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「趣味悪い」「他人の趣味を貶せる程、高尚な趣味をお持ちで?」 「フッマッフッフッ」

作者: 井上さん
掲載日:2026/09/19

名前を借りました



フィクションです

 わざと地味にしている男子生徒が学園にいる。

金髪だが、前髪を長くし眼鏡をかけているから、その容貌は分からない。


彼の名はバッファ。私はその婚約者ノア。


 私達はある事情があって、学園では、ひっそりと過ごしている。




 嫌味を言いたくてたまらないのか、暇人なのか、侯爵令嬢ナンド嬢が、わざわざ毎日嫌味を言いに来る。


「地味男には地味女がお似合いね」


 他の令嬢達と笑い合うナンド嬢。


私は伯爵家の娘だから、侯爵令嬢には何も言えない。


でも、婚約者は…


…良いのかなぁ…そんな事言って。

彼の正体を知ったら、どんな顔をするのやら…






「地味同士お似合いね」


「趣味悪い」


 昼下がりの学園の廊下。


今日も今日とてナンド嬢と取り巻き御一行様に言われたので、言い返してみる事にした。


「他人の趣味を貶せる程、高尚な趣味をお持ちで?」


「フッマッフッフッ」


 言い返されると思わなかったのか、ナンド嬢と取り巻き御一行様は驚いた。


 ちなみに、彼女達には婚約者はいない。


「ところで、私の婚約者が、どなたかお分かりにならないのですか?」


 呆れながら私は言った。


「「は?」」


「お分かりにならないのですね」


「何よ?」


 上位貴族なら、顔を見た事ある筈なんだけどなぁ…眼鏡かけてるから分からないのかなぁ?






 今日は、私達の卒業式。


卒業生代表挨拶をする第3王子。


「実は、在学中、残念な事がありました」


 挨拶の最後に王子が言った。


「自分の趣味で決める訳では無い政略結婚を『趣味悪い』と、のたまった令嬢がおり、教育がなっていないと痛感しました。今後、基礎中の基礎の貴族教育に、力を入れていきたい所存です」





 その後のパーティーで、第3王子にエスコートされてきた令嬢を見た生徒達はざわめいた。


 地味だと散々貶していた私だったからだ。


「王子!その女は、学園では地味男といつも一緒にいました!つまり浮気です!そんな女より私の方が相応しいです!」


 取り巻き御一行様を引き連れたナンド嬢が叫んだ。


「誰が話し掛けて良いと言った?」


 冷たい目で王子が言った。


「ですが!」


 諦めないんだな。


「無礼者!私とノアを毎日毎日侮辱しておいて、この期に及んでまだ侮辱するのか!」


 王子に睨みつけられて、ナンド嬢が怯んだ。だが、まだ現実が分かっていない。


「侮辱なんて…」


「学園でいつも一緒にいたのは私だが?」


 王子が言った。


「え?」


「お前は、私に向かって『地味』だと言ったのを忘れたのか?」


「そんな事言ってません!」


「私に直接『地味同士お似合いだ』と言ったじゃないか」


「…え?」


 もしかして…と嫌な予感がするナンド嬢と、取り巻き御一行様とその他生徒達。

名前もバッファで、王子と同じだということに、今更気付く。


「忘れたのか?」


 王子は、前髪を下ろし眼鏡を掛けた。


「よくも毎日『地味』と言ってくれたな。王子と分からないように、わざとこうしていたんだ」


「そんな…!!」


 地味男に地味だと言っていたナンド嬢と取り巻き御一行様と生徒達は、青褪めた。


不敬罪で処罰される…?と恐れ慄いた。


「今日付けで、侮辱してきた家には抗議文を送っているよ。帰ったら楽しみにしていてくれ」


 王子が言った。例え、王家から処罰されなくても、親から処罰される事が決定した。


ナンド嬢と、ナンド嬢に阿って、私と王子を侮辱した生徒達。


 輝かしい筈の未来は無くなった。どこへ行っても冷遇された。




 ナンド嬢達が何を言っても、侮辱せず、学生の本分を全うした生徒達には、思わぬ良い未来がやってきた。


 王子の覚えがめでたい生徒達は、それぞれの進路先で大切にされたのだった。




 国の未来を支える生徒達の、実際の姿を見る為に、地味だと笑われ続けた王子と私。

将来国王になる兄王子を支える為に執務をし、お互いに大切にしあい、幸せに暮らしたのだった。


読んでいただきありがとうございます

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