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ARES ― 無名戦士になれなかった英雄達 ―  作者:


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ARES着任

駐屯地からバスで1時間、霧島は宇宙軍の管理する宇宙港に到着した。


宇宙港では全てが忙しなく動いている。人も、物資も、輸送計画も、全てが計画通りに動いていた。


霧島は手続きのため宇宙港本部に向かい、受付で名前と人事局が手配したチケットを提示した。


係員は端末に視線を落としたまま、短く頷いた。


「乗り場は第五ブロックです」


それ以上の案内はなかった。


指定された乗り場に向かうと、

すでに多数の人員が集められていた。


そこに集められていたのは下士官兵ばかりで、将校は霧島1人だった。


「霧島少尉」


待合室で乗船を待っていると1人の下士官に話しかけられた。振り返ると、見覚えのある顔だった。


「ご無沙汰しています。カイ兵曹長」


そう言って霧島は敬礼をする。


相手は霧島が兵学校卒業後、少尉候補生として部隊研修を受けていた際の教官だった。


「そんな、敬語は要りませんよ。今は貴方の方が階級が上だ。」


「しかし、」


「そんな事では部下に舐められますよ」


少し間を置いてカイ兵曹長は辺りを見回した。


「しかし、こんな所に少尉殿がいるとは意外ですな。

この船は本来、下士官兵の輸送に使われる船のはずなのですが。」


「そうなのか」


「はい、少なくとも私は将校が乗船しているのを見たことがありません。」


「急に決まった転属だからな、他に船がなかったのかもしれん。」


「そうかもしれませんね。」


そうこうしている内に乗船開始のアナウンスが流れた。

「それでは私はこれで失礼します。」

霧島はカイ兵曹長と別れ、指定された乗船口に向かった。


船内は思っていたよりも奥行きのある設計だった。

等間隔で並べられ座席にはすでに多くの人が座っている。


私語は少なく、各自が座席で静かに過ごしていた。

霧島も自分が割り当てられた座席に座り出港の時刻を待った。


新しい任地まではこの船で約14時間の予定だ。だが、船内に民間船の様な娯楽はなく、多くの人が睡眠をとっていた。


やがて霧島も目を閉じた。



霧島が次に目を開けた時、船内の様子は変わっていなかった。


船内の表示盤を確認する。

到着までは後、4時間の様だ。


周囲の人の多くは依然として座席に留まっていた。座っている事に疲れたのか立ち歩く人も散見されるが会話が生まれる事はなかった。


3時間

2時間


時間だけが過ぎている。霧島はこんなにも意味の無い時間を過ごしたのはいつぶりだろうかと静かに考えていた。


やがて到着のアナウンスが流れる。

そのアナウンスを合図に船内の各員が下船準備を始める。そこの動きに迷いはなく、統一されていた。そこに、誰かの指示があったわけではなかった。



霧島も下船の列に加わり、輸送船を後にした。


宇宙港を出た霧島の視界の先には、無数の構造物が連なっている。前線基地、施設群そして、居住区と思われる建物。全てが計画的に配置されていた。


霧島の新しい任地である、ここ小惑星6-A4は帝国第六管区に位置するフェアリー王国との最前線の小惑星だ。


宇宙港からバスと鉄道を乗り継ぎようやく赴任先の駐屯地に到着した。到着してすぐ霧島は門の警衛に辞令と身分証を提示した。警衛の兵は提示されたものを確認した後、端末に視線を落とす。

しばらくして、司令部より案内が来るので門で待つ様にと警衛から伝えられた。


10分後1人の下士官が門にやってきた。


「ようこそ、霧島少尉。私はARES所属のエーリヒ・ヴァルター二等兵曹であります。ARES本部までご案内いたします。」


エーリヒ・ヴァルターと名乗った男の先導で駐屯地を進む。やがて「ARES本部」と書かれた看板の掛けてある建物についた。本部庁舎は装飾も何も無い無機質な建物だった。



だが、入り口の横に景色に馴染まない一本の榊が植っていた。

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