままで話出す。


「如月前総帥の件はみな全て聞いたであろう。あのような行動をした目的もな。


新たなことがわかったのじゃがどうやら魔玉というのはいくつでもあるわけではないのだ。


魔玉は世界に150個あるようじゃ。


つまり、こちらで50個確保すれば『アポカリプス』の召喚を止められる。


そこでお主らに新たな任務を言い渡す。


この世界の魔宝捜索は続いて演奏者に任せる。


お主らしか相手にできないような強敵はおそらく異世界にいるであろう。


そこで如月前総帥の残党及び同じ目的をもつ者共を抹殺。


残り40個確保すればよいが念のため一人一人のノルマは無しで異世界に存在する『魔宝』の回収。


そして『アポカリプス』の召喚を止めるのじゃ!!」


その総帥の叫びの命に調律師全員がそれぞれ了承の言葉をあげる。


「了解」


と無月も言うと1人の調律師が


「方法は個人で勝手にやらしてもらっていいんッスよね?」


長老であるオーディンの前にも関わらずタメ口をきく調律師に


「あぁ、任せる。好きなようにするがいい。


そこでお主らに渡しておくものがある。レミア」


「はい」


レミアは1人1人に腕時計の盤ぐらい大きい水晶が付いた腕輪と、


野球ボールより一回り大きい透明の水晶玉を渡す。


腕輪は受け取った時はぶかぶかでサイズが合わないと思ったがはめてみると収縮しピッタリになる。


「これは魔宝に入っている魔玉の波動を感じ取ることのできる腕輪です。


魔玉のある世界で念じれば水晶が光るはずです。


どこにあっても反応する代わりに場所を示すことはできません。


ですが近づけば近づくほど光は強くなりますのでそこは皆さんで努力して探してください。


あとその水晶は3回だけ元の世界つまり、この世界に戻ることができる魔法がかかっています。


魔玉を得た時はこの水晶玉にかざせば魔玉は吸い込まれるように入るようにしてあります。


その水晶玉には魔玉のカウンターがついてますので記憶力の悪い者でも大丈夫です。


これらを役立てて捜索してください」


「もう一つ報せておくことがあったのだ。


この任務は実力者揃いとはいえ8人では少々時間がかかるであろう。


誰かと組む者もいるだろうからな。


そこで独奏者の同率トップの2人をこの任務に加わらせる。2人とも前へ出なさい」


「「はい」」


と言って見知らぬ男女が前に出てこちらへ顔を見せる。


(独奏者、確か長老直属の兵士として訓練されていたヤツらだったな)


「独奏者トップのリルラ・ソルダートです!よろしくっ☆」


先に挨拶をしたのは女の方。


年齢は無月と同じくらいか少し上だろう。明るすぎる挨拶とは違って体は意外に大人だ。


髪は水色の長髪、顔は美形で現在は笑顔満面。実力は見た目では全くわからん。


性格も挨拶の仕方からして明るすぎるのだろう、祢音といい勝負になりそうだ。


ちなみにこんな挨拶をされても誰も眉一つピクリとしないのは無感情なのではない。


そして続いて男が挨拶をする。


「同じく独奏者トップのリスト・ソルダートだ」


どうやら2人は兄妹のようだ。姉弟かもしれないが。


嫌味な訓練を受けてきたのか根暗というか無愛想な眼をしており、まぁ美形だろう。


髪は長髪でもなければ短髪でもない長さの青髪、女の方より色は濃い。


同じく実力はわからんが、態度は女に比べれば遙かに友好的ではなさそうだ。


「名でわかる通り、2人は姉弟だ。ちなみにリルラが姉になる」


どうすれば姉弟で同じ環境で過ごしているのにあそこまで違うのか不思議だ。


「さて、任務開始じゃ。良い報告を待っているぞ」


と言うのを最後にみんな扉に向かって歩き出した。


無月たちも扉に向かおうとしたが


「如月無月、祢音、メデス、奏はここに残ってください」


というレミアの命により、4人は部屋に残ることになった。


「奏の処置が決まりました」


「で、どうなったの?」


「はい、刑の方ですが今は少しでも戦力が欲しい事態です。


奏の実力は調律師と同等と言っても過言ではないはずです。


なのでこの任務に彼女も参加してもらい。見事任務が成功すれば刑は無し。


ただし他の3人の誰かとペアになってもらいますが。


そして『オルタナティブ』の調律師の称号を与えることも考慮します。


そうすれば戦い続けることになりますが


普通に生活するよりはいい生活になると思います。あなたたちもいますしね」


「そういうこと。よろしく」


と言って奏はこちらを向いて手を差し出した。


「うん、よろしく」


その手を祢音が握り握手を交わした。





「これからどうするの?」


今後の予定を話し合うため、4人は広間にそのまま向かい円になっている。


「そのことなんだが一応全て集めるとして残り90個の魔玉を集めるには


やはり4人で探すよりバラバラになっていった方がいいかと思うんだが…」


と無月は言い出した。


その発言には祢音とメデスは驚きの表情で無月を見る。


「ん〜〜そうだよね。それは確かにそのほうがいいかもね」


「じゃあ、バラバラでいこうか。と、ゆーことで奏ちゃんはオレといっ――」


「奏は祢音とペアになってもらう」


「わかった」


「ぐはあぁっ!!」


メデスが時代劇の斬られ役の斬られた時のような動作をして倒れる。


「無視だ無視。じゃあオレは先に行くぞ」


無月は倒れているメデスを跨いで扉を開ける。


時空間転移魔法は広い所でやった方が安全だからだ。


広間でやると周りの物や人を巻き込む可能性がある。


「うん。またね」


そして無月に続いて祢音、奏も扉を出て転移する。


「………オレ無視されてる?」


とメデスの呟きを最後に聞いて…

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