第11話
10話であれだけ多かった文字数が半分以下に・・・・・楽しんでください
「地下か…その割には中はしっかりしてるよな」
洞穴に入ってみると内部は意外にもどこかの研究施設のようで声が響いて聞こえる。
「これじゃあ上空からじゃわかりっこねぇかな」
メデスは一番後ろについて歩いている。
ちなみにムニンとフギンは役目を果たした、あとは好きなようにしてくれとか言って洞穴に入る前に去った。
「それにしても全然敵が出てこないよね」
3人は先ほどから武器を持ち、気配を窺っているが全く敵が現れる気配がない。
「扉だ」
T字路を右に曲がった所で奥に扉があるのが見える。
「後ろに行ってない道があるけど?」
と言って祢音は後ろを振り返る。
「いや、いちいち考えるよりこのまま行ったほうがいいだろ」
無月は扉を開けようとしたが取っ手がないのに気づく。
「これじゃねぇか?」
とメデスが指さした先には1〜9までの番号のあるボタンがあった。
どうやら4桁のパスワードを入力しなければならないようだ。
「面倒だな」
無月は適当に4つボタンを押すがブーとエラー音のような音が鳴る。
「プログラム書き換えとかかっこいい事できねぇのか?」
とメデスが無月を蔑むような目で見て聞くが
「んなもんできるわけねぇだろ」
ときっちり否定する。
「だったら。ぶっ壊すしかないよね。下がってて」
祢音はそう言い2人は祢音の後ろに下がるのを確認すると扉に向かって5発の銃弾を放つ。
が――
「うわっ」
銃弾は硬い扉の前に弾かれ2発の銃弾がこちらに跳ね返ってきた。
「ならオレたちの出番だな」
真ん中に立つ祢音を走って通り過ぎると、
無月とメデスは装備している武器で扉に勢いのある重い一撃をくらわした。
が――
カキィン
またもや硬い扉の前に弾かれる。
「どうやらもう一方の道を行くしかなさそうだな」
と無月が振り返った瞬間、目線の先には白衣を着た男が脇に何か書類のような物を挟んで立っていた。
「敵襲だーーー!!」
男は急に叫ぶと共に警戒音が鳴り響く。
という事は今まで侵入していたのに気づいていなかったようだ。
「げ、見つかった」
「てかさっきまで見つかってなかったのかよ」
「けっこう鈍いのかもね」
と言いながら無月たちは反対側のもう一方の道を今度は走って進む。
そして通りすがりに叫んだ男を殺しておく。
白衣の男の持っていた書類がヒラヒラと舞い落ちる。
「見つけたぞ撃ち殺せ!」
正面にマシンガンを持った3人の兵が現れると武器を構え、こちらに向かって撃ち始めた。
「ちっ、面倒だな」
無月たちはそれぞれの武器で銃弾を弾きながら前進する。
「バ、バケモノか!」
兵の1人がそう言うと
「バケモノ言うなぁ!!」
と言って祢音は銃弾を弾く動作をしながら兵たちに向かって銃弾を放った。
「ぐぁああ!」
銃弾は兵の肩に当たり、痛みでマシンガンが手からこぼれ落ちる。
「祢音ちゃん、ナイスぅ〜」
銃弾の雨(?)がやんだ隙に無月とメデスは心臓や首筋を狙って刃を振るう。
無月たちが通り過ぎると兵はバタバタと音を立てて倒れていった。
中を走っている内に何度か兵の襲撃に遭ったが問題なく通過する。
そしてしばらくそれが続いた後
「再び扉発見〜」
目の前に再び先ほどと同じような扉が現れた。
「またパスワードが必要のようだな」
扉の右隣を見れば先ほどの扉と同じようなボタンがある。
「こんな時のためにこいつがいるんだよなぁ」
メデスはさっきから気絶させた兵の1人を引きずっている。
「おい、起きろ」
そう言ってメデスは兵の頬をバシバシと叩く。
「ん…」
すると兵はうっすらと目を開けた。
