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ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。  作者: 椎名 富比路
第五章 鬼族が合宿を襲撃! 防衛ミッション!

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第51話 パニさんとの再戦!

 パニさんが手にしているのは、【うつぶし色の心臓】というらしい。

 うつぶしとは、アブラムシに寄生されたウルシ科の木にできるコブのことだ。喪服用の染料に使われるという。

 

 あれが、心臓?


「サザエじゃん」


「見た目はそうっすが、れっきとした心臓の化石なんすよ、これ」


 心臓には、銀製のチェーンが通されている。


「コイツを首にかけると、無敵のパワーを手に入れることができるそうなんすよ」


「それをつけて、戦うってか?」


「いやいや、洲桃(すもも)さん。オイラがそんなインチキ、するわけないっすよ。こうやるんす」


 パニさんは心臓を、後ろにいたトロちゃんに投げ渡す。


 トロちゃんは、【ジャケット・ギア】に乗って逃走した。


「追って、はるたん!」


「そっちは任せたわ!」

 

 はるたんが、ピオニとともにトロちゃんを追跡する。


「あんたの相手はこっちっすよ。洲桃さん!」


 この人とは一度、サシでやりたかった。

 とはいえ、今はそれどころじゃない。

 

「遠慮しなくてもいいっすよ。どのみち、通さないっす。バチバチでやすっすよ」


「相手にとって、不足はねえ!」


 あたしは、パニさんと真っ向勝負する。


「ウゥインドゥ・カァタ!」


 風属性を込めたあたしのキックを、パニさんが平然と抱え込んだ。自分がダメージを受ける覚悟で、ドラゴンスクリューをかましてくる。


「おお!」


 地面に倒される寸前で、あたしは両手を甲板についた。


 ドラゴンスクリューが得意って聞いていたが、ここまで精密だとは。

 

「だったらっ! トルネード・キック!」


 足を掴まれたまま、あたしは腰を回転させた。風属性の【トルネード】を足全体に乗せて、連続キックを浴びせる。


「ブレイクダンスも、できるんすね!」


 さすがのパニさんも、手を放す。


 相手はグラップル、こっちはスタンディング。戦闘方法は、正反対だ。


「あんた、格闘家に転向したら?」


「それは、こっちのセリフっすよ。ああ、強い。一学年下とは思えないっす」


「姉が格闘家なんで」


「あーっ。わかるっすね。そういう動きっすね。オイラの家も、似たようなもんっす。あんたほど動ける女子は、ドワ女にもいないっすねー。けど!」 

 

 低空タックルで、パニさんが飛んでくる。


「これはどうっすか!」

 

「どんだけ低いんだよ!」

 

 地面スレスレで、飛び込んできたぞ。

 踏み潰そうにも、早すぎてこちらの勢いを殺されてしまうだろう。


 こちらも、飛んで避けるか? いや、相手も対空手段があるはずだ。


「トルネードキック!」

 

 再度ブレイクダンスで、パニさんの横っ面に回し蹴りを食らわせた。

 

「首を打ち抜けない!」


 勢いをあっさり、殺されてしまうとは。

 並の冒険者なら、昏倒するはずなのに。


 やっぱり、パニさんとのバトルは面白い!


「だが、終わらせる! 【ヒート・スマッシュ】!」


 火炎属性を乗せた連続蹴りで、パニさんを宙へ浮かせる。


 攻撃を受けてもなお、パニさんはあたしの足を取ろうとした。


「そうはいくか!」


 さらに、蹴りの速度を上げる。


 火炎属性魔法による爆発も組み合わせて、キックは更に加速した。


 パニさんも、ガードせざるをえない。しかし、反撃をあきらめたわけではなかった。わずかなスキを狙って、あたしに腕を伸ばしてくる。足がダメなら、手か首を取ろうとしているらしい。


 振りな状況でもひるまないパニさんの姿勢に、あたしは敬意を表する。


 そんなパニさんには、プロレス技でトドメを刺さねば。


 あたしは逆に、パニさんの股の間に頭を入れた。手を伸ばし、相手の後頭部を掴む。


「これは、【片翼の天使】!」

 

「うりゃあああ!」

 

 相手を肩車して、後頭部を引っ張って背中から落とす。


 この技を、【片翼の天使】という。


 プロレスなら、これでスリーカウントを入れるところだ。


 しかし、パニさんは動かない。


「はあ。はあ。どうにか、勝ったか……」


 フラフラになりながら、あたしは立ち上がる。


「ああっ?」


 突然、スマホが鳴り出す。

 

『すぐ来て、モモ! ドロボー側が勝ちそう!』


 マジかよ!?


「なにがあった?」


『ティナが、ウチらを裏切った! 蓮川(はすかわ)先輩をさらって、野呂(のろ)先輩だけで、ドロボー側と戦えとか言ってる』

 

 ちょっと待ってよぉ。

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