第49話 水着のギャングたちの画策 ~ギャングサイド~
七星 洲桃と、金盞花 晴子が、装備のメンテナンスをしていたその頃……。
巫女喫茶に、大勢の女生徒と冒険者が集まっていた。
「いいか、お前たち。今日こそケーサツ側をギャフンと言わせるんでよろしくぅ!」
「「「「「よろしくぅ!」」」」」
ギャング連合のチームリーダー、トローゼ・フィングスは、仲間を鼓舞する。
エドワード大学付属女学院の、三年生だ。
この地雷系ビキニは、副長の二年、パニ・キュラータと揃えた。「今の流行っすよ」と言っていたが、絶対ウソだろう。
「昨日は最強の布陣で挑んだのに、負けちまうとは」
前回のミュージアム襲撃では、不覚を取った。
巳柳高校の愚地三姉妹や、一般参加の冒険者を信頼しすぎて、連携が取れなかったせいである。
「フリーダム過ぎて、収集がつかなくなっていましたわね」
愚地三姉妹の長女、友希那が、発言した。
巳柳の三年生であり、それなりの実力がある。
昨日はケンカしたが、今はお互いに落ち着きを取り戻していた。
というのも、次女の三澄から、どえらい説教を受けたためだとか。
「だよな。ある程度の連携が必要だったんだなーと、思い知らされたぜ」
ソファにもたれながら、トロはため息をつく。
ミュージアム襲撃は、誰の主導で行くかすら決めていなかった。
そのせいで、誰が手柄を取るかでモメてしまったのである。
結果、その隙をつかれて勇者に捕まった。
あと我々は案外、アドリブに弱い。
ある程度のシナリオが必要なのだなと、思い知らされた。
「今回は、こんな感じのフォーメーションで、置きに行こうかって思ってるんだけど。冒険者のみなさんは、よろしいか?」
トロは、冒険者にお伺いを立てる。
生徒主導のイベントなので、トロが実質的なリーダーだ。
冒険者も、理解はしてくれているだろう。
とはいえ、協力してくれるのだ。礼節はわきまえる。
「あのドラゴンキラーの女に妹のリベンジができるなら、それで構わない」
四〇代くらいの男性冒険者が、鉄棍を振り回す。
ドラゴンキラーの女……洲桃か。
男性の隣では、三〇代くらいの女性冒険者が、スマホで電話をかけていた。相手は、夫だという。
「兄貴、やっぱ帰るね。うちの子、熱が出たって」
「娘の病気なら、仕方ない。昨日も、集中できていなかったろ? 家のことがなかったら、お前も本気が出せたろうに」
「いやいや。こればっかりは、言い訳にならない。あの七星って女の子、本当にめっちゃ強いよ。兄貴も気をつけて」
冒険者側は冒険者で、色々と事情を抱えているようだ。
自分は、どういう人生を送るのだろう?
ダンジョンの建設だけで、満足だと思っていた。将来は歴代先輩のように、バリキャリがいいなと思っていたが。かといって、六割が独身と言われると……。
「先輩、時間っすよ。いつまで、トリップしてるんすか?」
「おっと」
パニに呼びかけられて、トロは我に返った。
「他に用事のあるものは、いねえか?」
愚地三姉妹の三女、青葉が手を挙げる。
「あのさあ、さっきから鬼怨組の話題が出てないじゃん。警戒すべきはケイサツじゃなくて、そっちだと思うんだけど?」
「おめーの言いたいことはわかる。ただこればっかりは、考えても仕方ねえ。相手がガチ勢である以上、気にしても対策のしようがねえんだよ。場当たり的に、対処するしかないかなって」
「いかにも、ウチらしいね。変に相手をしない辺り、余裕すら感じるよ」
「おうよ。こんなの、望むところだろ? おめーさんも。企画のブチ壊しを恐れてウジウジ悩むなんて、あたいたちらしくねえじゃん」
「だよねえ」
トロが挑発すると、青葉も悪い顔になった。
「ごめんください……」
企画会議は基本、運営にも秘匿である。
そこに、謎の人物が現れた。
全員に緊張が走る。
茶屋の玄関にいたのは、なんと睡蓮 ティナだった。
「おめー、勇者連合じゃん。一人か?」
「はい」
「どうやってココに来た? 用事はないはずだろーが」
「忘れ物をした、とウソついて、みんなに黙ってこっそりと」
「なにお前、スパイなん?」
トロが尋ねると、ティナは首をふる。
「違います。そういうんじゃないんで」
「じゃあどうして?」
「実はみなさんに、ご相談がありまして。勇者連合では、この事態に対処できません」