しかしその目は寝起きの時のような虚ろな目をしている。
「ここのパスワードを言え」
猫を掴むように兵の襟を掴み、ボタンの目の前に突き出す。
「ここは…5063だ」
兵は息も絶え絶えで呟くように言う。
「そうか。お前はもう用済みだ」
メデスは非情にも手をパッと手を離し、兵を落とすと首を槍でブッスリと刺した。
「相変わらず裏表の差が激しいな」
無月は首からドクドクと血を流している兵を見ながら言う。
「別に知らないヤツだしいいじゃん。それにお前が言うな」
「オレ裏表あるか?」
無月は怪訝な顔でメデスを見る。
「祢音ちゃんとオレの扱いが全然違うし」
「あはは…」
メデスは口を3にして不満気に言い、祢音は乾いた笑いをする。
「……………」
無月はパスワードを入力し祢音と扉の奥に入っていった。
「おいおい、シカトですか。まぁフレンドリーな如月無月なんて考えられないけど」
そう言ってメデスも無月と祢音に続いて扉の奥に入った。
「な、何だ…?」
広い部屋には人の形はかろうじて保っているが人とはおもえないような、
いわば『化物』たちが蠢いている。その数は尋常ではない。
「くせぇっっ!!こいつらの臭いか!?」
そして化物からは死臭のような臭いを放っている。
「お兄ちゃん、こっから出ようよ」
祢音は鼻を摘んで無月を見て促す。
「そうした方がよさそうだ。戻るぞ」
と3人が振り返ると
「「「あ…」」」
いつの間にか扉が閉まっていることに気づく。
どうやら誰かが外から閉めたようだ。
「ちっ面倒だ」
無月はそう言って扉の隣にある9つのボタンの内「5063」を入力するが
ブッブー
エラー音が鳴り響く。
「はぁ?何でだよ」
無月は再びパスワードを入力するが
ブッブー
エラー音も再び鳴り響く。
「別のパスワードが必要のようだな」
9つのボタンを凝視し、溜息を吐く無月を見ながらメデスは眉間を上に上げて言う。
「どうすんのさ……ってうわぁ」
―オオォォォォォオオオオオ―
振り返った祢音が力ない声を出すので無月とメデスも振り返ると化物たちがこちらに向かって迫ってきている。
「こっちくんじゃねぇ!!」
メデスが槍を振り回した後、化物を突き刺した。
グショっという気味の悪い音を立て化物の中心に風穴が空き、貫かれた化物はとろけるように消えた。
「うおわあああああ!!オレの『ゲイ・ボルグ』が汚物まみれにいいい!!」
メデスは『ゲイ・ボルグ』に着いた化物の一部をどこからか出したタオルで拭っている。
「あまり長居したい場所じゃねぇな」
「ねぇ、奥に扉があるんじゃない?」
祢音は正面を指さし、そちらを見れば、化物たちの間から扉が見えたような気がした。
「正面突破しかなさそうだな」
「こんなやつ刺したくねぇぞ」
と言ってメデスは化物たちを指さすが
「オレらには魔法があるだろうが」
無月はそう言って化物たち目掛けて火球を放った。
火球が化物の1体に触れると爆発し、周囲にいた化物たちも巻き添えを受け弾ける。
しかし、弾けた化物の体の一部が無月たちにも飛んでくる。
「おいこら!こっち飛んでんじゃねぇか」
「ちょ、お兄ちゃん攻撃禁止!!」
黒いコートに付着した汚れを拭きながら祢音とメデスは言う。
「わあったよ」
そして無月も汚れを拭きながらそう言った。
「ここはオレと祢音ちゃんに任せとけって」
祢音とメデスは化物たちに向かって両手を翳す。
「「はあっ」」
すると祢音の魔法で強風、メデスの魔法で津波が発生し、
化物たちは全員部屋の端に追いやられる。
そして2人のおかげで見事に扉への道が開ける。
「さて、行きますか」
化物たちが再びこちらに来る前に3人は一気に扉までの道を駆けた。




