第27話 愚地三姉妹の敗北、そして……
金盞花 晴子が、ニヤリと笑った。
「あはは! 足を絡め取られて、寝ぼけたことをお云いでないよ!」
晴子を捕まえた気でいる愚地 友希那が、勝ち誇る。
たしかに、はたから見れば、圧倒的不利な状況だ。
「このムチにはね、魔法を封じる効果がある。あんたが施していた筋肉強化の魔法も、たった今かき消した! もう打つ手はないよ!」
友希那が、さらに勝利を確信するような発言をする。
しかし、晴子はそう考えていない。
「まだわからないのかしら? 捕まったのは、そっちの方」
「なに? じゃあ、これならどうだい?」
晴子を壁にぶつけようと、友希那がムチを振り上げた。
「我が校の壁のシミになっちまいな!」
「よっ」
晴子は、足首のムチを掴む。そのまま、壁を足場にして片足だけでバウンドした。激突の衝撃を抑え、なおそのパワーをダッシュのエネルギーに変える。
「なんだって!?」
「ジャンピング・ニーパッド!」
親友である七星 洲桃直伝のヒザ蹴りが、友希那の顔面を捉えた。
さすがにガードされ、直撃はしない。が、足首の拘束は解けた。
「純粋魔法使いが、ヒザ蹴りなんてね!」
「そこまで、魔法にこだわってないのよ」
晴子は魔法使いの家系だ。しかし、魔法がまともに扱えない状況だって、何度も経験した。その度に対策をして、洲桃にも稽古をつけてもらっている。
人からは「ダンジョンにおいては負けなしの人生」と思われているが、その実は負け越しばかり。特に洲桃とは、勝った負けたの連続だ。
「ペールギュント覚醒!」
晴子は、ハンディモップを魔杖へと変化させる。よし、魔杖の活性化もできる。魔法においては、問題なし。
「もう一度、ムチで封じてやる!」
友希那がムチをしならせて、直接突きにかかった。
「同じ手は食わない」
ムチの先端を、晴子は魔杖で貫く。
「ああああ!」
友希那のムチが、晴子の魔法を受けて爆裂した。
同時に、友希那も吹っ飛ぶ。
「姉さん!」
駆けつけた三女の青葉が、落下してきた友希那を抱きとめた。
* * * * * *
「はるたん、終わった?」
あたしは、はるたんの元に到着する。
「今、ちょうど倒した」
はるたんが、杖をハンディモップに戻す。
「この二人も、戦意喪失しているみたいだし、三澄を連れて帰ろう」
愚地三姉妹のウチ、長女と三女はすっかり毒気が抜けていた。戦闘の意欲もないだろう。
ホームで負けたことにより、無敵というプライドもズタズタにされた。
これ以上戦っても、無意味である。
そう思っていたのは、どうやらあたしたちだけだったようだ。
「この……バカ野郎どもが!」
さっきまで静観していた次女の三澄が、長女の友希那と三女の青葉をぶん殴った。
ビンタではない。グーパンで。
「さっさと、立って戦え! まだ試合は終わってねえ! 状況を立て直すよ!」
三澄だけは、まだあきらめていなかった。




