第29話 ダンジョン部の絆
「おらああ!」
五メートルを超える尻尾での打撃が来たかと思ったら、雷撃のブレス三連発が飛ぶ。
これが、愚地三姉妹の本気か。
「三姉妹って、一体の大蛇だったってことか?」
「違うわよ。あれも、いわゆる【ジャケット・ギア】ね」
ジャケット・ギア……デリオン姫のためにエドワード高校から取り上げた、搭乗型の装備のことである。
つまり三人乗りのキグルミってわけか。
「ダンジョン部って、比較的なんでもありなんだな?」
「広いフィールドなら、戦車だって許可されるのよ。ダンジョンって、どれだけダメージを受けても死なないから、マジで容赦がないの」
それでも上級の魔王が相手だと、戦車でさえ勝てないらしい。
「この三姉妹の攻撃は、ヤバイな」
さすが、ホーム最強と言われるだけある。
「だけど、これはホーム限定の能力なんでしょうね。今まで出てきたことがないってことは」
それも、かなり昔に封印された能力のようだ。その証拠に、今までこの大蛇のデータが巳柳から出ていない。
「でもいいわね、モモ。これくらい、緊迫した戦闘は」
「ああ。戦い甲斐があるってもんだ」
あたしは、【ドラゴンキラー】を構えた。
はるたんも魔杖【ペールギュント】を喚びだし、戦闘準備は万端に。
「ムダだよ。人間にこの【ゴルゴーン】は倒せない。これまで倒せた記憶だって、ないんだから」
「そうですわ! あなたたちを丸呑みにして差し上げましょう!」
三女青葉と、長女友希那があたしたちを挑発する。
「そら!」
あたしは三姉妹大蛇の雷撃ブレスをかいくぐって、胴体に一撃を食らわせた。
「なに!? 一番分厚い箇所を狙うなんて!」
唯一つながっている一点に、攻撃を集中させる! それが、あたしたちの考えた戦法だ。
理屈はわかっていても、実行するとなると怖くて仕方がない。
「うぎゃー!」
雷撃ブレスが、わずかにあたしの背中をかすった。それだけでも、大ダメージだ。どんだけ攻撃力に振り切ってるのか。
「はるたん! まだぁ!?」
「わかってるわ。【フレイムスピア】!」
あたしが近接で時間を稼いでいる間に、はるたんには炎の投げ槍を作ってもらっていたのである。
はるたんが練り上げた渾身の炎の槍が、ゴルゴーンの胴体に直進した。
……だが、ゴルゴーンの皮膚を貫けない。
「言っただろうが! 人間にゴルゴーンは倒せないんだよ!」
「かもしれないな。だがな。お前ら肝心なことを忘れていないか?」
「ああん?」
三つ首の大蛇が、そろって首を傾げる。
「ぱーんち!」
そこに、機械仕掛けの拳が紛れ込む。
鉄拳は炎の槍の尻をぶっ叩き、奥へと押し込んだ。
「あびゃああああああああ!」
炎の槍が、今度こそ大蛇を焼き尽くす。
そう。デリオン姫だって、まだ戦える。
[巳柳高校チーム、全員戦闘不能。これにより、金盞花学園の勝利となります]
よっしゃ。あたしたちの勝利だ。




