第6話 学校に通う魔物
「ごめんくださいまし。今日は金盞花学園ダンジョン部が、再始動なさったということで、ごあいさつにまいりましたわ。五〇年の年月が経っても、この旧校舎はおきれいですわねオホホ」
巳柳高校の代表、愚地が、旧校舎を見てお嬢様笑いをする。どこで覚えたんだろう。どうせ、日本のメディアなんだろうけど。映画だけを見て日本を理解したつもりになってる、外国人みたいだ。
「どうも。七星 洲桃です」
「どうも。金盞花 晴子です」
あたしたちも、あいさつをする。
魔物が学校に通っているのは、巳柳高校だけではない。
我が金盞花学園も、猫耳少女が登校していたりする。普通に学校に通い、普通に放課後は友人とファーストフードを食う。
決して、珍しい光景ではないのだ。
魔物たちは、地球の学校生活に憧れて、勉強しに来ている。もっとも、憧れは勉学ではなく「学生生活」に向いているのだが。
「モンスター学生が来ましたわよ、はるたんさんウホウホ」
お嬢様笑いをわざと間違えて誇張する。
「それだと、『クレーマーが来た』みたいな言い方になってしまいましてよモモさん。オホォ」
はるたんもお嬢様笑いを誇張して、オホ声をさらす。
「話は変わるけどさ、はるたん。ウチのダンジョン部が復活したって、コイツらはどこで知ったんだ?」
あたしは、はるたんに耳打ちをする。
他校なのに、いくらなんでも対処が早すぎだ。
「そりゃあ、おばあちゃんの差し金だろ。校長自らが、あちこちのダンジョン持ち学校に連絡しまくったに違いない」
その第一号が、巳柳ってわけだ。
「ご連絡は、金盞花の校長から直々にメールでいただきました。我々以外にも、ダンジョン攻略練習試合のお申し込みが殺到なさっているはずですわよ」
「お待ちを。ちょっと確認するから」
はるたんが、スマホをチェックした。ダンジョンマスターであるはるたんは、ダンジョン部のアドレスも受け取っている。
「ホントだ。めっちゃ応募が殺到してる」
『おたくのダンジョンを攻略しに行くので、よろしく』
『ウチのダンジョンを攻略しに、いらしてください』
といったメッセージが、多数寄せられていた。
これを、片っ端から攻略していいのか。腕がなるぜ。
「それで、顧問の先生がいらっしゃらないようですけど、挑戦を受けてくださるの?」
「もちろん。ウチは、売られたケンカは買うぜ」
あたしは二つ返事で承諾した。
人型モンスターとやり合った経験は、一度や二度ではない。自分よりオトナの成人男性とも、戦ったことがある。勝ったけど。それであちこちのダンジョンを、出禁になったんだけどな!
コイツらは口調こそおしとやかを演じているが、口調や言葉遣いがいちいちビリビリしてくる。早く勝負したくて、ウズウズしている感が漂っていた。
だったら、さっさと勝負をしたらいい。
「はるたんも、OK?」
「あんたがやりたいならね」
はるたんも、渋々承諾してくれた。
まあ、断りづらいわな。




